鳥瞰図をガイドブックに
青森・北海道を歩く

十和田湖とその周辺の観光地を描いた初三郎の鳥瞰図「十和田湖鳥瞰図」。巨大な貯水池のような十和田湖と、そこから流れ出る青森県屈指の観光地である奥入瀬渓流が中心に描かれている。特に下北半島は、まるで砂嘴のように細長くなっていてユニーク。地図を手に、地理学者の長谷川直子先生と旅に出た。(八戸クリニック 街かどミュージアム蔵)

奥入瀬川は、十和田湖から流れ出している唯一の川。渓流に落ちる数々の滝、滝に侵食された地層、流れの中に点在する岩が変化に富んだ景観を生み出している。川の間近に設けられた遊歩道を行くと、その自然美を驚くほど近くに感じられる。初三郎は、自分が感じた土地の魅力を目立たせて描いているのではないかと、長谷川先生。

函館から鉄道で約45分という近さに、大沼公園はある。鳥瞰図が描かれた昭和中期頃は、ウォーターシュートに観覧車など、遊園地も備えた湖畔のリゾートとして栄えていたのが分かる。駒ケ岳とその火山活動によって生まれた美しい大沼と小沼の間には、今も鉄道が走る。初三郎の鳥瞰図を手に大沼に浮かぶ島々を巡ると、この地域がたどってきた変遷がよく分かる。(八戸クリニック 街かどミュージアム蔵)