GALLERY360°
根本 寿幸さん、菅谷 幸さん

1982年以来40年近く、青山・表参道で現代アートを発信してきたご夫婦曰く、
「この界隈には、表通りからは見えない、昔ながらの人情があふれているんですよ」
青山・表参道界隈でアートの軸を守り続ける夫婦の物語。
現代アートを展開する「GALLERY 360°」が神宮前2丁目にオープンしたのは1982年10月。根本寿幸さんはそれ以前、この街で最新カルチャーを扱うタブロイド誌を自費出版していた。
「当時からちょっと大人の匂いがする街でした。それに憧れていち早くカルチャー誌『UP』を出したけれど、9号までの出版が限界でした」
それでも現代アートを発信したかった根本さんは、メディアをギャラリーに替えるかたちで神宮前に居を構えた。菅谷 幸さんとともに。再び根本さんの述懐。
「バブルが弾けるまでは特におもしろかった。神宮前3丁目のワタリウム美術館がギャルリーワタリだった頃、キース・へリングが来日して、歩行者天国の道路に絵を描いたりしてね。ウチも近所だったから散歩中のキースに声をかけたり。あれは衝撃的な体験でした」
1993年、ギャラリーを表参道交差点の角に移す。
住所は南青山になったが、馴染みのクリエイターや付近で暮らす人々が気軽に集まれるサロンとしての人気に変わりはなかった。
また新ギャラリーでは、長年の夢だったオノ・ヨーコ展を14回も開催することができた。
一大転機は2017年。東京五輪開催に向けた表参道駅バリアフリー整備計画に伴い、同年12月に世田谷区尾山台へ移転。だが、わずか半年後、神宮前3丁目にサテライトスペースをオープンさせた。
「この街に恩返しをしなきゃと思って」。根本さんの言葉を幸さんがつなげる。「何より原宿・青山界隈はアートと街のバランスがいいんです。この街は、歴史的なものから現代アートまでが、建築やファッションとともに自然に存在しています。訪れる人々が常に文化をエキサイティングに感じられる街です」
あらゆるアートを全方向に発進したい。それがギャラリー名の由来。
二人が支える360度を描くための軸は、いかに新陳代謝が激しくとも、今後もこの街の中で立ち続けていくのだろう。
「こんなに大きくなるとは思わなくて」。
これは「GALLERY 360°」のご夫婦が育てている愛犬の話。
取材時に、そんなことありますかとツッコんだら、小型犬と中型犬のミックスだったので、どちらのサイズに成長するかわからなかったという。
その愛犬と暮らせる家がすぐに見つからなかったのも、南青山から世田谷区尾山台に移転した理由のひとつ。
「この子なんですよ」とスマートフォンを見せてくれたので、きっとヒップでポップだったお二人の若い頃の写真はないかとたずねたが、「それはねぇ」と断られた。現代アートに匹敵するほど興味深いのに……。
360° JINGUMAE
所在地:東京都渋谷区神宮前3-1-24
Tel:03-5410-2310
営業時間:12:00~18:00
定休日:日・月・火・水曜
http://360.co.jp
1982年以来40年近く、青山・表参道で現代アートを発信してきたご夫婦曰く、
「この界隈には、表通りからは見えない、昔ながらの人情があふれているんですよ」
原宿だからこそ『食』への考えが深められた
香りにまつわるエシカルな取り組みで原宿という街をより豊かに楽しく
心と身体をゆるめる気持ちいい生活を神宮前から発信しています。
日本人がつくった 生命の森
誰が表参道の美しい街並みを作ったのか
夢は、キャットストリートに“田んぼ”。そこから新しいなにかが生まれる。
“食のセンス”が光る自然食レストラン
“森の案内人”と見つける東京にひそむ森の息吹
都市の中に、人々が集い、交流するスペースを作りたい