トランヴェール Train Vert
トランヴェール 2020年10月 新潟、山形

2020年 10月号 特集
戦国の雄 上杉謙信・景勝を
支えた揚北衆

歴史に名を遺す人の陰には、彼らを助け、成果を導いてきた人々の存在がある。戦国時代の新潟・庄内では、上杉謙信・景勝二代の陰に隠れて、揚北衆(あがきたしゅう)と呼ばれる誇り高き武将たちが活躍していた。長きにわたって上杉の国を支え続けた、知られざる武将たちの足跡を追った。

揚北衆も食した 村上の鮭

新潟県歴史博物館の展示の写真

色部氏の正月元日の食膳が、新潟県立歴史博物館に展示されていた(写真)。その中で目を引いたのが鮭の塩引きや鮭のすし、はらこなどの鮭料理である。揚北の川では昔から鮭がよく取れた。古くは平安時代の法令集「延喜式」に、この地域で取れた鮭を都に献上した記録がある。村上の鮭文化は奥深く、「村上人は、頭から尻尾、内臓まですべて食べ尽くす」といわれ、各家庭で伝統的に受け継がれてきた鮭の調理法は100種を優に超えるという。中世から今日に至るまで食される郷土食は、歴史と文化の産物である。