茨城、福島。
野口雨情物語

次は、茨城県北茨城市の磯原駅で下車。ここは詩人・野口雨情の生誕の地である。雨情は、日本で広く親しまれている童謡『シャボン玉』『七つの子』『赤い靴』『十五夜お月さん』などの作詞で知られている。駅から海側を目指してしばらく歩くと雨情の生家が見えた。野口家は明治時代に廻船問屋を営んだ名家で、雨情の父は磯原村の村長も務めた人物である。

生家を出て、国道6号線を北上すると、すぐに野口雨情記念館が右手に見える。記念館前には雨情の銅像が立っていた。正面の小路から銅像に近づくと、突然懐かしいメロディが流れてきた。童謡『シャボン玉』だ。しかも、歌と共に、ほんもののシャボン玉が宙に舞い飛び始めた。これはちょっとしたサプライズだ。館内では雨情の「好きな食べ物」「お国自慢」などのエピソードも紹介され、その人物像に引き込まれる。

再び常磐線に乗り、磯原から5駅先、福島県の湯本駅で下車。いわき湯本温泉は、千年以上前から続く出湯の地である。雨情は大正4年、33歳の時、妻ヒロと離婚し、この湯本に二人の子どもを連れて滞在していた。湯本温泉の老舗旅館「雨情の宿 新つた」の女将・若松佐代子さんは、この旅館に嫁いだころ、夫の祖母から雨情の思い出話を聞いている。旅館には「野口雨情ギャラリー」もあり、ゆかりの品などが展示されている。