東京感動線

〝Be a changer, be a challenger〟
まずは自分で考え自分で動くこと。
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DOYA「CLOUDY」

DOYA「CLOUDY」代表取締役社長銅冶勇人さん
銅冶勇人さん
交流・体験
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継続性のあるものづくりで
みんなを笑顔にする

「五感で衝撃を受けました」
アフリカンテイストを取り入れたアパレルブランド「CLOUDY」の銅冶勇人さんは、大学の卒業旅行ではじめて訪れたアフリカで、スラム街に足を踏み入れたときの想いをそう語った。
「何百万人がごみの山に埋もれるように暮らしていて、とてつもない匂いが立ち込めていました。物乞いをする子どもたちの手は、ザラザラに荒れていて、悲鳴や罵倒、銃声がどこからともなく聞こえる。それまで自分が生きてきた世界とはまったく違いました。そのとき、自分にできることを何かしたいと直感的に思ったんです」
卒業旅行から帰ってすぐ現地の施設への送金をはじめ、社会人3年目にはNPO法人を立ち上げた。ちょうどその頃、東日本大震災が起き、被災地へ毎週末、足を運んでは、さまざまな支援活動を行った。その経験から、実際に現地で行動を起こすことの大切さを実感した銅冶さんは2015(平成27)年、会社を退職し、株式会社DOYAを起業。同年に立ち上げた「CLOUDY」の名には、「ネガティブなイメージのある『曇りの日』を『晴れの日』に変えられるようなものづくりをしていこう、という願いを込めました」
現在、アフリカに5つの工場を構え、約480名を雇用している。そこで民族柄や伝統的な織物など、アフリカの文化や生活に根ざした多彩なアイテムを生み出しているが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。

【最初の画像】
バッグ内側の巾着は、一つひとつが手づくり。ニットのテキスタイルデザインはアフリカで育成したデザイナーが手掛けたもの。ちなみに「CLOUDY」の商品タグには「5」などの数字が書いてある。これは、売り上げの「5」%を学校設立のために使うなど、商品を買うことがどのような支援につながるのかを示している

「最初は、ミシンは使えるけど、足し算ができない、メジャーで測ることができない、そういう人がほとんどでした。そこでまずは、無地のTシャツに民族衣装の布をポケットとして縫い付けるシンプルなTシャツからはじめました。それでも当初は100枚つくって、商品になるのは10枚くらい。とはいえ練習の段階から賃金を払うことのできる仕組みをつくりました。諦めずに、根気よく伝えて一緒に頑張れば、必ずかたちになります。大切なのは、現地のスキルに水準を合わせた上で、売れる商品を考えること。ビジネスとして成立させ、継続させることが雇用につながりますから」
原点ともいえるこのポケットTシャツは、いまや「CLOUDY」の看板商品のひとつになっている。
銅冶さんが雇用の創出とともに力を入れているのが教育。これまでに4つの学校をつくり、約1800名の子どもに教育の機会をもたらしてきた。
「学校をつくるにあたっては、公立の学校をつくることに特化しています。私立だと継続させるのが難しい。もし継続できなければ、子どもたちは再び教育の機会を奪われてしまいます。また、学校の数を増やすことに加えて、教育の質を上げることも大切。継続的に質の高い教育を受ける環境が整えば、雇用にもつながります」
アフリカの教育、雇用の創出を目的にさまざまな活動を行う銅冶さんだが、誰かのためという感覚はないという。
「自分がやりたいからやっているというだけです。CLOUDYを通して、つくってくださる人、購入してくださる人、応援してくださる人、かかわってくださる人、そのみんなに喜んでもらうにはどうしたらいいかを考えています。同時に、みんなと同じじゃつまらない、同じじゃなくていいとも思っています。〝右向け右〟じゃなくて“右向け左”。自分で確信できているなら、自信をもって行動したらいい。大切なのは自分で考えて実際に行動すること。そうしなければ何もはじまりません。Be a changer, be a challenger. 人は誰しも、何かを変える可能性と権利をもっています。自分に何ができるかを考え、ほんの少しでもいいから動く。それだけで相手を笑顔にすることができるはずです」

アクセス

DOYA「CLOUDY」
所在地:東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 2F
Tel:03-6450-5110

https://cloudy-tokyo.com

DOYA「CLOUDY」代表取締役社長 
銅冶勇人さん

銅冶勇人さん
どうや・ゆうと。2008年に慶應義塾大学経済学部卒業。
ゴールドマン・サックス証券に在職中の2010年、特定非営利活動法人Dooooooooを設立。
同社を退職後の2015年1月、株式会社DOYAを設立。
9月にブランド「CLOUDY」を立ち上げた。

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