丸の内ハウス 統括マネージャー 玉田 泉

元三菱地所勤務。当時は大手町ビル1階の大手町カフェを担当しその後、丸の内ハウス統括マネージャーに就任。
現在は、同職を丸の内ハウス事務局にて執り行う。
テーブルビート代表取締役 佐藤俊博

かつて東京の夜を席巻したツバキハウスやGOLDをプロデュース。
現在は丸の内ハウスで蒸し料理レストラン「MUS MUS」のほか「来夢来人」、「現バー」を経営している。
「丸の内ハウス」は、新丸ビル7階にある9店舗のレストランフロア。
ただの飲食店街ではなく、さまざまな情報発信をする場であり、街づくりの発想をもとに、丸の内に「サロン」のようなたまり場が必要という考え方から創られた空間。
その中心人物のお二人に、この“街”のコンセプトや夜の過ごし方の変化についてうかがった。
12年前、朝4時まで営業する街が生まれた経緯を教えてください。
佐藤:僕が六本木や芝浦でディスコやクラブをやってた70年代から90年代って、いろんな若者文化がはじまった時代なんです。
たとえば雑誌でいえば、ポパイやブルータスの創刊、ファッションだとDCブランド、音楽ではダンスミュージック、DJも個性あるクリエイターとして登場しました。
僕のお店にはそれぞれの業界の最先端にいる人たちが新しいモノやコトを求めて、集まってきていました。
新宿のゴールデン街では映画関係や小説家や出版関係の人たちが集まる店があって、熱く語り合っていた。
ところが、丸の内はそういうところがない。お金を使ってくれるエリートたちも銀座や六本木に流れていました。
玉田:幅広い世代の人たちが仕事終わりに集える場所が丸の内にもあればいいのに、という思いが開発した三菱地所内にもあって、7階に誕生したのが街のようなこのフロアです。
時代を牽引するようなお店をつくられていた方々が新しい夜の街づくりや丸の内の活性化に賛同してくださいました。
佐藤さんは3店舗のオーナーでこの街のボス的存在。私は全体を統括する仕事です。
昼にはない世界。お二人が考える夜の魅力って何でしょう。
佐藤:夜の魅力は、人との出会いでしょうね。自分の会社の上司と飲むことも大切だけど、いろんな人が交じり合っているから、店で知り合ったはじめての人ともお酒を飲んだり、リアルな情報を得ることができます。
街の違いや店の形態によっても異なると思うけれど、まったく知らない業界、違う年の人と出会えることが大きな魅力です。
たとえば「スナック」は、街の特性が客層などでリアルに表現されるし、ドアを開ければ新しいコミュニケーションができる場。
丸の内にはスナックは皆無でしたから、ここではじめると街が活性化するんじゃないかと。
玉田:丸の内はもちろん、ほかの街でも朝4時まで営業している商業施設なんてあまりない時代でしたからね。DJブースをつくって、好きな音楽を聴いてお食事したり、おしゃべりしたりして、夜を楽しんでもらうことにチャレンジしました。
大人の流儀、大人の楽しみ方を教えてくれるのが夜の街であると。
佐藤:昔は丸の内あたりや銀座にも靴磨きの人がいた。ネクタイも昼と夜で替えるのは、夜に対する礼儀だったのでしょう。夜はTPOに関しても厳しい。居酒屋で騒ぐのはある程度許されるけれど、いいバーに行けばきちんと酒と向き合うことも要求される。それぞれの流儀があり、それはネットで検索しても具体的にはわからない。足を運んで覚えるしかない。
最近は、海外から来られたお客様もかなりいらっしゃいますよね。
玉田:日本にはじめて来られた方は京都の街や広島の嚴島神社、和歌山の高野山が人気だと思いますが、路地がある丸の内ハウスという空間に日本の娯楽性を感じてもらっているのかもしれない。仕事で東京に来られた方がフラッと立ち寄れる場所ですからね。
三菱地所の人がロックフェラーの方を連れて、とても気に入られたって。
夜の経済活動を活性化するために、何かご要望はありますか。
佐藤:電車やバスが午前2時まであると、ゆったり楽しめる。接待費も優遇してほしいなあ。
玉田:山手線一周を遊園地にたとえると、それぞれの街がアトラクションの役割を担う意識をもつべきです。
東京の盛り場をグルッと一周できる山手線は世界的にすごい電車ですよね。
オリンピック後も深夜運行を考えていただけると、うれしいです。
今回のインタビュー場所となったのは、丸の内ハウスの1店舗、スナックの「来夢来人」。
ここはスナックの中のスナックともいえる、丸の内ハウスの象徴的なお店。
丸の内OLの憩いの場として新丸ビル誕生時の12年前にオープン。
超一流インテリアデザイナーなどのクリエイターたちが下町や地方の盛り場にあるスナックのインテリアを研究し、日本を代表するビジネス拠点のスナックが生まれた。
オーナーの佐藤さんを訪ねて有名芸能人がひょっこり現れることも多いが、特別扱いはしない。
その有名芸能人にまつわる告知ポスターもご自分で貼っていただく。またお客は、基本的には女性と、女性同伴の男性のみの対応としている。
賑やかにボックスで歌うもよし。静かにカウンターでグラスを傾けるのもよし。
年齢、国籍、男女の垣根を超えて、さまざまな人が素顔のままに夜の丸の内を楽しめる場所だ。
所在地:東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル7F
営業時間:11:00~翌4:00(日曜、祝日、連休最終日は~23:00)※店舗により異なる
http://www.marunouchi-house.com/
元三菱地所勤務。当時は大手町ビル1階の大手町カフェを担当しその後、丸の内ハウス統括マネージャーに就任。
現在は、同職を丸の内ハウス事務局にて執り行う。
かつて東京の夜を席巻したツバキハウスやGOLDをプロデュース。
現在は丸の内ハウスで蒸し料理レストラン「MUS MUS」のほか「来夢来人」、「現バー」を経営している。