

PROJECT 3
TAKANAWA GATEWAY CITYのまちづくり

TAKANAWA GATEWAY CITYのまちづくり
島川 えり子
ERIKO SHIMAKAWA
- マーケティング本部
- まちづくり部門
- 品川ユニット
- 共創推進グループ
JR東日本は発足以来、駅の利便性を活かしたオフィスビルやショッピングセンター、ホテルなどの不動産開発事業を積極化してきた。近年の大型プロジェクトでは渋谷スクランブルスクエア(第Ⅰ期)やJR横浜タワーの開業などがあるが、さらに大規模なまちづくりとして進行中なのが品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)である。品川〜田町駅間に広がる品川車両基地の跡地を含む敷地面積約7万2000㎡を開発するもので、2020年3月には、山手線で30番目、49年ぶりの新駅として高輪ゲートウェイ駅が開業している。並行して同駅周辺のまちづくりも進められており、開発コンセプトに「Global Gateway」を掲げ、新たなビジネス・文化を生みだし続ける「TAKANAWA GATEWAY CITYのまちづくり」をいかに実り多いものにするか。それがまちづくり部門に所属する島川のミッションである。

心豊かなくらしのための「実験場」という斬新なコンセプト。
2022年4月21日、JR東日本は「高輪ゲートウェイシティ(仮称)のまちづくりについて」と題したニュースリリースを配信した。2020年の新駅開業以来、注目を集めてきた高輪ゲートウェイ駅周辺のまちづくりの概要を示したものである。
「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)については、これまでも都市計画決定などに伴いニュースリリースは出してきましたが、まちづくりのコンセプトに基づくソフト面の具体施策を含めて大きく公表するのは今回が初めてです。これを機に色々な情報がオープンできるようになったので、関心を持っていただいた企業や組織をより広く呼び込み、まちづくりを前進させるための大きなターニングポイントになったと感じます」。今回のリリースの作成や記者発表にも加わった島川はこのように語る。
また、2023年5月16日には、未来への実験場「TAKANAWA GATEWAY CITY」として、街の正式名称やロゴ、多様な実験を可能にする取り組みや、環境先導のまちづくりについてのプレスをリリースした。
TAKANAWA GATEWAY CITYのまちづくりは敷地面積約7万2000㎡に及ぶ。ここに地上30階〜40階クラスの高層ビル4棟と、低層の文化創造棟からなる4つの街区を整備する。このスケールの大きさにも驚かされるが、まちづくりのコンセプトも独創的だ。
そのコンセプトとは、「Global
Gateway」の実現に向けて、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」を構築します、というもの。JR東日本ではかつてない規模で社外に共創を呼びかけ、街全体に広がる多様なオープンスペースを活用しながら、社会課題の解決に資する未来志向の技術や取り組みの実証実験を行うことで、より豊かなくらしの実現をめざしている。

分散型のまちづくりに向けた「空間自在プロジェクト」にも参加。
島川が所属する品川ユニットの業務は多岐にわたるため、着任当初は品川開発プロジェクト全体の把握はもちろん、ユニットの具体的な動きを把握することにかなりの時間を要したようだ。
「地域のコミュニティづくりやホテルなど街の各機能の開業準備に並んで、新規事業の創出が重要な仕事になっていることは驚きでした。既成概念にとらわれず、まちに新たな価値を加えるわけで、産みの苦しみはあるものの、TAKANAWA GATEWAY CITYならではの挑戦に加わっていることにやりがいを感じます」
品川ユニットではメンバーそれぞれが様々な担当業務を持ち活動しているが、島川が現在、主に担当しているのは次の3つだ。1つは「ブランディングプロモーション」。まちづくりのコンセプトや進捗を外部に発信する役割で、ニュースリリースの発信なども含まれる。もう1つがホテル開業に関わる業務。国際的なホテルブランド「JWマリオット」の首都圏初進出が決まっており、開業に向け同ホテルとの調整を進めている。そしてもう1つ、KDDIとの共創事業である「空間自在プロジェクト」の推進。このプロジェクトはJR東日本のリアル、KDDIの通信という強力なネットワークを融合し、場所や時間にとらわれない多様な働き方やくらしを創出しようというものだ。
TAKANAWA GATEWAY CITYのまちびらきでは、複合棟および高輪ゲートウェイ駅周辺エリアを2024年度末(2025年3月)に、その他の棟(複合棟・文化創造棟・住宅棟)および各棟周辺エリアを2025年度中に開業する予定となっている。それまでに地域との連携をどこまで深められるか。そして社外との共創等を通した新規事業の創出など新たな取組みをどれだけ広げられるか。失敗を恐れず前向きに挑む姿勢を評価してくれるチームの雰囲気に後押しされ、島川は真っ白なキャンバスに夢を描く挑戦を続けている。
都市開発の仕事に興味を持っていたのと同時に、鉄道のような重要な社会インフラを支え、駅ビル・駅ナカなど生活に密着したサービスも手がけていることに魅力を感じてJR東日本に入社しました。その希望通りこれまで様々な経験をしてきましたが、今回のTAKANAWA GATEWAY CITYのまちづくりを通じて、他企業や社外組織との共創をより多く経験することで自分の幅をもっと広げたいと考えています。また新しく生まれる街に、私が想う理想の働き方・暮らし方を少しでも紛れ込ませたいですね。さらに先の目標としては、社外の知見をインプットすることで、鉄道や駅といったリアルアセットを持つJR東日本の強みをさらに強化するような仕事にも携われればと思っています。

入社後のスタートはJR東日本グループの日本ホテルへの出向で、都内のホテルメトロポリタンやホテルメッツでホテル運営の実務を学ぶ。2016年に首都圏本部のびゅう事業部に異動し、旅行商品の企画・仕入などに携わる。この間に「きれいになろう」という、都内のホテルに泊まりエステなどを楽しむ旅行商品の企画・仕入に携わったことが特に記憶に残るという。その後、新宿駅の勤務などを経て、2018年に仙台ターミナルビルに出向。ホテルメトロポリタン山形 南館の増築に携わり、内装や客室備品、アートワークに地域の名産品を取り入れるなどして独自の魅力とやすらぎに溢れたホテル空間を具現化する。2021年から現職。