講座の舞台を旅する
第3回 第1部 “感じる知性”が導く修験道への扉

「出羽三山・生まれかわりの旅へ」

講座の舞台となった山形県の地図
羽黒山

羽黒山

月山・羽黒山・湯殿山の出羽三山の中で最も里に近く、現世利益をかなえる山。参道は杉並木が続き、2446段の石段を登った山頂に出羽三山の三神を祀る三神合祭殿が鎮座する。山内は国宝の五重塔や出羽三山歴史博物館が立つ。

  • 住所/鶴岡市羽黒町手向 羽黒山頂(三神合祭殿)
  • 交通/山頂:JR「鶴岡駅」よりバスで「羽黒山頂」下車、徒歩約5分
    参道入口(随神門):JR「鶴岡駅」よりバスで「羽黒随神門」下車、徒歩約2分(山頂までは徒歩で約1時間)
  • 電話/0235-62-2355(出羽三山神社社務所)
講師/星野 文紘氏の写真

神さまの清らかさも、仏さまの慈悲深さも受け入れるのが修験道。その思想は、頭で考えてもわかるものじゃないんだ。山に入って修行を通して感じるもの。つまり「山の思想」なんだな。

月山

月山

死者の魂が集まる極楽浄土とされ、過去を表す出羽三山の主峰。頂上に月読命(つくよみのみこと)を祀る月山神社がある。高山植物の宝庫でも知られ、標高1400m付近の弥陀ヶ原湿原は、木道が整備されており散策が楽しめる。

  • 住所/東田川郡庄内町立谷沢字本澤31(月山神社)
  • 交通/JR「鶴岡駅」よりバスで「月山八合目」下車(7・8月の毎日および9月の土・日曜、祝日のみ運行)、月山神社まで徒歩約3時間
  • 電話/0235-62-2355(出羽三山神社社務所)
講師/星野 文紘氏の写真

人は亡くなると魂が山へ行って、33年たつと神さまになる。羽黒修験道では、神さまになったら月山へ行くんだ。8月のお盆には月山の山頂でも火を焚いて、祖霊を里へ送るんだよ。

湯殿山

湯殿山

出羽三山の奥の院と呼ばれ、神聖で篤い信仰を集めてきた。全てを生み出す山の神を祀り、未来の世を表す。御神体は巨大岩で、神社本宮に参拝の際は裸足で御祓いを受ける。本宮近くには行者が滝行を行う御滝神社がある。

  • 住所/鶴岡市田麦俣字六十里山7(湯殿山神社)
  • 交通/JR「鶴岡駅」よりバスで「湯殿山仙人沢」下車(6〜11月頃の土・日曜、祝日、一部夏季期間のみ運行)、バスを乗り換え「湯殿山本宮」下車、湯殿山神社まで徒歩約5分
  • 電話/0235-62-2355(出羽三山神社社務所)
講師/星野 文紘氏の写真

何事も、自然に身をゆだねて、自然に混ざる感覚が大事なんだ。滝行がそう。滝に対して突っ張ってるうちは、滝と喧嘩してる。でもそのうち、拒まずに、滝に混ざる感覚に気付くんだよ。

大聖坊

大聖坊

羽黒山の麓、宿坊が立ち並ぶ手向(とうげ)集落にある。約400年続く歴史ある宿坊で、当講座の星野文紘先生が十三代目当主を継承。毎年夏には2泊3日の山伏修行が催行され、山の思想を感じられる貴重な体験ができる(要予約)。

  • 住所/鶴岡市羽黒町手向字手向99
  • 交通/JR「鶴岡駅」よりバスで「桜小路」下車、徒歩約3分
  • 電話/0235-62-2031
講師/星野 文紘氏の写真

出羽三山は「生まれかわりの山」って言われている。それは、修行を終えて山から下りてくると、何だかすがすがしくて、生まれかわったような気がする。そういうことなんだ。

斎館(旧華蔵院)

斎館(旧華蔵院)

元禄時代に再建され、先達寺院の一つだったが、明治時代の神仏分離により山内の寺々は壊され、ここだけが神社の斎館として残った貴重な建物。山麓で採れる旬の山菜などを使った精進料理が食べられる。宿泊も可能。

  • 住所/鶴岡市羽黒町手向羽黒山33
  • 交通/JR「鶴岡駅」よりバスで「羽黒山頂」下車、徒歩約10分
  • 電話/0235-62-2357
講師/星野 文紘氏の写真

生きとし生けるものに魂があるように、稲にも魂がある。その魂が冬の間にゆっくり増殖して、実りを迎える。昔の人はそう考えた。俺は昔の人って素敵だと思うよ。