東京感動線

時を超え
家族の思い出を紡ぐ
ミュージアムホテル
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ホテル雅叙園東京

宿泊部 チーフコンシェルジュ車古 幸子さん
車古 幸子さん
まち
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その名は“文人が一日いても飽くことなく優雅に過ごせること”を表す“文雅叙情”にちなむ。
約2500点の美術工芸品が彩る圧倒的な美しさは、もてなしの心の賜物。
1931(昭和6)年以来、地元・目黒に寄り添いながら90余年。
その歴史は、この壮麗な空間を訪れた家族の思い出とともにある。

文雅叙情のもてなしで
愛され続けて90余年

もてなしの心に光る
伝統と日本の美

「ホテル雅叙園東京」の歴史は1928(昭和3)年、細川力蔵氏が芝浦の自宅を改築して開いた高級料亭「芝浦雅叙園」にはじまる。庶民にも気軽に訪れてほしいと、当時の郊外にあたる現在の地・目黒に移ったのは1931年。細川氏は、日本画の巨匠をはじめ多数の芸術家に依頼し、壁画や天井画、彫刻などで館内をくまなく装飾、百人風呂なる大浴場まで用意した。訪れた人々に料理はもちろん目でも楽しんでほしいという想いの表れであり、そのもてなしの心はいまに受け継がれている。
「細川はアイデアマンでもあり、結婚式というかけがえのない大切な日をゆったりと過ごしていただきたいという想いから、館内に神殿、衣裳室、美容室、宴会場をつくりました。以来、当館は日本初の総合結婚式場として、22万組以上のご夫婦の門出を見守ってまいりました」と、チーフコンシェルジュの車古幸子さんが教えてくれた。挙式後、結婚記念日や家族の誕生日など、折に触れてホテルを訪れる夫婦も多い。中には、親子3代にわたってこの地で挙式をする夫婦もいる。また地元客にとっても、家族の祝い事に訪れる思い出の場所となっている。
「お客さまとしてご来館くださるのはもちろん、戦時中の空襲で消火活動にあたってくださったり、経営難の際には寄付をしてくださったりと、当館は創業以来、地域の方々に助けられてまいりました」

【最初の画像】
敷地内に残る唯一の木造建築の内部には、かつての宴席の会場が。写真は「漁樵(ぎょしょう)の間」
【画像1】
1935(昭和10)年築の東京都指定有形文化財「百段階段」。階段廊下が7部屋を結ぶ
【画像2】
戦前の全景。

昨夏、そうした地元の支援に対する恩返しの意味を込め、車古さんら宿泊部の有志は「目黒プロジェクト」を発足。区内の桜の保護を目指す「目黒のサクラ基金」へ商品売上の一部を寄付したほか、周辺エリアの観光用マップの作成、周辺施設での体験プログラムの企画などを行っている。
「当館を拠点として、目黒を五感で楽しんでいただき、その魅力を世界に伝えられるホテルでありたいと思います」

【画像3】
館内にある中国料理「旬遊紀」では、現存最古の回転テーブルがいまも現役で活躍している

アクセス

所在地:東京都目黒区下目黒1-8-1
Tel:03-3491-4111(代表)

https://www.hotelgajoen-tokyo.com/