

PROJECT 2
「JR東日本アプリ」のリニューアル

PROJECT 2
「JR東日本アプリ」のリニューアル
菅原 駿
SHUN SUGAWARA
- MaaS・Suica推進本部
- MaaS事業部門
- MaaSサービス開発グループ
- 2013年入社(総合職)
各路線の運行状況や駅の情報を発信し、お客さまとJR東日本をつなぐ役割を果たしているスマホアプリ「JR東日本アプリ」は、更なる使いやすさをめざし、2019年春に大幅リニューアルを行った。その開発チームの一員となった菅原は、やや異色の仕事に就いている。エンジニアの1人として、自らプログラミングを行っているのである。その使命は、チームがめざすアプリをより良いものとするとともに、アプリやシステムに関してより深い知識と技術を身につけ、JR東日本のICT活用やシステム開発のスピードアップや対応力の向上という進化をもたらすことにある。

社内エンジニアを育成するという、新たな取組み。
「大学でITビジネスを学んでいたのですが、ITの活用に関してのもので、システムの中味やプログラミングまでは興味を持っていませんでした。しかし、駅員としてJR東日本のさまざまなシステムのユーザーとなり、横浜支社で出改札機の更新にともなう機器導入にも携わり、JR東日本情報システムへ出向でユーザーの要件をシステムに反映させる仕事を担当するなど、システムとのかかわりが増すにつれ、もっと深くまで知りたいという想いが高まってきました。そんな頃に技術イノベーション推進本部への異動となり、新しい“JR東日本アプリ”リニューアルを内製化するために、部署のメンバーをエンジニアとして育成する計画があるという話を聞き、手を挙げました」
より良いサービスやシステムを検討するうえで、自分で実装できるほどに深い知識がないと、本当に良いものか判断がつかない。自分が思い描くサービスが、ITを活用してどこまで実現できるか見極められない。そうしたことが不満で、菅原はプログラミングの知識を身につけたいと思ったのである。一方、部署には、社内でエンジニアを育成することで、アプリ開発のスピードアップにつなげたいとの考えがあった。
「会社間のやりとりには何かと時間がかかります。内製化し、意思決定と実装が密に連携できる環境を作ることで、ニーズへの対応も断然速くなります」

使いやすさが大幅に向上する、新「JR東日本アプリ」
JR東日本アプリリニューアルのプロジェクトチームは、プロダクトマネージャーの他はUI(ユーザーインターフェース)を担当するデザイナー、エンジニアとも社外パートナーによって構成されており、そこへプログラミング未経験の菅原が加わることになった。最初の数ヶ月は、実作業に加わることなく1人でひたすら勉強。外部の勉強会やカンファレンスにも参加して知識と技術を身につけた。
「プロジェクトに何とか参加できる知識をつけるまでが特に大変でした。しかし、実作業に加わってからは、先輩エンジニアから実践で学ぶことができ、成長のスピードも速まったと思います」
今回のJR東日本アプリのリニューアルは、さまざまな要望を受けて「お試し的」な機能を入れるうちに肥大化し動作が重くなったシステムのスリム化がきっかけだった。
さらに、ユーザーのニーズに素早く対応できるよう開発体制も一新。それが菅原のような社内エンジニアの育成であり、リーン開発と呼ばれる手法の導入である。仮説と検証を最小コストで繰り返し、ユーザーが本当に必要としているものを提供する手法で、ユーザーインタビューの活用も重視している。
「ユーザーとの距離が近く、プロダクトマネージャーはビジネス的な観点、デザイナーはUI、エンジニアは技術と、それぞれの役割がはっきりしながら一体となって進めていることに、このプロジェクトに参加できた嬉しさを感じています。JR東日本アプリがリニューアルされる際は、必要な機能を持ちながらも、UIは大幅に向上しているので期待してください。もちろん継続的に開発を続け、機能も追加していきます」
JR東日本アプリは「情報の発信」からスタートしていますが、今後は乗換案内などの機能を充足させ、使いやすい形で提供することで、快適な移動をサポートすることをめざしています。私自身はまだエンジニアとしてのスキルを磨くことに手一杯ですが、個人的な先々の目標は、交通だけでなく生活全体がシームレスにつながるようなサービスを生み出すこと。また、私が就職活動時に軸としていたのが「ITの活用によって生活を変えたい」「出身地である東北地域の発展に寄与したい」という2つで、その実現にも近づきたいと考えています。

鉄道関連のシステムは「間違いがないこと」を重視するだが、JR東日本アプリの開発は最善だと思うサービスを素早く提供し、ユーザーの実際の意見を聞きながらより良いものに高めていくところが大きな違いだと言う。気軽にコミュニケーションが取れる今のチームの雰囲気に魅力を感じている。