東京感動線

安い、ではなく適正価格。
これからの〝八百屋〞の姿
127

この記事をシェア

お気に入りに追加する

旬八青果店

Scroll

産地と東京をつなぎ続ける
“媒体”としての青果店

「味が濃くてやわらかい!」、「加熱すると甘みアップ」。一つひとつの商品に添えられた手書きのPOPからスタッフの情熱が伝わってくる旬八青果店。

「大事なのは“あなたにとっておいしい”を届けること。求めることは人それぞれなので、POPには“おいしい”ではなく、味の特徴やおすすめの調理法を書きます。“安い”も禁句。生産者さん、お客さん両方にとっての“適正価格”が重要です」。運営する(株)アグリゲートの代表・左今克憲さんはそう語る。「東京では各地の農産物に高値がつくが、産地の経済は成り立っていない」という問題意識から12年前に起業した。

「注目したのは流通に乗らない規格外の野菜。売れれば産地は潤うし、東京ではお値打ち価格で買い物ができる。それらの野菜の魅力や情報を、自分たちがお客さまに伝えながら販売したらよいのではないかと店舗を立ち上げました」

現在、8店舗のうち4店舗は住宅やオフィス、飲食店が混在する目黒・五反田界隈で展開する。多種多様な買い物客は、安さばかりを求めるわけでも高級品にこだわるわけでもなく、その絶妙なバランス感覚は旬八青果店と好相性だ。

「規格外も含めて、いまは商品の約3割が産地直送です。お客さんとこまめにコミュニケーションを取って、その声を生産者さんにフィードバックできるのも、この仕事のおもしろさですね」

目指すのは、“媒体”として生産者と消費者をつなぎ、双方にとって豊かな未来をつくることだ。


【最初の画像】
代表の左今克憲さんが立つのは、旬の果物が鮮やかに彩る旬八青果店大崎広小路店の前
 
 
 
 
所在地:品川区・目黒区を中心に東京都内に8店舗
http://shunpachi.jp