その他のがんの治療について
脳腫瘍
脊髄腫瘍
眼・眼窩腫瘍
口腔がん
咽頭がん・喉頭がん
甲状腺がん
縦隔腫瘍
中皮腫
食道がん
小腸がん
GIST(消化管間質腫瘍:gastrointestinal stromal tumor)
胆道がん
胆道がんは、胆管がん・胆嚢がん・乳頭部がんの総称です。現在は外科的切除が唯一の根治的治療と考えられていて、手術可能であれば積極的に外科治療を勧めています。胆道がんは、腫瘍の位置や広がり方で選択する術式が大きく変わります。場合により、腫瘍を切除する際に消化管や門脈を一度切除し、腫瘍切除後につなぎ合わせる再建が必要になります。そのため診断と治療には高度な専門性が必要です。消化器外科では、肝胆膵(かんたんすい)領域の専門医とスタッフをそろえて、消化器内科と緊密に連携し、診断から治療まで円滑に進められる体制を整えています。
遠隔転移等で切除不能の場合や、手術後に再発が認められた場合は内科的治療を行います。一部の胆管がんに放射線治療を行うこともありますが、抗がん剤治療が基本です。当院では国が認可した抗がん剤を複数組み合わせたり、もしくは単独で、患者さまのご希望に応じながら積極的に導入・投与を行っています。
膵臓がん同様、胆道がんの治療前、もしくは治療中に黄疸を発症することがあり、内視鏡治療や検査を積極的に取り組んでいます。
当院の治療成績
- 2014年の外科手術
- 胆嚢がん悪性腫瘍手術…2例
- 胆管がん 乳頭部がんに対する膵頭十二指腸切除術…3例
- 2015年
- 胆道癌抗がん剤投与…4例
各診療科の対応
膵がん
現在、外科的切除が唯一の根治的治療と考えられ、手術可能な場合は積極的な外科治療を勧めています。なお、手術の方法は腫瘍が膵頭部(膵臓(すいぞう)の右側)にあるか膵体尾部(膵臓の左側)にあるかによって異なります。
膵臓の右側に腫瘍がある場合は膵頭部と共に、胆のう、胆管、十二指腸、小腸の一部、膵臓周辺のリンパ節を切除する膵頭十二指腸切除術を行います。消化器外科の手術の中でも特に高度な専門性が必要とされる手術です。当院では専門医2名が担当します。
膵臓の左側に腫瘍がある場合には、膵臓の左側を脾臓と一緒に切除する尾側膵切除を行います。膵臓の腫瘍が肝動脈まで広がっているケースでは、総肝動脈を合併切除するDPCARを行うこともあります。周囲の臓器にがんの浸潤(ステージⅣa)や他の臓器への転移(ステージⅣb)を認められる場合、多くは手術適応になりません。膵がんは発見時に9割が手術適応にならないと言われており、抗がん剤による抗腫瘍療法が重要になります。当院では国が認可した抗がん剤を複数組み合わせて、もしくは単独で、患者さまのご希望に応じながら積極的に導入・投与を行っています。膵がんの治療前、もしくは治療中に閉塞性黄疸や十二指腸狭窄を認めることもあり、その場合は内視鏡治療が重要になります。当院では膵がん診断のための内視鏡検査と共に、黄疸や十二指腸狭窄に対しても積極的に内視鏡検査(ステント留置等)を行っています。また最近では超音波内視鏡(EUS)を使用した専門性の高い検査にも取り組んでいます。
当院の治療成績
- 2014年膵がん手術
【膵管がん】- 膵頭十二指腸切除…8例
- 膵体尾部切除…4例
- 膵頭十二指腸切除…1例
- 膵体尾部切除…4例
- 2015年膵がん抗がん剤投与…15例
- 2015年度内視鏡検査
- ERCP(内視鏡的逆行性膵管胆管造影検査)…235件
- EUS(超音波内視鏡)…225件
- EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)25件
各診療科の対応
腎がん
腎がんの完治を目指す場合手術以上のものはありません。当院でも腎がんの患者さまへ手術を一番にお勧めしています。手術には開腹手術と、腹腔(ふくくう)鏡手術の2種類があります。腫瘍の大きさ、進行度合、腎機能、患者さまの体力やご希望などにより手術方法を検討します。
内科的治療では分子標的治療薬を使用しています。腫瘍細胞の増殖や血管内皮細胞の増殖にかかわる細胞内シグナル伝達を阻害することによって、腫瘍の増殖を抑えるのが目的です。わが国では2008年にマルチキナーゼ阻害剤のスニチニブ、ソラフェニブが腎がん治療薬として承認され、当院でも腎がんの治療薬として使用しています。mTOR阻害剤のテムシロリムスとエベロリムス、第2世代血管新生阻害薬のアキシチニブとパゾパニブも用いています。平成24年に31名の患者さまへ分子標的薬治療を施行しました。原則的には外来での通院ですが、遠方にお住いの患者さまや合併症を有する患者さまには、入院での治療を行っています。高血圧・疲労・下痢・皮膚炎等の副作用、甲状腺機能低下症が生じる可能性が指摘されています。
当院では患者さまの全身状態、合併症、がんの組織型、薬剤の特徴を十分に考慮したうえで薬剤を選択し、副作用を最小限に抑え、効果を最大限に発揮する工夫をしています。
当院の治療成績
- 2014年の手術成績
- 根治的腎摘除術…7例
- 腎部分切除術…3例
- 腹腔鏡下腎摘除術…3例
- 内視鏡下小切開手術…4例
各診療科の対応
腎盂・尿管がん
膀胱がん
膀胱腫瘍の外科的治療法は、深達度によって大きく異なります。腫瘍が粘膜にとどまっている場合は内視鏡手術(TUR-Bt)を行います。筋層に浸潤している場合には膀胱すべてを摘出する手術が必要です。膀胱の全摘出後は尿路変更という処置が必要になります。尿管皮膚ろう、回腸導管、自然排尿型代用膀胱等から、生活スタイルにあった方法を選択します。
浸潤性膀胱がんの患者さまには、膀胱摘出手術後に補助療法として抗がん剤による内科的治療を追加することがあります。GC療法と呼ばれる治療法が一般的です。化学療法は治療後の再発にも有効な手段ですが副作用もあるため、入院での治療が必要です。患者さま一人ひとりの薬に対する感受性は異なります。当院では、患者さまの希望や全身の状況を鑑みながら、最適な治療に努めています。
当院の治療成績
- 2014年
- 手術症例…47例
- 化学療法症例…12例
各診療科の対応
副腎腫瘍
前立腺がん
前立腺がんの治療は転移の有無で異なります。一般的に他臓器への浸潤がない・転移がなければ治療方法は、手術、放射線治療、積極的監視療法の3つが挙げられます。
手術は前立腺全摘術が一般的です。放射線治療は体外からの照射と、前立腺内に放射線物質を留置もしくは直接放射線を送り込む方法が取られます。重粒子線や陽子線による治療もありますが、こちらは保険適応外です。積極的監視療法は3カ月ごとのPSA採血や年1回の定生検を行う代わりに、積極的な治療は行いません。経過中にがんが悪化した場合は、その時点で手術もしくは放射線治療の検討が必要になります。転移が認められた場合は内分泌治療(ホルモン療法)が開始されます。主に内服薬(抗男性ホルモン)と注射を併用し、さらに骨転移のケースでは骨病変に対する薬を並行して投与することもあります。内分泌治療は時間の経過とともに抵抗性を持つため、ホルモン抵抗性の前立腺がんには化学療法が適応されます。
当院の治療成績
- 開腹前立腺全摘術
- 2011年…10例
- 2012年…16例
- 2013年…8例
- 2014年…8例
各診療科の対応
精巣がん
その他の男性生殖器がん
子宮がん
当院では子宮頚部上皮内病変(軽度~中等度~高度異形成)の検査・治療に特に力を入れており、多くの施設から患者さまを紹介いただいています。当院で行っている手術療法には3通りあります。1つ目はLaser蒸散術です。手術時間は10分~15分程度で、日帰りも可能ですが、病変が広い場合や遠方の患者さまには1泊の入院をお勧めしています。当院での再発率は7.8%(2011年7月~2014月)で、90%以上が治癒しています。2つ目は円錐切除術です。手術時間は30分程度。手術後の創部安静のため4泊5日の入院を必要とします。治癒率は約95%です。3つ目が子宮全摘術です。7日~10日間の入院が必要で治癒率は99%です。詳細は「婦人科検診で再検査が必要といわれたら…」をご覧ください。
子宮頸がん浸潤がんは、病状の進行程度により手術療法(広汎子宮全摘術・準広汎子宮全摘術および所属リンパ節廓清術)か放射線療法(同時化学放射線療法)を選択します。いずれも当院で治療することができます。
子宮体がんは病変の進行程度を正確に評価した後、標準術式(子宮全摘術/両側付属器切除術/所属リンパ節廓清・傍大動脈節まで)を行います。症例によっては化学療法を先行させることもあります。若年子宮体がんは、進行期Ⅰa期で子宮内膜に限局する高分化型(悪性の度合いが低いもの)に限り子宮機能(妊孕能)を温存する目的でホルモン療法を行います。なお、進行子宮頸がんと進行子宮体がんでは、積極的治療を希望しない初回治療例や他施設既治療再発例の治療は行っていません。
当院の治療成績(2011年4月~2015年3月)
- 子宮頚部…125例
- CIN 中等度異形成・長期経過…55例
- CIN 高度異形成…89例
- CIN 上皮内がん…17例
- 浸潤がん ※全例子宮全的(SRH~ARH)。内1例ARH~CCRT追加。…6例
- その他(細胞診異常・膣部コンジローマ)…9例
- Laser蒸散術…75例
- 中等度異形成・長期経過…54例
- 高度異形成…42例
- 上皮内がん…1例
- 膣部コンジローマ…2例
- 円錐切除術…43例
- 中等度異形成・長期経過…1例
- 高度異形成…43例
- 上皮内がん…16例
- その他(診断的円錐切除)…7例
- 子宮全摘術…3例
- 高度異形成…4例
- 子宮体部…30例
- 子宮内膜がん Ⅰa期Grade1…10例
- 子宮内膜がん Ⅰb期Grade1…4例
- 子宮内膜がん Ⅰb期Grade3…1例
- 子宮内膜がん Ⅰb期mucinous…1例
- 子宮内膜がん Ⅱ期Grade1…6例
- 子宮内膜がん Ⅱ期Grade2…1例
- 子宮内膜がん Ⅲa期Grade1…1例
- 子宮内膜がん ⅢC1期Grade1…2例
- 子宮内膜がん ⅢC1期Grade2…1例
- 子宮内膜がん Ⅳ期Grade1…1例
- 子宮肉腫(平滑筋肉腫) Ⅰb期…1例
- 【子宮体がん治療別症例数】
- 手術療法(所属リンパ節郭清は症例に応じPALAまで)…27例
- 化学療法(内膜癌/TC療法 平滑筋肉腫/GD療法)…14例
- 放射線療法(中央再発症例に対して)…2例
各診療科の対応
卵巣がん
卵巣がんでは、標準術式として子宮全摘、両側付属器切除、大網切除術、骨盤内リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清を行っています。術後補充療法として抗がん剤を用いた化学療法を行うか否かは病理組織診断の結果に基づき検討します。
がん細胞が卵巣にとどまっている進行期Ⅰa期でも、組織型によっては化学療法を要するものがあります。進行期Ⅱ期・Ⅲ期(骨盤内・腹腔内にがん細胞の広がりあり)の場合は、他臓器(結腸・小腸等)の合併切除まで行うことで残存病変なしという状態に成し得るか否かを開腹時に判断します。手術でほぼ残存病変なしが可能と判断した場合には根治術を行い、術後に化学療法を追加します。他臓器合併切除をしても病変があきらかに残存すると判断した場合には化学療法を先行し、病変が縮小して切除可能と判断された時点で根治手術を行うケースもあります。進行期Ⅳ期(肺や鎖骨や首のリンパ節などの遠隔部位へがん細胞の広がりあり)の場合、腹腔内にはがん細胞が蔓延していることが多く化学療法を先行させます。遠隔部位の病変が消失した場合にⅢ期に準じて治療を進めます。
当院の治療成績(2011年4月~2015年3月)
- 卵巣がん
- Ⅰa期…5例
- Ⅰc期Ⅰc(a)…1例
- Ⅰc期Ⅰc(b)…6例
- Ⅰc期Ⅰc(2)…1例
- Ⅲb期…1例
- Ⅲc期…6例
- 転移性…1例
- 卵管がん
- Ⅰc期Ⅰc(b)…1例
- 腹膜がん
- Ⅲc期…1例
- 再発…3例
【卵巣がん治療別症例数】
- 手術療法(optimal/suboptimal症例にはPALAまで)…22例
- 化学療法(TC療法 ± Bevacizumab, or LPD)…18例
- 放射線療法…1例
各診療科の対応
その他女性生殖器がん
皮膚腫瘍
悪性骨軟部腫瘍
主な診療科名 | 治療の実施状況(○:実施可 / ×:実施不可) | 当該疾患の治療に関する内容が掲載されているページ | ||||||
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手術 | 化学療法 | 放射線療法 | ||||||
切 ・ 離 断 術 |
患肢温存術 | 再建術 | 骨移植術 | 体外照射 | 小線源治療 | |||
当院では対応しておりません | × | × | × | × | × | × | × |
血液腫瘍
白血病
当院では初診時から分子生物学的手法を併用した正確な診断を行い、患者さまへは心理面を含めた可能な限りのサポートを行っています。急性白血病の場合、複数の抗がん剤を組み合わせて強力な寛解導入療法を行います。ただし、この治療は白血病細胞だけではなく、正常な血球細胞も減少します。白血球の減少で感染や発熱が見られることもあるため、3週間~4週間は無菌室への入室と赤血球や血小板の輸血が必要です。成功すれば骨髄の大部分は正常な細胞に戻ります。1回の治療では白血病細胞が残存していますので、複数の抗がん剤を組み合わせた強力な地固め療法を3週間~4週間ずつ2回追加します。
骨髄検査で治りにくいタイプの白血病と判明した場合や、治療で良くならない場合には、移植専門施設での同種造血幹細胞移植が必要です。その他の白血病はタイプ別に治療を行い、抗がん剤治療が終われば通院での経過観察に移ります。急性白血病の中でも特殊な急性前骨髄球性白血病では、レチノイン酸誘導体で白血病細胞の分化を促した治療を行います。抗がん剤はあくまで補助的役割です。対して、慢性骨髄性白血病は経口薬が開発されているため、基本的には通院での治療になります。
リンパ腫
リンパ腫は約1/3が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、もう1/3が濾胞性リンパ腫、残り1/3がそれ以外のリンパ腫です。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫ではCHOP療法という化学療法と、リツキシマブという抗体の組み合わせによる治療を行います。約3週間ごと6回の治療で、全体の約2/3の患者さまが治癒します。最初の3週間は経過観察するために入院が必要となりますが、以後ほとんどは通院での治療が可能です。
濾胞性リンパ腫の治療方法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とすべて同じです。しかし、濾胞性リンパ腫は進行が遅いものの治癒が難しく、リツキシマブ単独による治療を追加して様子を診ます。この方法で再発率はかなり低下していると考えられます。
残り1/3のリンパ腫にはさまざまなタイプがあり、タイプに応じた治療を行います。ただし、多くの場合は治癒が難しいと考えられます。年齢が比較的若い患者さまの場合には、自家末梢血幹細胞移植などを行って治癒率を高めます。
後腹膜・腹膜腫瘍
性腺外胚細胞腫
原発不明がん
小児脳腫瘍
主な診療科名 | 治療の実施状況(○:実施可 / ×:実施不可) | 当該疾患の治療に関する内容が掲載されているページ | |||||
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手術 | 化学療法 | 放射線療法 | |||||
体外照射 | 定位放射線療法 | IMRT | 小線源治療 | ||||
当院では対応しておりません | × | × | × | × | × | × |
小児の眼・眼窩腫瘍
主な診療科名 | 治療の実施状況(○:実施可 / ×:実施不可) | 当該疾患の治療に関する内容が掲載されているページ | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
手術 | 冷凍凝固術 | 光凝固術 | 化学療法 | 眼動注 | 放射線療法 | ||||
体外照射 | IMRT | 小線源治療 | |||||||
当院では対応しておりません | × | × | × | × | × | × | × | × |
小児悪性骨軟部腫瘍
主な診療科名 | 治療の実施状況 (○:実施可 / ×:実施不可) | 当該疾患の治療に関する内容が掲載されているページ | ||||||
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手術 | 化学療法 | 放射線療法 | ||||||
切 ・ 離 断 術 |
患肢温存術 | 再建術 | 骨移植術 | 体外照射 | 小線源治療 | |||
当院では対応しておりません | × | × | × | × | × | × | × |