東京感動線

食の多様化を受け止めたい
植物由来の新しいカタチのお菓子
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Plant Based(プラントベース)

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「食」の世界でも始まるダイバーシティの動き

2018年、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)を中心に、食の多様化に対応するフードダイバーシティのプロジェクトが始まった。その引き金となったのは、日本の主要玄関口のひとつ、東京駅の案内所に寄せられた声だった。
「インバウンドで日本にいらっしゃる方など、異なる背景をもつお客さまの中には、食に制限がある方も多く、安心して食べられるものを探していることを生の声として知りました」。JR東日本の岡﨑恭子さんと長井あやかさんは振り返る。

【最初の画像】
「Plant Based(プラントベース)」の開発を担当するJR東日本 東京支社 事業部の岡﨑恭子さん(左)と長井あやかさん(右)

【画像1】
「Las Olasシリーズ」は、抹茶クッキーやフロランタン、ブール・ド・ネージュなど6種の味わいを揃えた(製造:株式会社ガトー・ド・ボワイヤージュ)

プロジェクトは、食の文化・習慣を正しく理解するところからスタート。しかし、調べるにつれ、細かいニーズに対応しようとすると、かえって選択肢を狭めてしまうことがわかった。そこで、できるだけ幅広い層に受け入れてもらえる方法を模索し、原材料には卵・乳製品など動物性食材を不使用とし、加えてアルコールフリーとすることに決定。具体的なアイテムは、旅の思い出や贈り物にもなるお土産・スイーツにした。

【画像2】
「東京ばな奈『見ぃつけたっ』アーモンドキャラメルサンド」は、ほのかにバナナが香るアーモンドキャラメルにローストアーモンドを散りばめ、北海道産の小麦「きたほなみ」のクッキーで包み込んだ(製造:株式会社グレープストーン)

こうした主旨に賛同する菓子メーカー3社と、“おいしさ”を徹底的に追求し、関係者のみならず食へのポリシーをもつ方々にも納得して試食してもらい、納得する味になるまで何度も試作・試食を重ねた。企画開始から約2年後の今年2月、ついに第一弾商品をリリース。商品の目印はパッケージに付けられた、“植物由来の”を意味する「Plant Based」のロゴだ。「穀物を2つの葉で包むデザインは、多様な生き方や、考え方を受け入れるやさしさを表現しています」と岡﨑さん。
東京駅を起点に始まった、人と人をつなぐフードダイバーシティの取り組みは、日本の新たな食文化の一歩となりそうだ。

【画像3】
「東京カンパネラブラウン」は、全粒粉をブレンドしたバターを使わない3層のラングドシャで、乳成分フリーのチョコを優しくはさみ軽い味わいに仕上げている(製造:株式会社アイル)



東京駅を起点に始まった、人と人をつなぐフードダイバーシティの取り組みは、日本の新たな食文化の一歩となりそうだ。

販売箇所
・のもの東京店
・東京駅新幹線南のりかえ口前 臨時販売スペース
※予告なく販売を終了することがございます