歯科口腔外科

特色

JR東京総合病院歯科口腔外科には、数少ない病院歯科※としての特化した役割があります。当科の役割をご理解いただき、必要とされているより多くの患者さまにご利用いただけるよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

※全国にある総合病院の中で歯科口腔外科を有する施設(病院歯科)は約26.8%しかありません(日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構 調べ)。

◇歯科口腔外科の受診にあたって

当科には病院歯科としての役割があり、虫歯、歯石除去等の歯周病、クラウンやブリッジ、入れ歯等の一般歯科治療は、「かかりつけ歯科診療所」の受診をお願いしています。「かかりつけ歯科診療所」をお持ちでない患者さまには、連携歯科医療機関を紹介させていただきます。

◇当科の診療内容

1. 口腔腫瘍、囊胞、外傷、粘膜疾患、抜歯、睡眠時無呼吸症、歯科インプラント等の口腔顎顔面に生じる疾患に対応します。

2. 歯科治療恐怖症の患者さまへの口腔外科治療をセデーション(鎮静)下や全身麻酔下で行います。

3. 歯科診療所(虫歯、歯周病、入れ歯等)や大学病院と積極的に連携し、適切な医療が提供できるように紹介します。

4. がん等に対する手術や化学療法・放射線治療が必要な患者さまに対し、それらの治療による合併症を防ぐ目的で口腔の管理を行います(周術期等口腔機能管理として平成24年より保険収載)。その後は、かかりつけ歯科診療所での管理となります。

5. 糖尿病教育入院中の患者さまに対し、歯周病管理の重要性等に対する説明・助言をします。

6. 入院患者さまの応急処置、診療所では行えない検査(組織診断・細胞診・CT・MRI・エコー・骨シンチグファフィー等)や重篤な全身疾患を有する方に対する歯科治療を、他科との連携の下で行います。

歯科口腔外科 イメージ

疾患と治療法

◇他科との連携治療

がん等の手術や化学療法、放射線治療の合併症として、口腔の状態が悪化したり顎の骨が壊死してしまったりすることがあります。歯科口腔外科では、術前からのサポートで、合併症を最小限に抑え、安全で効果的な治療を受けていただくようにサポートさせていただきます。
また、口腔の環境が、呼吸器疾患、内分泌疾患、心臓血管疾患、脳血管疾患、産科疾患、外科治療後の回復等と関係することが明らかになっており、各科との連携で口腔管理にあたっています。
他科からの検査依頼として、シェーグレン症候群の精査目的に、唾液分泌量(ガムテスト)や小唾液腺の病理組織検査を行っています。

◇主な対応疾患と治療内容

歯科インプラント治療、睡眠時無呼吸症、蜂窩織炎や顎骨骨髄炎等の炎症、埋伏歯、顎骨骨折、良性腫瘍、悪性腫瘍、顎骨囊胞、歯根囊胞、顎口蓋裂、小帯異常、補綴前処置(骨瘤除去等)、粘膜疾患(扁平苔癬、白板症、難治性口内炎等)、顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼等)、舌痛症、口腔乾燥症、味覚障害等

埋伏歯:埋もれた智歯(親知らず)は、周囲に炎症や虫歯を起こしやすいために抜歯が必要となる場合が多くあります。初診当日の抜歯は原則として、緊急の方以外は行っていません。抜歯待機期間はおよそ1月です。

歯科インプラント治療:顎の骨に人工歯根を埋入していきますが、骨量の少ないケースでは骨移植を行い骨増生を図ります。基礎疾患(糖尿病等)のある方でも他科と連携を密にとり安全な治療を行っています。起こりうるリスクとして術後の疼痛、腫脹、感染、神経損傷、部位により上顎洞迷入、追加処置が必要になる場合があります。通常のインプラント治療には健康保険が適用となりませんので、全額患者さま負担の自費診療となります。シンプルな症例の1歯(1本)で、術前のCTや血液検査から補綴物の装着までを含めておよそ450,000円程度となります。治療内容や費用に関してお気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症:上気道確保を目的としたマウスピース治療・管理を、他科や地域の医療機関と連携して行います。また、日本人では睡眠時無呼吸症の原因が顎の形態にある事が多いと報告されています。CPAP(持続陽圧呼吸装置)やマウスピース治療とは異なる根治的治療としての上下顎骨同時前方移動術(MMA)やオトガイ―舌筋/舌骨筋群前方牽引術(GA)についても治療可能です。

顎骨囊胞・歯根囊胞:根管治療や囊胞摘出、歯根端切除術を行い、なるべく抜歯せず歯を保存します。発生場所や大きさにより、全身麻酔にて摘出する場合があります。重要な隣接臓器に近いケースでは開窓して縮小を図り摘出しています。

補綴前処置:骨瘤の除去、歯槽骨整形等、義歯の安定をよくするための手術です。

顎関節症:口の開け閉めの時、顎に痛みや雑音を伴い口が開きにくい疾患です。保存的治療として、主に認知行動療法、薬物療法、スプリント療法等を行います。外科的治療としては、関節腔注射(徒手的円板整位術)や関節腔洗浄療法、人工顎関節置換術等を行います。

顎関節脱臼:顎が外れてしまった患者さまに対し、整復術を行います。早期に顎が外れてしまった方には可能な限り急患対応いたします。

◇施設認定

日本顎顔面インプラント学会関連研修施設、日本口腔外科学会認定准研修施設、口腔ケア認定施設

スタッフ紹介

役職・医師名
部長 渡辺 正人わたなべ まさと
得意な分野
口腔外科全般
認定等
日本口腔外科学会認定口腔外科専門医、指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
 (歯科口腔外科)
日本小児口腔外科学会認定医
日本口腔科学会
日本頭頸部癌学会
日本顎変形症学会
日本有病者歯科医療学会
日本顎顔面インプラント学会
日本口腔腫瘍学会
医学博士
役職・医師名
医長 江野 幸子えの ゆきこ
得意な分野
睡眠歯科
周術期口腔機能管理
認定等
日本睡眠学会認定歯科専門医
日本睡眠歯科学会認定医・指導医、幹事
日本有病者歯科医療学会専門医
日本顎咬合学会認定医
産業歯科(認定医)
日本口腔ケア学会(3級)
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
日本顎顔面インプラント学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
日本交通医学会等会員
役職・医師名
非常勤 田賀 仁たが ひとし
得意な分野
睡眠歯科
認定等
日本睡眠学会認定歯科専門医
日本睡眠歯科学会認定医・指導医、評議員
日本口腔外科学会認定医
日本口腔科学会認定医
日本有病者歯科医療学会専門医
日本口腔インプラント学会専修医
日本顎顔面インプラント学会
日本口腔・咽頭科学会
日本歯科麻酔学会
日本歯科補綴学会
日本交通医学会
日本歯科医学会等会員
歯学博士

歯科口腔外科からのメッセージ

予約は電話予約センター(TEL03-3320-2211:平日および第2・第4土曜日の診療日)にお電話下さい。詳しくは、外来のご案内から電話予約のご案内を御覧下さい。
初診や予約のない方は待ち時間が長くなりますが、木曜日(手術日)を除いた月・火・水曜日の午前11時までの診療受付時間内にお越し下さいますようお願い致します。
なお、初診時に抜歯等の外科治療は原則的に行いません。