講座の舞台を旅する
第5回 第1部 十三湊から解き明かす北の中世史

「北方交易の中世遺跡を訪ねて」

講座の舞台となった青森県の地図
十三湊(とさみなと)遺跡

十三湊(とさみなと)遺跡

津軽半島の日本海側ほぼ中央、十三湖と日本海に挟まれた砂州付近に中世の港町として栄えた十三湊。土塁や堀跡のほか、街区や屋敷跡が発見され、当時の遺構群が極めて良好に残る港湾都市として国史跡に指定されている。

  • 住所/五所川原市十三
  • 交通/JR「五所川原駅」より車で約40分
  • 電話/0173-35-2111(代表) 五所川原市教育委員会 社会教育課文化係
講師/齊藤 利男氏の写真

十三湊は、現在も十三集落の下にほぼ完全な形で残っている稀有な遺跡です。欧州のような「石の文化」であったならば、世界遺産になっていたかもしれません。

福島城跡

福島城跡

かつての安藤氏の居城跡。城跡の総面積は約62万5000㎡と壮大で、当時の安藤氏の栄華がうかがえる。ほぼ中央に堀と土塁に囲まれた約200m四方の「内郭」と呼ばれる方形居館跡が残る。安藤氏の実態を知る上で貴重な遺跡。

  • 住所/五所川原市相内実取
  • 交通/JR「五所川原駅」より車で約50分
  • 電話/0173-35-2111(代表) 五所川原市教育委員会 社会教育課文化係
講師/齊藤 利男氏の写真

外郭の大土塁は十三湊の東の境界で、14世紀中頃に築かれたもの。青森県・五所川原市教育委員会の榊原氏の尽力がなければ、こうした十三湊の歴史の解明はなかったでしょう。

市浦歴史民俗資料館

市浦歴史民俗資料館

長年にわたる十三湊の発掘調査や安藤氏の軌跡などを紹介している資料館。史跡の地形模型や出土品の展示をはじめ、貴重な文書や中世の石造物を通して、安藤氏や中世の日本海交易の実態を伝えている。

  • 住所/五所川原市十三土佐1-298
  • 交通/JR「五所川原駅」より車で約50分
  • 電話/0173-62-2775
講師/齊藤 利男氏の写真

時の将軍足利義満は明との国交や貿易のため、北の国境の安定を重視し、安藤氏を直属御家人として、特別扱いをしました。安藤氏は辺境支配のキーマンでした。

唐川城跡

唐川城跡

福島城の支城で、安藤氏が南部氏に攻め入られた際に立てこもったとされる唐川城。標高約120mの山岳地帯に位置し、山の中腹にある唐川城跡展望台からは、かつて北方交易でにぎわった日本海や十三湖が一望できる。

  • 住所/五所川原市相内岩井(唐川城跡展望台)
  • 交通/JR「五所川原駅」より車で約50分
  • 電話/0173-35-2111(代表)五所川原市教育委員会 社会教育課文化係
講師/齊藤 利男氏の写真

昆布や干し鮭など、豊富な北の産品により十三湊は発展。しかし皮肉にも、その豊かな富が安藤氏と南部氏との争いを招き、十三湊は廃絶へと向かうのです。

山王坊遺跡 日吉(ひえ)神社

山王坊遺跡 日吉(ひえ)神社

日吉神社の境内にあたる山王坊遺跡は中世の宗教遺跡。神仏習合を示す神社仏閣の礎石群や石段などが良好な状態で発掘され、国史跡に指定された。出土品などから安藤氏の繁栄期と同時期に建造されたと考えられる。

  • 住所/五所川原市相内岩井
  • 交通/JR「五所川原駅」より車で約50分
  • 電話/0173-35-2111(代表) 五所川原市教育委員会 社会教育課文化係
講師/齊藤 利男氏の写真

全盛期の十三湊は、領主の居館や武家屋敷、港湾施設、商人・職人の住居のほか、神社仏閣が並ぶ宗教地区を有し、大規模な都市を形成していました。

ドライブイン和歌山

ドライブイン和歌山

十三湖名物「しじみラーメン」の元祖。日本海と岩木川が流れこむ汽水湖で育ったしじみは大粒で濃厚な味。2代目店主がしじみ漁だけでは生活が困難な漁師たちのために考案し、大ヒット。しじみのおいしさと価値を高めた。

  • 住所/五所川原市十三羽黒崎133-22
  • 交通/JR「五所川原駅」よりバスで「十三」下車、徒歩約1分
  • 電話/0173-62-2357
講師/齊藤 利男氏の写真

岩木川の河口に形成された十三湖。その西岸に面した砂州の上に十三湊の町はありました。今はしじみの産地として有名ですね。「しじみラーメン」は絶品です!