寝台特急「カシオペア」の25年を、
写真で振り返ります。
記念すべき運行開始や、新しい機関車のデビュー、
寂しさいっぱいの定期的な運行終了のほか、
運転中のひとコマや
季節の景色とのコラボレーションなど…
あなたの記憶に残る1枚はありますか。
寝台特急カシオペア運行開始1999年7月16日

1999年7月16日、上野駅で華々しく行われた出発セレモニー。
日本初の「オール2階建寝台列車」が歴史を刻み始めた瞬間だ。
写真左端は上野~青森間を担当するEF81形電気機関車。「カシオペア」の運転に合わせて専用塗装機が4両準備された。
続く「カシオペア」の車両は12号車のラウンジカー。幸運にもこの1番列車のチケットを得た乗客が、車内からセレモニーを記録しようとする様子がうかがえる。
-
上野駅 五ツ星広場
寝台特急「カシオペア」は上野駅の13番線から出発した。
「カシオペア」が誕生した時代、上野駅からは「北斗星」「あけぼの」「北陸」などの寝台特急も運転されており、すべて13番線からの旅立ちとなっていた。
「カシオペア」の運転に合わせ、13番線ホームの中ほどにはベンチが用意され、旅立ちまでのひとときを過ごす場として提供された。星座のカシオペアを構成する5つの星にちなみ、「五ツ星広場」と命名されている。 -

EF510形500番台機関車が登場2010年6月25日
新型のEF510形500番台電気機関車が登場、2010年6月25日の寝台特急「カシオペア」下り列車から営業運転を開始した。さらに翌7月14日からは「北斗星」でも運転を開始している。
EF510形500番台は「カシオペア」に合わせた銀塗装、「北斗星」に合わせた青塗装がつくり分けられた。
それぞれ独自に運用されたが、たまに逆の組み合わせも発生、鉄道ファンにはサプライズとして喜ばれた。
-
東日本大震災後 運転再開2011年5月20日
2011年3月11日の東日本大震災で東北本線は全線不通。この日は「カシオペア」の運転日だったが、そのまま運転見合わせとなった。
復旧作業は急ピッチで行われ、東北本線は4月21日に全線復旧したが、さらに夜間の復旧工事が続き、「カシオペア」「北斗星」の運転見合わせは続いた。
両列車とも5月20日から運転再開となり、先頭に立つ機関車には「がんばろう日本!がんばろう東北!」と記されたステッカーが貼られた。 -

桜の中を走るカシオペア
寝台特急「カシオペア」の走るルートで、東北本線船岡駅付近の一目千本桜は魅力的な車窓ポイントのひとつだった。
桜が見ごろとなる4月上旬、上野をめざす上りの寝台特急「カシオペア」はちょうどこのあたりで夜明けを迎えた。黎明の時間帯、車窓には幻想的な桜の情景が広がる。
夜明けを走るカシオペア

寝台特急「カシオペア」の車内で過ごす時間のうち、もっとも印象的なのは朝の情景だった。
漆黒だった空が徐々に青みを帯び、そして東の地平線から黄金色に輝き出す。こんな時の流れをじっくり鑑賞できるのは、寝台列車に乗っている者の特権でもあった。
季節によって日の出の時刻は変わり、日の出と出会える場所も変わる。
初夏の下り列車では、小沼越しに見える駒ヶ岳に北海道へとやってきたことを実感した。
-
日本海を走るカシオペア
~カシオペアクルーズの運行~鉄道開業140周年、そして東日本大震災から1年を経た東北応援特別ツアーとして「カシオペアクルーズ」が催行された。
日程は2012年10月12日から14日まで2泊3日。
初日は上野から上越・羽越本線経由で秋田に向かい、ホテルに宿泊。2日目は「リゾートしらかみ」に乗り換えて五能線沿線などを観光、夕刻青森から再び「カシオペア」に乗車、車中泊で上野に戻るというものだった。
ツアーは大好評を呼び、その後もたびたび催行、さらには「カシオペア紀行」も設定されるようになった。
-
寝台特急カシオペア運行終了2016年3月19日・20日

2016年3月26日、北海道新幹線が開業。これを機に青函トンネルを通行する定期旅客列車の設定はなくなった。
これにより、寝台特急「カシオペア」も上野3月19日発(翌20日に札幌着)、札幌3月20日発(翌21日に上野着)の列車を最後に運行終了となった。
「カシオペア」の姉妹列車ともいえる「北斗星」はすでに前年に運行終了、「カシオペア」は上野駅発着で定期的な運行を続ける最後の寝台特急でもあった。名残を惜しむ人々が上野駅や沿線に集まった。

「JR発足30周年記念 JR7社共同企画スペシャルツアー」実施2017年12月5日
2017年12月、JR発足30周年を記念してJR7社共同のスペシャルツアーが催行された。
ツアーは2つ企画され、「カシオペア」は「じっくり日本列島縦断10日間」のファーストランナーとして起用された。
「カシオペア」運行区間は上野→新青森だったが、その先頭にはJR貨物のEH500形電気機関車が連結され、非常に珍しい姿での旅立ちとなった。
信州を走るカシオペア
~カシオペア紀行の運行~

「カシオペア」は、2016年3月で寝台特急としての定期的な運行を終了したが、その後はツアー専用の臨時列車として、東日本エリアを中心に各地で運転されている。
定番となった「カシオペア紀行」は、昼間の乗車も多く、夜行とは異なる車窓も楽しみのひとつ。優雅な車内と移り行く風景を堪能しながら魅力的な目的地へ向かう旅に出掛けよう。
監修:松本典久