郷里を離れ、諸国を行脚した秋田の“旅マタギ”。害獣駆除を担うことで市場経済に順応した彼らは、人と自然が共生する上でのキーマンだった。狩猟の民の生き方を通して、現代の都市と地方の関係を問う。
講師/田口洋美氏
東北芸術工科大学教授、マタギサミット主宰
近年発見された古文書から旅マタギを検証し、産業構造の変化による害獣問題を考えました。クマを獲る罠「ヒラオトシ」の模型も展示、注目されました。
関東進出の布石として会津に侵攻した若き伊達政宗と、その牽制のため豊臣秀吉に送り込まれた蒲生氏郷。豊臣政権による奥羽仕置を軸に、戦国武将たちの目論見や統治から会津という土地を見直す。
講師/高橋充氏
福島県立博物館学芸員
天正18(1590)年の奥羽仕置を起点に、会津を行き交った政宗と氏郷。対照的な2人の武将の命運を出自や戦い方などから読み解きました。
民藝運動の中で柳宗悦と東北を巡り、各地の手仕事の保存や収集に努め、その美を「型絵染」の作品にも取り入れた染色工芸家・芹沢銈介(1895-1984)。彼の目と旅を通して、東北の民藝に迫る。
講師/濱田淑子氏
元東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館学芸員
芹沢銈介の人物像とともに、彼が見詰めた東北の手仕事の美が紹介されました。スクリーンに映し出される型絵染やスケッチに、皆さん見入っておられました。
慶長5(1600)年、上杉景勝の上洛を巡り徳川家康が出陣。景勝の重臣直江兼続と、家康方の最上義光・伊達政宗が山形で戦った「北の関ヶ原合戦(慶長出羽合戦)」の実態を全国的視野で捉え直す。
講師/阿部哲人氏
米沢市上杉博物館学芸員
全国に展開した関ヶ原合戦を上杉家の立場からひも解き、奥羽の抗争の性格を捉え直しました。取り交わされた書状の読み解き方も関心を集めました。
温かさのために糸を重ねた刺し子、山人の食を支えた曲げわっぱなど、風土や暮らしの知恵から生まれた工芸品。作り手300人余りを訪ねた店主が、その美に込められた技と心を語る。
講師/田中陽子氏
暮らしのクラフト ゆずりは 店主
古い道具から現代の工芸まで実物を見ながら、手しごとの物語がひも解かれました。丁寧な技に、終了後も受講者の方々が熱心に見入っておられました。
中世の日本海交易における要衝だった十三湊。発掘調査から浮かび上がってきた巨大港湾都市の姿と、日本国の北の辺境北奥羽・北海道を支配した豪族安藤氏の実像を解明する。
講師/齊藤利男氏
弘前大学名誉教授
中世において北の交易拠点であった十三湊はどんな存在だったのか。復元図や安藤氏の系図、所領図などから、当時の辺境支配の意義が解説されました。
宮沢賢治の心象風景を表したといわれる摩訶不思議なドリームランド“イーハトーブ”。時に異界ともつながる幻想世界の実像を、現代のエンターテインメントとの関係を軸に紐解く。
講師/牛崎敏哉氏
宮沢賢治記念館学芸員
ブラックホールから野球、芥川賞作品まで、近年話題のトピックスと宮沢賢治の意外な関係を解説。講師の花巻弁による作品の朗読も聞きどころでした。
律令国家による東北経営の拠点として神亀元(724)年に築かれた東北最大規模の城柵・多賀城。奥州藤原氏の時代へと連なる東北古代史の300年を、多賀城発掘研究から読み解く。
講師/岡田茂弘氏
国立歴史民俗博物館名誉教授
多賀城跡とその周辺の発掘調査に関する貴重な写真や文献を交えながら説明。知られざる古代東北の姿が、次々と浮かび上がりました。