お客さまに鉄道を安心して快適にご利用いただくための、車両のメンテナンス(車体や機器の検査・修繕など)やリニューアル、または券売機や自動改札機、エレベーター、ホームドアなどの機械設備の保守・施工監理を行っています。
車両の仕事
車両の仕事では、開発から設計、製造、メンテナンス、改造まで、ライフサイクルの各段階における情報を活用・フィードバックした車両を提供することで、お客さまが目的地まで移動するための空間をより魅力的なものにしています。
- 事業ミッション
- 具体的な取組み
- これから実現したいこと
事業ミッション
「車両メンテナンス」は、車両の検査を通じて常に安全で故障のない車両を提供し、お客さまに安心して鉄道をご利用いただくための重要な仕事です。また、実際の車両メンテナンス作業のみならず、将来に渡って高品質な車両をお客さまに提供していくために、最新技術を取り入れ省コスト・効率的な業務体制を構築していきます。「車両設計」は、新たに投入する新型車両のコンセプトや仕様を考案し、メーカーと連携しながらそれを形にしていく仕事です。鉄道の他の技術分野とともに新たなシステムを創造・構築していきます。「車両改造」は既存の車両を改造する仕事です。古くなった車両のリニューアル工事をはじめ、故障防止やサービス向上のための改良工事も手がけています。「車両製造」においては、グループ会社において、様々な車両を製造しており、グループ全体での相乗効果を最大限に発揮しています。
開発から実際の運用、廃車に至るまでのあらゆるフェーズの幅広い知識と経験を活かし、車両のライフサイクル全般にわたって鉄道事業者ならではの視点で技術力を磨き上げています。
-
(株)総合車両製作所での新幹線製造
-
運行中の車両データ分析
具体的な取組み
「車両メンテナンス」ではJR東日本が所有する約12,500両もの車両に対して、定期的な検査を確実に実施することで車両の安全性を確保しています。また、故障を未然に防止して安定輸送と快適な車内空間の提供に努めています。近年では、タブレットの導入により定期検査で使用する書類の電子化を進めたり、画像認識技術やビッグデータを活用し、人の手を介さず列車の運行中に部品の劣化を事前に把握したりするなど、より効率的かつ品質を向上させるためのメンテナンス体制を構築しています。「車両開発」では、サービス向上、競争力強化、鉄道技術全般のレベルアップを目的として、さまざまな車両を開発しています。新幹線車両については運行中のデータを活用した車両メンテナンス体制の構築に取り組んでいます。在来線車両では、これまでの技術開発の成果を取り入れた新型通勤電車(E235系)の量産車を2017年5月に投入しました。この車両では、車内・車外間のネットワークを強化し搭載機器類の状態監視実施による故障の予兆把握を行うことで、輸送の安定性向上を実現しています。加えて、優先席を増設しフリースペースを各車両へ整備することでお客さまへのサービス向上を図っています。一方、地方の非電化区間では、従来の気動車より環境負荷の小さいハイブリッド車両、蓄電池車両等を投入し、地球環境への負荷低減に取り組んでいます。

-
タブレットを活用したメンテナンス
-
画像認識技術を活用したパンタグラフ検査装置
これから実現したいこと
新幹線における環境性能の向上のほか、これまで進めてきた地震対策を含む安全性向上等の開発の検証を行うため、次世代新幹線の試験プラットフォームとしてE956形式新幹線試験電車(愛称名ALFA-X)を製作し、2019年5月にから仙台~新青森間を中心に走行試験を行っています。最高速度400km/hの走行試験を行うほか、将来の自動運転も見据えた研究開発を行っています。
また、在来線では水素をエネルギー源とする燃料電池車両FV-E991系(愛称名HYBARI)の開発を行っており、鶴見線及び南武線において実施する実証試験では、エネルギー制御技術の最適化や、水素供給設備に関する技術開発項目の検討など、実用化に向けた研究開発を行っています。車両メンテナンスにおいては、AIを活用したデータ分析、寿命予測を行い、ウェアラブル端末やI o T、自動計測装置、ロボットを活用し、作業の機械化・自動化により次世代の車両メンテナンス体制の構築に取り組んでいきます。
またドライバレス運転の実現を目指したさまざまな技術開発を行っています。その一環として、在来線では山手線E235系を用いた自動運転の試験を行っており、日々の列車の遅れや急遽の徐行に対する運行条件に応じて、最適な運転を行うことのできる高性能な自動運転を目指しています。また、新幹線においても将来のドライバレス運転を目指し、新潟駅~新潟新幹線車両センター間の回送列車にてE7系を用いた自動運転の試験を行っております。今後も最新技術を活用して仕事の機械化・システム化を進めることにより、お客さまにご満足いただける安全・快適な移動空間の提供に向け挑戦し続けていきます。
-
E956形式新幹線試験電車(ALFA-X)
-
自動列車運転の様子
仕事説明(車両)

-
車両メンテナンス
-
お客さまに安全で安定した輸送と快適な車内空間を提供するため、日々の検査を確実に行うことはもちろん、車両の故障を未然に防ぐ取組みなどを行っています。また、もし異常が発生した際には、迅速な対応と安全の確保を行っております。
-
メンテナンス技術管理
-
車両メンテナンスに関する規定・ルールの管理や教育・訓練を通じた技術力向上の取組みを行っています。また、お客さまに安全で快適な車両空間の提供に向け、車両状態やメンテナンスのさまざまなデータの分析や検証などにより、品質管理の徹底に取り組んでいます。
-
メンテナンス計画管理
-
車両メンテナンスにかかわる人員や修理用の材料、費用などの管理・計画や、車両メンテナンス用設備の整備・改修を行い、効率的な車両メンテナンスを支えています。
-
次世代メンテナンス
体系構築 -
新たな技術を背景としたCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)の活用による、次世代の車両メンテナンス体系の実現に向けた取組みを行っています。また、将来より効率的に車両メンテナンスを行うための組織や設備など含めた、全般的な車両メンテナンス体制の構築に取り組んでいます。
-
車両改造計画
-
安全性やお客さまサービスの向上、新たな路線での走行、各機器のリニューアルなど、車両の使用後に生じたさまざまな変化に対応させるための車両改造・改良の計画や改造に必要な予算の算定や改造工程の管理などを行っています。
-
新車新造計画
-
安全性・快適性の向上や走行する路線に応じたニーズ、また多様化するお客さまのニーズなど、さまざまな要素に応じた車両を新造するために、仕様の取りまとめ、新造に必要な予算の算定や新造工程の管理などを行っています。
-
車両製造・車両設計
(グループ会社等) -
車両のコンセプトや仕様を基に設計(図面作成)を行い、通勤・近郊型車両から新幹線車両・特急車両・気動車など幅広い車種を製造しています。
-
車両設計企画・
設計管理 -
新型車両のコンセプトメイキングや仕様策定、詳細設計へのユーザー側の意見反映、また法令などへの適合判断・手続きなどを行い、グループ会社やメーカーと連携しながらお客さまにとって、より良い車両の設計・開発を行っています。線路・架線・信号などに関連する課題については、境界領域の解決に他部門と共に検討、解決に取り組んでいます。
-
研究開発
(次世代メンテナンス
技術開発、次世代車両・
システム開発等) -
・次世代メンテナンス技術開発
より安全で効率的な車両メンテナンスの実現に向け、さまざまな技術革新を活用して新たな車両メンテナンス技術の研究開発や導入に向けた取組みを行っています。
・次世代車両・システム開発
サービス向上、競争力強化、鉄道技術全般のレベルアップを目的として、ALFA-Xに代表されるような次世代新幹線車両や、HYBARI(ハイブリッド車両(燃料電池)試験車両)のような環境負荷を低減する車両の開発に取り組んでいます。
また、ICT技術を活用した新時代の車両システムや無線を利用した新しい列車制御システムや自動運転技術の開発に取り組んでいます。 -
国際事業
-
海外への車両譲渡や海外鉄道事業者へのメンテナンス技術支援を行っています。
機械設備の仕事
機械設備の企画・計画、設計、工事監理、維持管理を通じて、安全かつ快適な空間を提供する仕事です。長年引き継いできたノウハウと最新技術の導入により、質の高いサービスの提供に取り組んでいます。
- 事業ミッション
- 具体的な取組み
- これから実現したいこと
事業ミッション
「人や環境にやさしい駅づくり」や「効率的な業務の推進」をめざしている機械設備の仕事では、券売機や改札機などの「出改札システム・Suicaシステム」をはじめ、バリアフリー設備である「エレベーター」や「エスカレーター」、快適な環境を実現する「空調設備」、お客さまにさらなる安全を提供する「ホームドア」、豪雪地域の安定輸送を支える「融雪設備」などを扱っています。
これらの設備を導入する際の設計や、実際に工事を行う際の工程調整・安全確認・品質管理などを担当しており、駅の新設や改良といった大規模なプロジェクト工事における機械設備の新規設置や取り替えも行っています。また、JR東日本の機械設備の仕事は、設備を「作って終わり」ではなく、さまざまな機械設備を、いつでも安全に安心してご利用いただくために必要な機器保守やオペレーションの管理も重要な仕事のひとつです。
機械設備はお客さまが直接触れるものであり、安全かつ快適な鉄道サービスを提供するうえで重要な役割を担っており、JR東日本の機械系社員は、インハウスエンジニアとして活躍しています。

具体的な取組み
JR東日本では、ホームでのお客さまの転落や列車との接触を防止するため、ホームドアの導入に取り組んでいます。
ホームドアは高い安全性と安定性を実現するために、列車とホームドアとの間のお客さまの居残りや荷物の挟まれなどを確実に検知する3次元センサーを導入しています。あわせて、検知エリア・感度の設定が出来る検知ソフトや、雨・雪などを誤検知しないようにする誤検知フィルターを開発しました。これにより、車両とホームドアの間に取り残された人や物だけでなく、車両のドアに挟まれた荷物などの検知が可能となり、安全を確保する検知センサーの信頼性をさらに高めることに成功しました。また、ホームドアを適切に維持管理していくため、モニタリングデータの活用等も進めています。
今後、整備対象駅を拡大するとともに、整備のペースアップを図り、2031年度末頃までに、東京圏在来線主要路線の線区単位の330駅758番線へ整備していく計画です。ホームドア整備のペースアップに向けては、JR東日本メカトロニクス㈱と共同で「新しいホームドア」の開発・展開にも取り組んでいます。

これから実現したいこと
多様なお客さまにご利用していただく駅では、高齢化やグローバル化など変化し続ける社会への対応が求められます。たとえば、ユニバーサルデザインをコンセプトに、昇降機や出改札システムなどの機械設備の開発や、ホームドア整備のペースアップに向けた「スマートホームドア」の開発・展開にも取り組んでいます。また、快適に鉄道をご利用いただくためには、機器の信頼性向上も重要な課題であり、メンテナンスの面では、これまで培ってきたノウハウと合わせて、オペレーションデータを活用したスマートメンテナンスの実践に向け取組みを加速させています。
さらに、環境負荷の低減も重要な使命として位置づけています。当社は「エネルギービジョン2027」を策定し、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指しています。機械設備においても、設備効率化の推進や、計画策定時のスリム化およびダウンサイジング、技術開発・オペレーション改善などを通じてCO2排出量のさらなる削減に取り組んでいます。

仕事説明(機械)

-
設備メンテナンス管理
-
グループ会社・パートナー会社と連携し、機械設備のメンテナンスを実施しています。
-
設備メンテナンス計画
-
品質とコストのバランスを考慮しながら、データ分析などの手法を活用して適切なメンテナンスを計画を立てています。
-
施工監理
-
機械設備の新設や取替、改修などの工事において、安全、品質、スケジュールを管理・監督しています。
-
設計・契約
-
機械設備の安全・品質・コストを考慮しながら、設計や契約に関する業務を行っています。
-
工事計画
-
機械設備の将来を見据え、設備仕様・コスト・メンテナンス性などを検討し、工事計画を行っています。
-
研究開発
-
効率的な機械設備のメンテナンス方法や安全・サービス向上に繋がる設備改良など、汎用技術も含めたさまざまな技術を鉄道に活用するための研究を行っています。
-
国際事業
-
海外の鉄道事業において、設備設計支援やメンテナンス技術支援を行っています。