新橋駅に期間限定SHOP「SHIMBASHI ANA-GURA」が誕生。期間限定でショップが入れ替わるだけではなく、その空間の壁画アートの変化も楽しめる新たな場所。
2020年7月30日にJR新橋駅北改札エリアに新たな店舗が開業しました。その中の一つに「SHIMBASHI ANA-GURA」はあります。JR新橋駅北改札を出るとその先にまっすぐこちらを見つめている様な強い眼差しの駅員さんの絵が見えてきます。なんだアレは?と思う人も少なくないはず。この場所は、駅改良工事の一環で、一時的に空いた空間をお客様にご利用いただける様にと作られた期間限定の場所となります。ショップ自体も常設店ではなく、期間限定で入れ替わっていきます。そんな期間限定であり、可変性のある店舗の空間において、その空間の環境自体も変動的で訪れたお客様が面白いと思ってもらえる空間にならないか、そんな想いから今回の壁画アートが制作されました。ショップと一緒に変わっていくとは、この壁画は、今後も数回にわたってショップの入れ替わりと共に描き足し・描き換えを計画しており、今このタイミングでしか見れない期間限定のアートでもあります。
今回アートを制作したのは、「楽しんだっていい」を合言葉に「楽しい国、日本」という作品の完成を目指すアートカンパニー「OVER ALLs」
山手線がアートで溢れ、世界中から「ART LOOP TOKYO」って呼ばれたら素敵じゃない?そんな想像から過去に東京駅、上野駅で実施された「ART LOOP TOKYO」のイベントで、実際にライブペインティングを行ったのが、OVER ALLsです。二度のアートパフォーマンスでは、東京駅を象徴するシンボリックな絵を音楽に合わせて描いてみたり、上野では偉人たちの絵を並べると「ART LOOP TOKYO」と叫んでいたりと、毎回様々なアプローチからその駅ならではのアートと人を惹きつける絵の迫力で多くの人を魅了した彼等に、今回新橋でのアート制作を依頼しました。
今までは一時的なイベントであった為、その場に出会えた人にしかその絵に触れてもらえませんでしたが、今回は一つの空間として描いてもらう為、何度も立ち寄りたくなる、何度見ても楽しめるというテーマと、新橋というエリアの特性、また駅の中にあるアートだからこそ伝えたいメッセージは何かということを、 何度も議論を交わして制作されました。
全ての働く人にエールを送りたい。自分の子供時代、そして今の自分、今の家族、働く人の力の源「HOME」を感じる様々なシーンを切りとったアートの完成
ビジネスマンの聖地「新橋」で描くものは何がいいのか。今この様な状況の中でも、日々頑張って働く全ての人にエールを送りたい、自分の家から働く場へ出掛ける切り替えの場所でもある駅だからこそ、その働く人の気持ちをほぐす様な、ちょっと笑えてまた元気になれる、そんな絵が駅の中にあったら素敵だという想いから、今回のアートは描かれています。ラフ案をもとに現場で製作に入り、次々と下書きから迫力ある絵が生まれていきました。
今の自分、昔の自分、今の家族に重なるいつもの日常の1シーン
店舗の長い壁に描かれているのは、大人と子供が対照的に描かれている5つのシーン。最初は、朝の出勤の為に気合を入れつつお化粧をする女性と、お母さんのお化粧道具を使ってドキドキしながら真似っこをする女の子。次は、朝の気持ちを引き締めて身支度をする男性と、お父さんの上着や靴を履いて楽しそうにはしゃぐ男の子。その男の子の先にはお母さんのヒールを履いておすまし顔の女の子もいます。続いてプレゼンで説明する凛とした表情の女性と作文の発表で少し緊張しながらも一生懸命読んでいる女の子。その隣には、残業で疲れて一眠りしている男性と、お父さんの帰りを待ちながらついつい寝てしまった男の子。そして最後には、お家で乾杯の真似っこをする男の子の上には、満面の笑みで今日の疲れを癒すべくジョッキを手にし乾杯するビジネスマン達の姿が描かれています。どのシーンも、思わず「こういう時、あるある‼」「こんな時自分もあったな」といった共感できるシーンが並んでいます。この絵を見て、思わずくすりと笑ったり、思い出話に花を咲かせたりと、ここを訪れた人の気持ちが温かくなり、会話の一端にもなればと描かれています。
駅ならでは、インパクト抜群の子供車掌と青年駅員
様々なシーンが描かれたこの空間に最初に招き入れるのは、その先に何があるのか目で追いたくなってしまう子供の車掌が目印です。出発進行!と言っていそうなその指の先には、先ほどご紹介した日々の人々の生活が描かれています。更にその先には、その合図を受けて先に進めと言っているような青年の駅員の姿が。この子供と青年の二人、どこか似ている気がしませんか。近くで絵を見ると共通点が見えてくるかもしれません。それは、現地でご自身の目で確認してみてください。そして、この青年の駅員さんは、今後の店舗の入れ替わりと共に変化を重ねていく予定です。どう変化していくのか。それはこれからのお楽しみです。
大きさだけで人の心を掴む力が変わってくるアートの魅力。
そして、この子供の車掌には制作過程でのエピソードが。当初、壁面にきれいに納まる様に描かれていた子供車掌。一度完成した後に、OVER ALLs赤澤さん、山本さんから相談が。「この絵、やはり描き直したいのですが、どうでしょうか。」まさかの完成の後に、再度描き直すという選択をとることになりました。壁面にきれいに納まっているよりも、その壁面から飛び出そうなほどに大きく描くことで、絵のインパクトも、人に与える影響も全然変わるということから、なんと一度描き直しを行っています。もうこの壁には存在しない幻の画像はこちら。確かに比べるときれいに納まっていた子供車掌より、壁から飛び出しそうな今の絵の方が、目の前にした時の迫力が全く違いました。同じ絵でも大きさやその壁をどうやって使うかだけで、全く違う印象になるということを実現してくれた一枚です。
まずは自分の目で、このアートに触れて感じて欲しい。
7月30日からは「カンナチュールキッチン」として、SHIMBASHI ANA-GURAは営業中です。冒頭でも記載した通り、今後ショップは変わっていくので、そのショップによってもこの空間の雰囲気は変わっていきます。新橋駅については「ココロ・カラダ SWITCHING BASE」と題して、働くビジネスパーソンが駅でのスキマ時間に心と体のエネルギーをチャージする場所として、ビジネスシーンに出向く前に気持ちを引き締めたり、1日の終わりに体を緩めて心を開放し明日の仕事に備えたり、エキナカで心と体のONとOFFを切り替えることができる店舗展開とその空間づくりを実現しようとしています。このSHIMBASHI ANA-GURAでも、この壁画を見ることで、明日への気持ちをリセットしたり、様々な人の背中をちょっと押して、この空間から出る時には、今日も(明日も)一日頑張ろう!と思える場所になるようにと想いが込められています。
そして、今回この壁画を描いてくれたアーティスト山本勇気さん。様々な人、企業の想いを絵に代えて表現してくれている彼の作品の中でも、今までで最も温かみのある絵となったようです。それぞれの1日のシーンを楽しく捉えたそのカットは、躍動感がありながら、見る人の心を温かくする不思議な力があります。ぜひとも、現地でこのアートに触れてみてください。そして、このアートが次にどんな絵になっていくのか、山本さんの頭の中にしかまだ絵は描かれていません。今後、その変化を現地で楽しんでもらえればと思います。
○概要
・開業日 :2020年7月30日(木) ※期間限定ショップ
・区画名 :SHIMBASHI ANA-GURA(イベントスペース1)
・運営 :(株)JR東日本リテールネット
・企画・壁画制作:(株)OVER ALLs