名門・武田家を相続

武田勝頼は、家督を継ぐ前の名を諏訪勝頼といった。諏訪氏は、現在の長野県中央部、茅野市と下諏訪町にある諏訪大社の神職最高位である「大祝(おおほうり)」を務める家柄で、周辺を領地に持つ豪族でもあった。武田信玄は諏訪氏を滅ぼし、その娘を妻の一人に加える。娘と信玄の間に生まれたのが勝頼で、征服した土地の人心を掌握するために、勝頼に諏訪家を相続させた。

諏訪大社は、諏訪湖の北側の下諏訪町に下社秋宮・春宮の2社があり、南側の茅野市に上社本宮・前宮の2社がある。諏訪湖では、真冬に凍結した湖面が盛り上がって伸びた線を、神様が通った跡「御神渡り」と呼び、そのでき方で1年の天気や農作物の出来や吉凶を占っている。

武田勝頼が最後の主となった躑躅ヶ崎館跡は、後に武田信玄を祀る武田神社となり、今も多くの信仰を集めている。2019年は、神社の南側に「甲府市武田氏館跡歴史館」がオープン。勝頼、父・信玄、祖父・信虎(のぶとら)三代の歴史や館跡から発掘された出土品などが展示されている。