東京感動線

次世代の真打ちは
土曜の夜に腕を磨く
038

この記事をシェア

お気に入りに追加する

新宿 末廣亭

まち
Scroll

深夜寄席で堪能する若き“二ツ目”たちの話芸

1897年に創業した「堀江亭」を前身として戦後に再建、東京の大衆に粋な笑いを提供してきた新宿 末廣亭。毎週土曜の夜、ここに長蛇の列ができる。待ちかねるのは、真打ち昇進を控えた“二ツ目”たちの落語を1000円で気軽に楽しめる深夜寄席だ。

「落語家は前座から二ツ目になると楽屋での仕事がなくなって、寄席から足が遠のきます。しかも二ツ目から真打ちになるには10年ほどかかる。困った二ツ目たちが『本興行が終わった後の寄席を使わせてほしい』と申し出たのが48年前。いまでは行列ができるけれど、もとは彼らの勉強の場だったんです」

北村幾夫会長はそう語りながら、路上で呼び込みの声を上げる二ツ目たちを見守っている。

取材当日に出演したのは柳亭市弥さん、林家扇さん、柳亭市童さん、柳家緑助さん。
彼ら20〜30代の二ツ目たちは、会場整理から会計まですべてを自分たちで担う。

「お客さんには若い方や、日頃寄席に来ることがない方も多いんです。だからこそ『落語っておもしろい!』と思って帰ってもらわないといけない。僕たちの腕次第ですから、緊張感はありますね」

この日のトップバッター、柳亭市弥さんはそう意気込む。
次期真打ちを期待された若き二ツ目たちと、彼らを応援する人々がつくり上げる夜の熱気。落語という文化が受け継がれる最前線は、ここなのかもしれない。

落語家の人数、過去最多で1000人に

落語家の人数は江戸時代以来最多を記録し、現在約1000人に。

女性の落語家も増え、いまや東西合わせて55人ほどが活躍しているそう。取材当日、高座に上がった林家扇さんも、真打ちを目指す女性落語家のひとり。

伝統芸能として時を止めることなく、時代のセンスの中で絶え間なく進化し続けてきた落語。その底力は、数からも察することができる。

アクセス

所在地:東京都新宿区新宿3-6-12 
Tel:03-3351-2974
営業時間:昼の部12:00〜16:30/夜の部17:00〜21:00 ※土曜のみの深夜寄席21:30〜23:00 
http://www.suehirotei.com/