講座の舞台を旅する
第17回 エビス、船霊、龍神に見る漁撈文化の世界

「三陸漁師を支える海の力」

講座の舞台となった東北の地図
西宮神社

西宮神社(にしのみやじんじゃ)

蕪島の北東に位置し、恵比須浜近くに立つ神社。海の神として守り崇めていたクジラが浜に寄り上がって、石になったと伝わる「鯨石」が祀られている。御神体は「エビス石」。西宮神社が立つ鮫町は捕鯨と深いつながりがある地。

  • 住所/青森県八戸市鮫町下盲久保
  • 交通/JR「鮫駅」より徒歩約20分
  • 電話/0178-38-5228(かぶーにゃ)
講師/川島 秀一氏の写真

以前は佛⽯と呼ばれていましたが、⼋⼾藩の藩主が事代主神(ことしろぬしのかみ)と似ていることから「エビス⽯」と改名し、神社の御祭神として信仰を集めています。

大陽浜

大陽浜(おおようはま)

岩手県と宮城県の県境にある広田湾に面した漁村。路傍には、エビス像とクジラの供養碑とともにクジラの骨が祀られた、漁撈文化の風景が残る。船を巻き上げるために使った曳き道具の神楽桟など、昔ながらの三陸沿岸の漁村の船も見られる。

  • 住所/岩手県陸前高田市広田町
  • 交通/JR「小友駅」(BRT)より車で約10分
  • 電話/0192-54-5011(陸前高田市観光物産協会)
講師/川島 秀一氏の写真

この浜の近くに手負いのクジラが漂流してきた際に、隣の浜と争った歴史があります。公⺠館にはクジラの⾻が魔除け代わりに吊されていますので、ぜひご覧になってください。

御崎神社

御崎神社(おさきじんじゃ)

唐桑半島の先端に位置し 、「おさきさん」の愛称で親しまれている。約1000年の歴史があり、宮崎県の外浦(とのうら)の神が流れ着いたという縁起を持つ。境内には寄りクジラに感謝して祀った「鯨塚」や、寄り物の「エビス石」も見られる。

  • 住所/宮城県気仙沼市唐桑町崎浜7
  • 交通/JR「気仙沼駅」より車で約30分
  • 電話/0226-32-3406
  • ホームページ/気仙沼観光推進機構
講師/川島 秀一氏の写真

ご神体がクジラとも⾔われており、1⽉に⾏われる例⼤祭は、クジラ⾃体が神社の神に参詣してくるという⾔い伝えがあります。境内では失せ物絵⾺も⾒られます。

大島

気仙沼大島

三陸復興国立公園内の、気仙沼湾に浮かぶ東北最大の有人島。2019年に本州と大島を結ぶ気仙沼大橋が完成した。寄り物の伝承も多く、漂着したクジラやジンベエザメの供養碑も見られる。島の北側に位置する亀山の展望台からはリアス海岸の眺めが楽しめる。

  • 住所/宮城県気仙沼市
  • 交通/JR「気仙沼駅」より車で約25分
  • 電話/0226-28-3000(気仙沼市観光協会大島支部)
講師/川島 秀一氏の写真

⾃⾝で寄り上がるクジラや、⿂を引き連れてくるジンベイザメも「エビス」と呼ばれます。寄り付いたものを海からの贈り物として感謝し、供養碑を⽴て弔いました。

歌津石浜

歌津石浜(うたついしはま)

南三陸町の北東に位置する漁村。石浜飯綱神社には、シロナガスクジラの骨で作られた全国でも珍しい鳥居が立っていた(現在はレプリカが立ち、実物は南三陸町民俗資料館に保存)。拝殿には、三陸沿岸特有の風習である奉納された「失せ物絵馬」が見られる。

  • 住所/宮城県南三陸町歌津
  • 交通/JR「陸前港駅」(BRT)より車で約7分
  • 電話/0226-46-1341(南三陸町教育委員会事務局生涯学習係)
講師/川島 秀一氏の写真

石浜飯綱神社は⽯巻市牡⿅半島の南端に位置し、漁⺠の信仰が篤い「⾦華⼭」に向かって拝む遙拝⽯も祀られています。