(株)Will Lab(ウィルラボ)代表
小安 美和さん
東京外国語大学卒業。日本経済新聞、海外生活を経て、2005年、(株)リクルート入社。
(株)リクルートホールディングスにて「子育てしながら働きやすい世の中を共に創るiction!」プロジェクト推進事務局長などを経て退社。
2017年、(株)Will Lab設立
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昭和の空気を残す台東区最古のビル。
(株)Will Labの代表・小安美和さんは、この春リリースしたECサイト「そらとひと」のショールームをこのビルの一室に構えた。
インドの職人が刺繍を施したストール、ミャンマーの女性が編んだタティングレースのアクセサリーなど、東南アジア諸国や日本の女性起業家たちによる手しごとの雑貨がこの部屋に馴染んでいる。
東南アジア諸国に生きる女性たちの現状を初めて目の当たりにしたのは、2000年代前半のこと。
「ミャンマーもラオスもカンボジアもいまよりずっと貧しくて、多くの人が貨幣経済から取り残されていました。とくに女性の貧困や雇用の問題は深刻でしたね。その様子を見て、寄付ではなく、サステナブルに経済をまわすビジネスをしたい、と痛感したんです」
その想いは、すぐにカタチにはならなかった。
帰国後は企業で11年間必死に働き、執行役員に名を連ねるまでに。2016年、置き去りにしてきた思いに改めて向き合って退職し、2年かけて東南アジア諸国をまわった。
「驚いたことに、そこはもう“途上国”ではありませんでした。女性起業家たちが誕生して、自ら課題を解決しようという動きが起こっている。そんな彼女たちの活動を日本に伝えたい、と思ったことがすべての始まりです」
2017年、小安さんは「女性×はたらく」をテーマに(株)Will Labを立ち上げた。“Will”とは“ありたい姿”を意味する。
「世界には、Willを実現する力の強い女性たちがいます。南アフリカのある黒人女性は、白人、男性がマジョリティの世界で、凄まじい努力で自分のワインブランドを立ち上げました。日本人女性の方が“〜であらねば”とMustに縛られてWillの見えていない人が多い。その意味では日本こそ“途上国”かもしれません」
法人設立に先駆けて、東南アジアの女性起業家たちが手がける雑貨を紹介するギャラリーも開いた。
「気に入って買ってもらえれば、現地の女性たちの応援になるから、もちろんうれしい。でも同時に、彼女たちのWillを日本の女性たちに見てほしい、そして一歩踏み出すきっかけにしてほしい、という想いも強くありましたね」
2年間試行錯誤し、昨年夏にECサイト「そらとひと」を立ち上げ。
今年春、ギャラリーを閉め、ECサイトのショールームとして「アトリエそらとひと」を蔵前に開設した。
「実は、起業したときからいつか蔵前に移るのが夢で、みんなで“イツクラプロジェクト”って呼んでいたんです(笑)。蔵前には、ものづくりとまちづくりが一体化した世界観があります。各地の作り手に会いに行って、その思いを理解しながら作り上げた「そらとひと」は、この街にぴったり」
現地でものづくりに励む職人、その営みを持続可能にする起業家、彼女たちを応援する小安さん。「そらとひと」の雑貨は、いくつもの物語をつなげていく。
「空がつながっているように、人と人もつなぎたい。そこに生まれる循環の中で、人はエンパワーしあうことができます。美和という私の名前には、“美しい環”という意味があるんですよ、きっと」
環状線のようにうずまきながら高みへと向かうその先に、小安さんは誰もが自分自身のWillを叶えられる未来を思い描いている。
【写真1】
カンボジアで作られた「SALASUSU」のサコッシュ。作業に携わった全員の名前のスタンプから、ものづくりへの強い思いが伝わる。
「そらとひと」でも人気のブランド、インドネシア・フローレス島発の「ドゥアニャム」。
貧困率の高いフローレス島の女性たちが、椰子の葉で編む雑貨を現金収入につなげるべく、現地の若い女性たちが起業してブランド化した。
すべての作り手に会いに行くことをマイルールとしている小安さんも、もちろん現地へ(写真右端)。
アジア女性起業家ネットワーク(AWSEN)代表の渡邉さやかさんからつながったご縁。
小安さんはフローレス島を訪れた直後にシリコンバレーを訪れ、「こうして空はつながっているのだから、人と人もつながれるはず!」と感じたことが、「そらとひと」というネーミングになったのだそう。
所在地:東京都台東区蔵前4-30-7 タイガービル27号
info@soratohito.jp(来訪者は要予約)
http://soratohito.jp/
東京外国語大学卒業。日本経済新聞、海外生活を経て、2005年、(株)リクルート入社。
(株)リクルートホールディングスにて「子育てしながら働きやすい世の中を共に創るiction!」プロジェクト推進事務局長などを経て退社。
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