トランヴェール Train Vert
トランヴェール 2020年月 宮城

2020年 2月号 特集
横丁を歩けば仙台が見えてくる

かつては多くの都市にあった風情ある横丁。しかし、再開発が進む都市からは、消えつつある。それが仙台市には、その数も規模もバリエーションも豊かに、活気ある横丁が残っている。そして、発展の可能性も秘めていそうだ。横丁など道から仙台の旅を始めることで、都市の未来の姿も見えてくるのではないだろうか。そんな楽しみを胸に、仙台の道を歩いてみた。

通りから生まれた、
仙台初めて物語

冷やし中華

仙台の通りから生まれて、全国的な人気を博したものがある。その一つが「冷やし中華」。冷たい中華麺に、ハム、キュウリ、チャーシュー、錦糸卵などを載せ、酸味と甘みのあるしょう油味のタレをかける。さっぱりして、暑い日本の夏に食欲を増す料理として、人気は日本中に広がった。

牛たん焼き

仙台の名物といえば「牛たん焼き」が最初に挙がるほど、全国的に知られている。市内で、他の誰もやっていない料理を考えていた料理人が、知人の一言で思いついたのが、牛たんの料理だった。試行錯誤の末、おいしく食べられる焼き加減や火加減、切り身の厚さ、味付けを確立。名物ができあがった。

七夕祭りの飾り

夏になると仙台市内の通りを飾る「仙台七夕まつり」。七夕は、天の川に隔てられた娘「織姫(おりひめ)」と青年「彦星(ひこぼし)」による天空の物語をベースに、日本古来の行事などが組み合わされた祭りだ。親の叱責を買い、引き離された織姫と彦星が、一年に一度だけ天の川を渡って会うことが許される。年に一度の願いが叶う日として、家庭では七夕の飾りに願い事を書いた短冊を下げ、祈る。