

高輪ゲートウェイ駅
「グローバルゲートウェイ品川」をコンセプトに、
2024年頃のまちびらきを予定しているあたらしい街の核として、
東京と世界をつなぐ玄関口となることを目指している駅です。
新たな国際交流拠点となる街への玄関口として田町駅~品川駅間に建設されたのが、高輪ゲートウェイ駅です。
品川駅・田町駅周辺エリアは、首都圏と世界、国内の各都市をつなぐ広域交通結節点としての役割が強まっており、目指すべき将来像等について行政等と検討が進められてきました。その中心に位置する品川車両基地を見直すことで創出された大規模用地を活用し、「グローバルゲートウェイ品川」として世界中から先進的な企業・人材が集い、多様な交流から新たなビジネス・文化が生まれる新しいまちづくりを現在推進しています。
その一連の計画の中で国際交流拠点となる新たな街の玄関口として田町~品川駅間に新駅を設置することとし、新駅となる高輪ゲートウェイ駅がJR品川車両基地跡地内の田町駅から約1.3㎞、品川駅から約0.9㎞付近に新設されることとなりました。

高輪ゲートウェイ駅に込めた想いと特徴
高輪ゲートウェイ駅が位置する周辺地域は、かつて江戸の玄関口として賑わい明治時代には地域を繋ぐ鉄道が開通した地域であるという歴史的背景と、現在推進している新たなまちづくりのコンセプトを踏まえ、新たな価値や可能性が創出される日本や街のゲートウェイとして機能し皆さまに末永く親しまれることを願いながら計画を行いました。設計デザインの検討にあたっては、駅舎設計の実績を持ち、かつ世界で活躍している隈研吾氏監修のもと、駅として鉄道利用者や周辺地域の方々に末永く安全・快適にご利用いただけるための配慮を行いながら、「エキマチ一体」「和」「環境配慮」などの観点で計画した特徴を持つ駅となっています。

高輪ゲートウェイ駅を形作る建築技術
新・国際都市として人と地域をつなぎ、駅と街を一体的な空間として感じていただける「エキマチ一体」を実現するため、駅舎東西面に大きなガラス面を設け、コンコース階に約1,000m2の大きな吹き抜けを設けることにより、「えき」から「まち」、また、「まち」から「えき」を見通せる隔たりのない開放的な空間を創る計画となっています。吹抜直下は線路であることから安全性を考慮した高さを設けたガラス手すりを設置し、すっきりとした駅舎空間を実現するために、2階の人工地盤内に配線等を隠蔽することや、壁天井への設備埋込、EV周囲への設備集約等を行っています。人工地盤内は人が通れる空間とすることで内部での点検作業を可能とすることなど、列車運行への影響を最小限に留めることや、維持管理面での効率化にも配慮した計画となっています。
日本の魅力を発信していくために、日本の伝統的な折り紙をモチーフとした大屋根を、障子をイメージして「膜」や「木」等の素材を活用し「和」を具現化したほか、膜屋根をランダムに折ることで、駅の多様な表情を生み出す計画となっています。内外装材にも木材を使用したほか、一部の高所部や床等には木目調のアルミパネルやタイル等を採用し、空間の統一性を図りながらも、毎日多くのお客さまが利用される駅の特情を踏まえ、長く安全にご利用頂けるための材料選定を行いました。また、今回採用した大屋根の膜材は、日射の熱反射率が高いものを採用したことで、内部の温度上昇を抑制し、日射透過性を高め日中の照明電力量削減を図るという環境や快適性向上にも貢献しています。そのほか太陽光パネルの採用や、夏季の温熱環境改善のために立地条件を生かして海風を取り入れられる換気窓の設置なども行っています。
施工にあたっては、敷地内を走る鉄道の運行を妨げないように、安全上の様々な工夫をこらします。夜間の終電~始発のごく短時間にしか施工できない作業を見極め、日中作業においては安全を確保するために、線路軌道の中心から5mの位置にレーザーバリアを設置して吊荷が危険な位置に飛び出さないように配慮することもありました。また足場や施工ステップを検討することにより、安全・安定輸送を保ちながらより安全・効率的な作業が行える環境を整えました。



山口 莉加
RIKA YAMAGUCHI
建築学 専攻
2015年入社
人や暮らしの結節点である駅の可能性を追求します。
私たちの仕事は、多くのお客さまにご利用いただく駅の魅力や安全性を、建築の知識を活かして追求することです。高輪ゲートウェイ駅新築工事では、プラン計画から細部の納まりや工事調整などプロジェクト全体にわたって社内外の関係者と知恵を出し合い、新たなまちの玄関口に相応しい駅の実現に向け取り組んでいます。未来の社会に求められる駅の在り方を想い描きながら、次代に受け継がれる駅を創造していきます。