東京感動線

森を受け継ぐための基盤
「人」を育てていく
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NPO法人 響

まち
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「明治神宮の杜は、若者の奉仕でできました」と話すのは、「NPO法人 響」の事務局長を務める井梅江美さん。明治神宮の鎮座80年を機に発足したこの団体に、当初から関わっている。
主な活動は、境内での水田耕作やどんぐりの育成だが、これは響だけに許された活動だ。毎春、市民から参加メンバーを募っている。
「たんぼは、代々木の杜神饌田と呼ばれ、鎮守の杜に倣い、無農薬・手作業で育てています。御田植祭など伝統祭事を行いながら、収穫した米は明治神宮に奉納します。また、杜で採取したどんぐりを育て、全国の植林活動に提供も」

【画像1】
どんぐりの実は、種類や年代ごとに丁寧に分けられ、植林用や里親用の苗木に育つのを待つ。JR原宿駅と代々木駅も、これらの苗木の里親となり、駅長室などで大切に栽培されているという

しかし響の活動は、環境保全だけではない。1世紀続く杜が育んだ歴史や、それに関わった人々の想いを受け継ぐための人づくり、それこそが響のミッションだ。
「何もなかったこの土地に杜を築くのは、まさに国民一丸となったプロジェクトだったでしょう。当時の人々の共通の想いは“永遠に続く森を創ること”。自然の恩恵にあずかり、自然と人の在り方について学ぶことは、永遠の森を受け継ぐ土台となります」と、井梅さん。さらに、どんぐりのプロジェクトは、月2回の草取りや、苗木が育つまでの一定期間、家庭で育てる里親制度もある。特別な園芸知識は必要なく、愛情をもって日々の水やりと日光の調整を行うのがコツだという。
「苗木の種は、明治神宮の杜をつくった先人たちの軌跡です。この杜をつくった方々の無形の想いを、実際の栽培を通して学んでほしい。こうした取り組みの中から、先人たちの思想を絶やさず、引き継ぎ、生かせる人材が増えていくと信じています」。

【画像2】
田植えに参加する参加メンバー。「田んぼは小規模ですが、農薬を使わず、すべて手作業で管理するのは大変な苦労がともなう。水は、森から湧き出る湧き水を利用しています」と井梅さん。「NPO法人 響」への入会は、オフィシャルサイトから詳細が確認できる

アクセス

所在地:東京都渋谷区
代々木神園町1-1明治神宮会館内
Tel:03-3379-5835

http://www.npohibiki.com