人と人の交錯から広がる 進化するカフェ「フクモリ」
かつて中央線の神田と御茶ノ水の間に存在した「万世橋駅」。神田川にかかるレンガ造りの遺構をJR東日本が改築したのが2013年。
現在は「マーチエキュート神田万世橋」として個性豊かな店舗が軒を連ねる。その中でひと際目を引くのが「フクモリ」だ。シンプルなロゴに惹かれて店の扉を開くと、品のよいプロダクトがあふれ、その奥には神田川を見渡せるカフェスペースが広がる。
「マーチエキュートのコンセプトに、馬喰町に開いた1店舗目のフクモリとの共通点を感じました。大正期の駅舎を改築し、神田須田町という歴史ある地域の方々と新しい街づくりを行う。古きを生かし新しい価値を創造することに、心地よさを覚えました」
とフクモリを運営する小松裕行さんは話す。
そもそもフクモリは、クリエイティブディレクターとして活躍する小松さんのネットワークからはじまった。
「メニューの食材は、山形産がメイン。仕事でご縁があった山形の旅館に掛け合い、仕入れからメニュー開発まで行いました。山海の幸が集まる山形の滋味をフクモリから発信することで、山形のプレスルームになれればと」
今後は年々増える海外のゲストにもフクモリの魅力を伝えたいという。
「馬喰町フクモリは、地域住民の交流の架け橋になりました。今度は日本と海外のハブとして、この万世橋フクモリが役立てればと。そのためにはフクモリで皆とごはんを食べながら、この街で愉しく暮らすための作戦会議をする。そんなことができれば」。
【最初の写真】
ランチの一番人気は、山形牛のハンバーグ定食。サラダで使用する、青々とした野菜は山形の契約農家「IRODORIファーム」などから仕入れる(山形牛ハンバーグ定食1300円)
【写真2】店内入り口に広がるショップ「タナフクモリ」。山形を中心とした東北と東東京で活躍するクリエイターのプロダクトや、フクモリで使用される食材が並ぶ。
【写真3】看板商品のつや姫(井上農場)は、フクモリでも提供されている
【写真4】オール山形食材で彩られたひと皿。庄内麩のチップスや六田焼麩の唐揚げ、だだちゃ豆のケークサレ、たまごの燻製など、これだけで山形の郷土料理を堪能できる。(山形名産フクモリ合わせ1500円)
【写真5】東北名産の菜花の一種「キラリボシ」を中心に旬の青菜を使った3種のおひたし。シャキッとした歯触りであっさりいただける。山形名産フクモリ合わせとともに、アルコールとの相性もよい(おひたしフクモリ合わせ800円)
店舗は、明治45年の創業の万世橋駅舎をリノベーションしたマーチエキュート神田万世橋内。
アーチを描いた天井や打ち放しコンクリート、壁の赤レンガが駅舎の在りし日を思わせる
どこか懐かしい「クリームソーダ」でほっとひと息
カフェタイムに訪れたならぜひリクエストしたいのが、人気の高い「クリームソーダ」。
鮮やかなメロン色とたっぷり盛られたクリーム、添えられた真っ赤なさくらんぼが何ともレトロでかわいらしい一品。
季節に合わせ、ソーダがストロベリーやマロンなどに変わり、それぞれの味を楽しめる。
6月以降は旬に入るさくらんぼを使ったチェリー味を計画中とのこと。
店内のレトロなインテリアと一緒に写真を一枚。
いただく前に撮影するのもいい。
アクセス
所在地:東京都千代田区神田須田町1-25-4
Tel:03-6206-8381
営業時間:カフェ/11:00〜23:00(L.O.22:00)、
日曜、祝日〜21:00(L.O.20:00)
雑貨・グロッサリー(タナフクモリ)/
11:00〜20:00 定休日:不定休
http://fuku-mori.jp/manseibashi
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