東京感動線

子育て世代から絶大な支持を得る
オーガニックとアレルギー対応へのこだわり
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クレヨンハウス
オーガニックレストラン 広場

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“子ども・女性・オーガニック”
を合言葉にスタート

ハイブランドのショップが軒を連ねる表参道のメインストリートからひとつ角を曲がると、突然小さな森が出現する。1976年に作家の落合恵子さんが立ち上げた子どもの本の専門店・クレヨンハウスだ。70年代半ばといえば高度経済成長期が終焉を迎え、環境汚染や有機農業が注目されはじめた時期。オープンに際して掲げられた“子ども・女性・オーガニック”というテーマは、まさに時代の空気だったという。
「書店と一緒にレストランもオープンしました。たくさんの親子が食事をする場ということで、理想を言えばオーガニック食品のみを使いたかったそうですが、まだそうした食材が十分に出回っていなかった時代。食材の入荷がなんとか安定するようになって、本格的なオーガニックレストランとしてスタートしたのは1991年だったそうです」 
約20年にわたってクレヨンハウスの広報を務めてきた辻村俊之さんはそう語る。

【画像1】
ビュッフェに並ぶ大皿ひとつひとつの前には、食材名とアレルゲンを明記したプレートが

【画像2】
現在はコロナウィルス感染対策として、免疫力を上げる野菜のスープ「ファイトケミカル・スープ」がサービスされている

アレルギー対応に妥協せず
楽しい食事の時間を彩る

子育て世代にとって「安心して子どもに食べさせられる食事」は、常に大きな関心事のひとつ。クレヨンハウスは食材を厳選していることに加え、徹底した食物アレルギー対応を行っていることでも長年にわたって支持されてきた。 
「レストランはビュッフェ形式(*)で、メニューには小麦粉や乳製品など主なアレルゲンをなるべく使わないように工夫したものもあるので、どなたにも食事を楽しんでいただけます。使用した食材は、調味料や揚げ物の衣に至るまで、すべて明記しています」
小さなミスであっても、それが原因でアレルギーをもつ人に症状が現れれば一大事。スタッフは常に緊張感を保っている。
「農薬を使わない有機農産物の生産量は、天候や病害虫に左右されがちなので、食材が予定どおりに入荷されないことは多々あります。キッチンとホール、両方の担当者でチェックして、食材の記載に漏れがないように気を付けています。直前に材料の変更があった日は要注意ですね。」
オーガニックの食材にこだわるほど食材管理は難しく、アレルギー対応の苦労も大きくなるが、この両立に妥協はできない。
「アレルギーのない人ですら、食品添加物などケミカルな物質が体内に蓄積すれば体調を崩す可能性はあります。アレルギーをもっている人は、オーガニック食品を選ぶ方がより安心なんですよ」
とはいえ、制限ばかりの食事では親子とも息苦しくなりがち。そんな葛藤も、辻村さんをはじめスタッフはやわらかく共有している。
「なにはともあれ、食事はおいしい料理とおしゃべりを親子で楽しむ時間であってほしい。ここがそんな時間を安心して過ごせる場であれば、私たちもうれしいですね」

【画像3】
レストランのテラス席の周辺には、有機野菜やオーガニックフード、環境にやさしい生活雑貨などが販売されている
 
 
 
 

新たなオーガニック認証を得て
さらなる高みへ

去年は念願だった「オーガニックレストランJAS認証」第1号を取得した。この認証を得るには、使用している食材の95%がオーガニックでなければならないという。
「オーガニックという言葉はもはや一般的になりましたが、実は国内の有機農産物の生産量は、全体の5%にも満たないんです。このような状況で完全なオーガニックを目指すのは大変なことですが、可能な限り続けていきたいですね」
かつてここに来ることを楽しみにしていた子どもたちが親となり、我が子の手を引いてやってくるというのはよく聞く話。信頼と安心は、確実に受け継がれている。
 
 
 
 

アクセス

アクセス

クレヨンハウス オーガニックレストラン 広場
所在地:東京都港区北青山3-8-15 B1F
電話:03-3406-6409
営業時間:平日 11:00〜22:00(L.O.21:30) 

*新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一時的にビュッフェをスタッフがサーブする方式に変更しています。詳細はHPをご確認ください。

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