大正ロマンの原点・足利銘仙

銘仙(めいせん)は、先染めした糸を平織りにした絹織物。鮮烈な色使いと大胆なデザインが特徴的だ。大正から昭和初期にかけて女性たちに熱狂的に迎えられ、一世を風靡した。伊勢崎や秩父など関東各地で作られたが、足利銘仙は生産量トップの座に立ち、人気を博した。しかしそれ以前の足利銘仙は、一時粗悪品を出したこともありイメージが良くなかった。そこで、品質の向上と共にポスターやレコードを使って大々的な宣伝を行い、不名誉の挽回に成功したのだった。写真は当時のポスター。

ほとんど生産が途絶えた足利銘仙だが、今また洋服地としての復活が注目を集めている。推進役は地場の繊維産業の復権を目指す「ガチャマンラボ」だ。高橋仁里社長には銘仙の色柄や技術は世界でも評価されるはず、と確信していたという。型染めの高い技術をもつ「鶴貝捺染工業」と連携して、パリの見本市に出展して評価され、フランスの著名ブランドと協業を果たした。写真は生地を囲む高橋社長と鶴貝捺染工業の鶴貝社長。

足利では、着物を着ての街歩きが楽しい。「足利まちなか遊学館」では銘仙の貸し出しがあり、着付けはもちろん、足袋や草履なども用意されているので、手ぶらで行っても大丈夫。古く趣きのある建物や、石畳の道など、着物に合う景色が広がる町での散歩を楽しんだ。写真は石畳の道沿いにある、アンティーク&銘仙着物のショップ「うさぎや」。大正~昭和初期の銘仙を中心として、古着やはぎれを豊富に取りそろえている。