講座の舞台を旅する
第6回 第2部 芹沢銈介が残した東北の美

「技と美をめぐる東北の旅」

講座の舞台となった東北地方の地図
【宮城】東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館

【宮城】 東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館

1894年(昭和59年)、芹沢銈介の長男・長介氏(考古学者)が東北福祉大学に赴任。父の作品や工芸コレクションを大学に寄贈し、1989年(平成元年)に開館した。完成前の下絵や色の指示書など、工程における貴重な資料も展示。

  • 住所/宮城県仙台市宮城野区榴岡2-5-26
    東北福祉大学仙台駅東口キャンパス2階
  • 交通/JR「仙台駅」より徒歩約3分
  • 電話/022-717-3318
講師/濱田 淑子氏の写真

古今東西の工芸品のコレクターとしても知られる芹沢ですが、収集を「もう一つの創造」と捉えていました。この施設には、世界各国の品々を約1000点収蔵しています。

【青森】鷹山宇一記念美術館(絵馬館)

【青森】 鷹山宇一記念美術館(絵馬館)

七戸出身の洋画家・鷹山宇一の作品をはじめ、「絵馬館」では町内の古刹・見町観音堂と小田子不動堂が所有する南部小絵馬などの民俗資料を展示。鷹山自らが収集したオイルランプなども紹介している。

  • 住所/青森県上北郡七戸町字荒熊内67-94
  • 交通/JR「七戸十和田駅」より徒歩約7分
  • 電話/0176-62-5858
講師/濱田 淑子氏の写真

芹沢は24歳の頃から各地の小絵馬を集めており、柳宗悦と「民藝」についての美意識を通い合わせる大きなきっかけになった収集品の一つです。

【秋田】角館樺細工伝承館

【秋田】 角館樺細工伝承館

樺細工の振興のため1978年(昭和53年)に開館。江戸中期に創始された樺細工の技を絶やさぬよう、柳宗悦が中心となって助言し、樺細工産業の礎を築いた。館内は樺細工の製作実演、イタヤ細工や白岩焼など角館の工芸品を展示。

  • 住所/秋田県仙北市角館町表町下丁10-1
  • 交通/JR「角館駅」より徒歩約20分
  • 電話/0187-54-1700
講師/濱田 淑子氏の写真

芹沢は柳の導きにより、各地の工芸品デザイン指導を担いました。樺細工もその一つ。無駄になった山桜の樹皮を活用するため、モザイク状にした樺細工などを考案しました。

【岩手】光原社

【岩手】 光原社

宮沢賢治の『注文の多い料理店』の出版元が前身。創業者の及川四郎は柳宗悦をはじめ、南部鉄器作家の高橋萬治や版画の棟方志功、芹沢銈介などとの出会いにより、鉄器や漆器の販売を開始した。現在では日本各地の工芸品を扱う。

  • 住所/岩手県盛岡市材木町2-18
  • 交通/JR「盛岡駅」より徒歩約10分
  • 電話/019-622-2894
講師/濱田 淑子氏の写真

光原社は、芹沢をはじめ、柳宗悦や濱田庄司、河井寛次郎など民芸同人たちのサロン的な役割を担い、活発な情報交換が行われていました。中庭の喫茶「可否館」の看板は芹沢によるものです。

【山形】致道博物館

【山形】 致道博物館

庄内藩の御用屋敷地に設立された博物館。旧鶴岡警察署庁舎をはじめ、貴重な歴史的建造物を移築し公開。「重要有形民俗文化財収蔵庫」には庄内地方の民具を多数所蔵、芹沢が型絵染で描いた「ばんどり」の実物もここで見られる。

  • 住所/山形県鶴岡市家中新町10-18
  • 交通/JR「鶴岡駅」よりバスで「致道博物館前」下車、徒歩約2分
  • 電話/0235-22-1199
講師/濱田 淑子氏の写真

ばんどりとは荷運び用の背中当てのこと。庄内ではムササビをこう呼び、形が似ているため名付けらました。婚礼道具を運ぶ「祝いばんどり」など、用途によって使い分けられました。

【福島】高柴デコ屋敷

【福島】 高柴デコ屋敷

江戸時代から続く三春張子と三春駒発祥の地。現在でも4軒の工房が伝統を守り、玩具を作り続けている。「デコ」とは人形のこと。張子の絵付け体験のほか、デコ屋敷の職人が集落の文化財や史跡を案内する、デコ散歩を開催。

  • 住所/福島県郡山市西田町高柴字舘野169
    (高柴デコ観光協会事務局 おいち茶屋内)
  • 交通/JR「三春駅」より車で約5分
  • 電話/080-2817-1505
講師/濱田 淑子氏の写真

人形の中でも芹沢が特に好きだったのが三春張子人形で、全国屈指のコレクターでもありました。『張子いろいろ』という絵本も書いています。仙台の土人形「堤人形」もお気に入りでした。