おいしく、楽しく食べて課題解決
「私の体形を見ればわかると思いますが、子ども時代から食べることが大好き。大学のAO入試も食関連で合格したくらいです」。弾ける笑顔でこう話すのは、日本初の食品ロス削減を目指すフードシェアのプラットフォーム「TEBETE」を創った川越一磨さん。
「パンや総菜などの中食店や飲食店の食品ロスによる経済損失は、年間3000億円といわれています。食品ロスの問題をボランティア精神で解決するのではなく、ビジネスとして確立したいと考えました」と開発動機を話す。
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代表取締役CEOの川越一磨さんは、共同創設者で取締役の伊作太一さんとともに「Forbes 30 Under 30 Asia(アジアを代表する30歳未満の30人)」の「THE ART」部門に選出された
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まだ安全に食べられる食品の廃棄を減らす目的に賛同して参加するユーザーが多いのが「TABETE」の特徴だ
利用方法は非常にシンプル。会員登録すると、まだ安全に食べられるが廃棄の可能性のある商品と店舗の一覧が示される。レスキューする商品を選んで事前決済したら、後はユーザーが店舗に取りに行くだけ。パンや総菜などを扱う中食店を中心に、登録店舗は約1300店、ユーザー登録数約30万人の持続可能な未来型の食のサプライチェーンとして注目される。
「ユーザーは30~40代の働く女性が多いです。食品ロスを削減するという目的と1食からアクションができ、上限価格が680円と気軽であることが、問題意識の高い女性にマッチしたのでしょう」と川越さん。現在は全国の自治体との連携を進めるとともに、約1万人が働く東京駅のエキナカ店とその従業員を対象としたサービスもスタートした。
川越さんは言う。「コロナ禍で“食”と向かい合う時間が増えた人も多いでしょう。おいしく、楽しく課題解決をする。これが未来型の食のあり方だと思います」
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アプリの画像でユーザーが手軽に食品を確認できるうえに、キャッシュレス決済によって販売店の負担を減らし、売り上げ向上につなげるシステムとなっている