東京感動線

駅と人の交錯が生み出す
駅と人の「少しだけ先の未来」
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特別展 「あさって」の駅
スペシャルインタビュー

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駅の「あさって」を考える特別展。
「あさって」は、明日でも遠い未来でもない、少しだけ先の未来。
JR東日本とともに駅の「あさって」を考えた建築家とデザイナーのお二人に、特別展の見どころについて伺った。

建築と人びと、それぞれの視点から
「あさって」の駅を考える

特別展『「あさって」の駅』は、山手線の12の駅を舞台に、少し先の未来の姿を建築模型や建築図面などで表現する『「あさって」の駅』と、少し未来の都市の暮らしを想像した『「あさって」の人びと』というふたつの展示から成っている。
※「あさって」の駅は、東京工業大学とJR東日本との共同研究の成果です。東京工業大学の塚本由晴教授とマサチューセッツ工科大学のシェイラ・ケネディ教授によるジョイント・スタジオで、世界各国の学生38名が提案した、少し未来の駅の姿です。

――『「あさって」の駅』を考えるにあたり、どのようなアプローチをされたのでしょうか。

塚本氏:JR東日本が思い描く少し未来の想定(アジェンダ*)が5つあって、そのアジェンダと、駅のある地域の歴史的、地理的、社会的な背景をマッチングさせるところから始めました。
同じアジェンダでも、一緒に考える地域資源によって違うかたちになります。
それぞれの地域の特徴があることによって、JR東日本のアジェンダを具体的にイメージできるようになるし、問題点や課題も見えてくると、同時にアジェンダとマッチングさせることでそれぞれの駅の特徴が浮かび上がります。
それぞれの駅の可能性をこうしたらもっと尽くせるんじゃないかという議論もできる。そういう意味で、駅と地域が互いが互いを開発し合う関係性を構想するというのがテーマでもあります。

そこで考えたことをどう見せるかというデザインについては、マサチューセッツ工科大学のケネディ教授が"Principle of Elegance"といういい概念を示してくれました。
鮮やかさの原理と訳せるでしょうか。
駅は大きいので、全体を設計することは大変ですし、既存の建物をどうするかといった制約はありますが、アジェンダと地域の関係をデザインの問題として考えるときには、原理を鮮やかに示すほうがいい。
そこから建物を部分的に切った模型をつくることにしました。その切断面に我々の考えが集約されているというわけです。

*5つのアジェンダ
 ・これからの観光(ツーリズム)
 ・時代に合わせた、駅や駅員の新しい役割
 ・コミュニケーションハブ(交流拠点)としての駅
 ・シームレスな移動
 ・多様なエネルギー

――『「あさって」の人びと』というコンセプトはどのように生まれたのでしょうか。

深沢氏:少し未来の駅の設計案に対して、少し未来に暮らす人びとを想像してみよう、と考えたのがきっかけです。
そこで、JR東日本の社員の方々をはじめ、多くの人と議論を重ねました。駅の未来をきっかけに、話題は現代社会を巡るさまざまなテーマに広がっていき、最終的には、私たちが将来どのように暮らしたいのか、社会をどのようにしたいのか、という思いに至りました。

そのような思いを反映して、『「あさって」の人びと』は生まれています。老若男女12人のキャラクターを想像し、イラストで表現しています。また、これらの人びとの未来の日常の思いを想像して、短いセリフで表現しています。
未来を考えるとき、急激な変化や情報過多に流されないためには、等身大であろうとすること、思ったことを声に出して言ってみることが、重要だと思います。
展示では、『「あさって」の人びと』を等身大のバルーンにしました。『「あさって」の駅』の横に立って、来場する皆さまに語りかけています。
セリフは音声で聞くこともできます。朗読には、JR東日本の社員有志が参加してくださいました。
キャラクターたちと話すつもりで、未来の暮らしと、その中にある駅に、それぞれが思いを馳せ、考えていただけたらと思っています。

――来場する方へのメッセージをお願いします。

塚本氏:鉄道駅を中心にした日本型の都市開発は世界的に注目を集めています。
近年の駅は公共空間としての性格も強くなりましたし、動員力があるという意味で大きな潜在的な力ももっています。
しかし毎日使う場所だから、そう簡単に変われない。100年前の想定のままの空間になっているところがある。
それをアップデートするということは、建物をデザインするというより、生活に密着する空間のありかた、社会のありかたを考える、社会デザインの議論でもあるんです。
少し先の未来の駅は、そういう意味で街の一部となるべきで、今回の特別展は、その可能性を探るものです。
駅ってこういうもの、と頭の中で決めつけずにみてていただければ、少し先の未来の駅、そして未来の社会に期待が膨らむと思います。

深沢氏:撮影自由なので、写真をどんどん撮ってほしいです。等身大のイラストはかわいいですし、模型は大きくて細かくて迫力がありますから、インスタ映えすると思います。
展示では、密かに主催者のメッセージがおすすめです。
JR東日本が主体となり、外部の専門家と思考実験を行い、さらに、その成果を一般に公開し、広く社会に提起する、それがこの特別展です。展示を見ていただければわかりますが、未来の駅の提案や、未来のライフスタイルの想像には、現状への不満、疑問、批判もオープンに表現されています。JR東日本が、未来に向けて、タブーなく、垣根なく、広く議論することを宣言している、まさに特別な展覧会だと思います。
見ると元気になりますよ。

東京感動線 特別展
「あさって」の駅 ー わたしたちの暮らしと駅のこれから

期間:2018年12月19日(水)―2019年2月4日(月) ※休館日を除く
場所:鉄道博物館 本館2階 スペシャルギャラリー2
開館時間:午前10時00分〜午後6時00分(入館は午後5時30分まで)
休館日:火曜
入館料:一般 1,300円/小中高生 600円/幼児(3歳以上未就学児) 300円
アクセス:JR大宮駅よりニューシャトルにて「鉄道博物館駅」下車、徒歩1分

公式サイト:https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/exhibition/asatte/
主催:東日本旅客鉄道株式会社
共催:国立大学法人東京工業大学
共同企画:Studio KIKIRIKI株式会社
協力:公益財団法人東日本鉄道文化財団 鉄道博物館
イラストレーション:白根ゆたんぽ
グラフィックデザイン:宮村ヤスヲ