講座の舞台を旅する
第5回 第2部 東北で紡がれた手しごとの物語

「時代を超えて受け継ぐ物を探しに」

講座の舞台となった東北地方の地図
【青森】暮らしのクラフト ゆずりは

【青森】 暮らしのクラフト ゆずりは

「日々の暮らしの中で使っていただけるもの」をテーマに、青森出身の店主・田中陽子氏が東北に伝わる手づくりの品々を収集。伝統を広め、技術を受け継ぐ後継者を育成し、新しい作品の可能性を広げるアンテナショップ的な存在。

  • 住所/青森県十和田市十和田湖畔休屋486
  • 交通/JR「八戸駅」よりバスで「十和田湖駅」下車、徒歩約3分
  • 電話/0176-75-2290
講師/田中 陽子氏の写真

自ら作った地図を片手に31年間で300人もの職人を訪ねました。住んでいる家や、見ている風景、手仕事への思いを感じながら、心からその人を紹介したいと思うことは、私の元気の源なのです。

【岩手/浄法寺塗】滴生舎(てきせいしゃ)

【岩手/浄法寺塗】 滴生舎(てきせいしゃ)

二戸地域は国内最大の漆の産地。丁寧な塗り重ねと研磨を繰り返し、光沢を抑えた本朱、黒、溜色などの浄法寺塗の器は優しい手触りで、シンプルで飽きないデザイン。販売だけでなく漆ストラップのつや出し体験もある。

  • 住所/岩手県二戸市浄法寺町御山中前田23-6
  • 交通/JR「二戸駅」より車で約20分
  • 電話/0195-38-2511
講師/田中 陽子氏の写真

漆の樹液で樽をいっぱいにしようと思ったら、200本の漆の木を掻かないといけません。一本の木からほんの少ししか取れない。傷ついた木肌を見ると、木の命をいただいていると感じます。

【秋田/曲げわっぱ】柴田慶信商店 わっぱビルヂング店

【秋田/曲げわっぱ】 柴田慶信商店
わっぱビルヂング店

天然杉で作られる白木の曲げわっぱに入れたご飯は冷めても美味しく、抗菌効果があるので傷みにくい。弁当箱、カップなど各種曲げわっぱの販売、創業者が集めた世界の曲げ物の展示ほか、曲げわっぱの製作体験が可能(要予約)。

  • 住所/秋田県大館市御成町1丁目12-27
  • 交通/JR「大館駅」より徒歩約3分
  • 電話/0186-59-7123
講師/田中 陽子氏の写真

かつては山に入るとき、わっぱの身にもフタにもご飯をぎっしり詰めました。でも全部食べ切ることをせず、必ず一口残すんです。山で何があるか分からないという、自然への畏敬の念の表れです。

【宮城/仙台箪笥】オルゴールと木のバッグ 熊野洞ギャラリー

【宮城/仙台箪笥】オルゴールと木のバッグ
熊野洞ギャラリー

仙台箪笥の高度な木工技術を応用し、木製のバッグやオルゴールなどを製作・販売。自然な木の風合いや木目を生かした木製バッグは洋服はもちろん和服にも。工房では製造工程で出たかんなくずやおがくずを無料で提供(要予約)。

  • ■熊野洞ギャラリー
  • 住所/宮城県仙台市青葉区小田原7-2-1
  • 交通/JR「仙台駅」よりバスで「宮町二丁目」下車、徒歩約8分
  • 電話/022-223-5897
  • ■熊野洞(工房)
  • 住所/宮城県仙台市宮城野区岩切昭和北1-1
  • 交通/JR「岩切駅」よりバスで「今市橋」下車、徒歩約20分
  • 電話/022-255-8673
講師/田中 陽子氏の写真

仙台箪笥の技で木製バッグを作る、この職人。幼いときに父親が作ってくれた木のおもちゃを見ていると、「木は楽しむものだ」と言っているような気がしたそうです。

【山形/羽越しな布】関川しな織センター

【山形/羽越しな布】 関川しな織センター

しなの木の皮を剥いで糸にして織るまでのすべてを手作業で行い、「しな織」が完成するまでに約1年。丈夫で使うほどしなやかさが増すという。帽子、傘、バッグなどの展示・販売や、しな織のコースター作り体験も用意(要予約)。

講師/田中 陽子氏の写真

現在は山形県と新潟県の一部の地域でのみ織られるしな布は、かつては漁網や米袋のために織られていました。それが必要なくなった今、暮らしにどう生かすかが問われています。

【福島/からむし織】道の駅 からむし織の里しょうわ

【福島/からむし織】
道の駅 からむし織の里しょうわ

広々した敷地にある「からむし工芸博物館」では、いにしえより伝わるからむし栽培の歴史を、採取する道具とともに展示。「織姫交流館」ではからむし製品などの販売や、からむし織の「コースター織体験」がある(要予約)。

  • 住所/福島県大沼郡昭和村大字佐倉字上ノ原1
  • 交通/JR「会津川口駅」よりバスで「からむし織の里」下車すぐ
  • 電話/0241-58-1655
講師/田中 陽子氏の写真

昭和村に受け継がれる「からむし」は貴重な現金収入。村ぐるみの仕事でしたが、今では全国から「織姫さん」を募集し、からむしの栽培から糸にして織るまでを、若い人に伝えています。