

INTERVIEW 2
国際プロジェクトのリスクコントロール

国際プロジェクトの
リスクコントロール
佐藤 あかり
AKARI SATO
- 国際事業本部
- 国際ビジネス商務ユニット
- 2019年入社(総合職)
JR東日本グループの経営ビジョンである「変革2027」では、国際事業のビジネスモデルを確立し、より豊かなライフスタイルを海外でも提供していくという目標(目指す姿)が掲げられている。そして、その目標を達成するための具体的な取り組みのひとつが、「プロジェクトごとの徹底したリスクコントロールを通じた長期的な黒字化の実現」である。佐藤が所属する国際ビジネス商務ユニットは、国際プロジェクトのリスクコントロールを行うために設立されたチーム。JR東日本グループの海外における事業が活性化するなかで、国際ビジネス商務ユニットが果たす役割はますます大きくなってきている。

プロジェクトのリスクを洗い出し、重要な意思決定をサポート。
佐藤は国際ビジネス商務ユニットの業務について、「『人間ドック』によく例えられます」と言う。医療機関がさまざまな方法で健康リスクを検査し、治療方法を提案するように、国際プロジェクトのリスクを洗い出して対策をアドバイスするのが国際ビジネス商務ユニットの役割だ。
国際プロジェクトには多様なリスクがある。治安や政情の悪化などのカントリーリスク、法令違反や贈賄などのコンプライアンスリスク、取引先の倒産などの信用リスクなど、調査・分析しておくべきリスクは多岐にわたる。国際ビジネス商務ユニットは、プロジェクトの内容を主管部門からヒアリングした上で徹底してリスクを分析し、法務部門や財務部門とも連携して対策について検討を重ねることでリスクをコントロールしていく。JR東日本グループが海外で進めるビジネスは多彩であるため、佐藤たちがリスク分析を行う事業の領域も幅広い。
「台湾でのホテル開業やフィリピンの地下鉄車両製造の受注、シンガポールでのコワーキングスペース開設なども、国際ビジネス商務ユニットが関わったプロジェクトです。国際プロジェクトの重要な意思決定を行う局面をサポートできることに、大きなやりがいを感じています」
国際ビジネス商務ユニットでは、国際事業のリスクについて学べる教材の作成や勉強会の企画・運営も行っている。佐藤も輸出管理に関する社内向けのeラーニング講座を制作したばかりだ。
「国際事業に関わる社員やグループ会社社員のリスク感度を高め、グローバル人材を育成していくことも私たちには期待されています。私たちが主催した勉強会の参加者から、『今後も定期的に開催してほしい』『有益な勉強会だった』という感謝の声が上がることも多く、国際事業に関する教育体制のニーズを強く感じます」

多彩な経歴を持つ先輩方から学び、研鑽を積む日々。
11歳から16歳までの5年間をアメリカとカナダで過ごした佐藤は、海外生活を経験したからこそ、日本の魅力を再発見できたと言う。特に鉄道の充実した路線網や定時運行、快適性などは世界に誇れる日本の強みだと感じたことが、JR東日本への入社を志望するきっかけとなった。
入社後の3年間は、鉄道運行の最前線の業務を経験。中央・総武緩行線、総武快速線の運転士としても乗務した。その後本社の国際事業本部へ異動となったが、現在でも運転士を兼務し、月に2〜3回の乗務を行っている。
「運転士を兼務することで、現場の方々との人間関係を維持できたり、運行の最前線の状況を現場で体験できたりするのがメリットだと感じています。JR東日本では2019年から兼務制度を始めていますが、兼務による“新しい働き方”は今後も広がっていくものと思います」
海外生活の経験を活かすため、佐藤は入社時から国際事業に携わりたいという想いを持っていた。国際事業本部は様々なユニットに分かれているが、その中でも国際ビジネス商務ユニットの業務は特に高度な専門知識が求められる。国際ビジネス商務ユニットには、海外駐在経験者や商社からの出向社員、弁護士資格保有者など、多彩な経験とスキルを持った先輩社員が揃っており、佐藤のような若手社員が配属されるのは初めてだった。
「海外事業に関する商務、法務、税務など、この業務には幅広い専門知識が求められます。配属当初は、会議で飛び交う専門用語もほとんど理解できませんでした。しかし、先輩方に支えられて学ぶうちに、現在は会議で自ら発言することも増えてきました」
最近では、国際プロジェクトの契約書のチェックで有効なアドバイスを行い、プロジェクト担当者から感謝された佐藤。国際プロジェクトの収益力の向上に貢献していくために、佐藤はリスクコントロールのスペシャリストとしての歩みを進めていく。
国際事業本部での業務を通して、国際プロジェクトにはさまざまな部門が関わり、リスクとリターンをコントロールしながら進めていることを知りました。そして、配属前はプレスリリースや社内報でしか知ることのなかった華やかな国際プロジェクトも、見えないところで多くの苦労があることもわかりました。国際ビジネス商務ユニットでしっかり経験を積んだあとに、私もいつかは特定の国際プロジェクトに深く関わる業務に就きたいと思っています。ひとつのプロジェクトを自分が中心となって進めることで、現在の業務とはまた違った景色が見えるはずです。そうした経験も積み、グローバル人材として成長していきたいですね。
一方で、インバウンド戦略に携わってみたいという気持ちもあります。海外で生活したことがあるので、外から見た日本の魅力をよく理解できているのも私の強みだと思います。海外からのお客さまにJR東日本管内の魅力を伝え、多言語案内などによって安心して旅行いただける環境を整えることに貢献していきたいです。

学生時代は社会心理学を専攻し、文化的な背景によって世界の見え方やものごとに対する考え方が異なるメカニズムを研究対象とする「文化心理学」を重点的に学ぶ。同時に応援部の吹奏楽団にも所属。チームで一致団結して目標を達成することのやりがいを感じたことも、チームワークで社会基盤を支えるJR東日本を志望する動機のひとつとなった。入社後は千葉駅での業務に従事し、その後千葉支社の営業部で駅社員に対する訓練の運営などを担当。習志野運輸区で運転士として乗務した後に、国際事業本部に異動となった。