東京感動線

ささやかな日常の幸せを。
30駅をライブペインティングでつなぎ
みんなで迎えたフィナーレ
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HAND!in Yamanote Line‐山手線でアートと音楽を楽しむ15日間‐
「ART LOOP TOKYO 2020 by OVER ALLs」

交流・体験
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いつもの駅がアートと音楽にあふれた15日間

2020年11月16日(月)〜30日(月)に開催された「HAND!in Yamanote Line‐山手線でアートと音楽を楽しむ15日間‐」。山手線の全30駅とその周辺施設、オンラインを舞台に、AR体験、アート展示、音楽ライブなど、アートと音楽のイベントが同時多発的に行われました。

美術館やライブ会場に行きづらくなってしまった2020年。だったら、アートや音楽を駅に呼び込もう!という思いから始まったこのプロジェクトは、東京感動線が初めてチャレンジした、山手線全駅を巻き込むアート&ミュージックのイベントでもあります。

普段使っている駅で出会う非日常体験を多くの人が楽しみ、各会場はもちろん、SNSでは「#東京感動線HAND」などのタグで写真がシェアされるなど、大いに盛り上がりました。

30駅で描いた絵がひとつの作品に

「HAND!in Yamanote Line」の最終日。フィナーレとして、東京駅構内にあるグランスタ東京イベントスペース スクエアゼロで、OVER ALLsによるライブペインティングが行われました。

これは、「ART LOOP TOKYO 2020 by OVER ALLs」と題したプロジェクトを締めくくるものです。「楽しんだっていい」を合言葉に「楽しい国、日本」という作品の完成を目指すアートカンパニーOVER ALLsが、「HAND!in Yamanote Line」の会期中に山手線全駅で生の手描きアートを制作。3日間で各駅を巡り、人々が行き交うなかでライブペインティングを決行しました。

そうして描かれた、東京駅を除く29駅分の絵が会場に集結。円形にぐるりと並べられ、電車の車窓越しに見える人々の姿を描いたシーンが、山手線のように“輪”になってつながります。

残るは「東京駅」の作品のみ。それをこの日にライブペインティングで描き上げ、「ART LOOP TOKYO 2020 by OVER ALLs」は完成するのです。

【画像】
上/29駅の絵がずらり
左下/目白駅「私が守れない 戦いに挑む あなたへ」
右下/大崎駅「ありがとう いつも ありがとう」

行き交う人たちが見守ったライブペインティング

「東京駅」の絵は全部で3枚。ライブペインティングが3回行われ、1枚ずつが描き上げられます。

最後の1枚となる最終回は18:00にスタートしました。登場したのは、プロジェクトの企画とプロデュースを担当したOVER ALLs代表の赤澤岳人さん、同じくOVER ALLsの画家・山本勇気さん、ピアニスト・サーカス田中さんです。

集まった観客たちを前に、まずは赤澤さんからごあいさつ。
「今から最後の1枚を、1時間ほどで完成させます。電車の駆け込み乗車はダメですが、最後はたぶん駆け込みペイントになると思いますので、みなさんもぜひ急げ急げとプレッシャーをかけてください(笑)。ライプペインティングはまもなく発車します。どうぞご乗車ください!」

拍手とともにサーカス田中さんがキーボードを奏でると、キャンバスに向かう山本さんが流れるように木炭を走らせていきます。
あっというまに下描きが完成し、絵筆に持ち替えてアクリル絵の具での色づけへ。次々と色を替え、時には大胆に、時には細かな筆使いで重ね、徐々に男女のカップルらしきシルエットが浮かび上がります。

行き交う人たちが足を止め、ソーシャルディスタンスを保ちながらも人だかりは大きくなっていきました。

途中、再び登場した赤澤さん。
「今まで僕らは、山手線の駅を回って絵を描いてきました。以前なら『駅はそういう場所じゃない』と言われていたかもしれませんが、コロナで楽しいものの価値は変わった気がします。大変な状況だからこそなにかしたい、電車で人と物を運ぶだけじゃなくて心や感動も運びたい。JRのみなさんとそんなふうに話して生まれたプロジェクトです。
各駅の絵の黒い囲みは電車の窓やドア。乗っているすべての人に物語があります。コロナで大きな感動を得るのがなかなか難しくなったけれど、日常の中に感動はあふれているよというメッセージを込めています」

スタートから1時間後。できあがったのは、東京駅の駅舎の前でカップルがウエディングの衣裳に身を包み、微笑み合う温かな絵です。
見守っていた観客たちから一斉に拍手が起こり、気づけばみんなが笑顔になっていました。

こうして「ART LOOP TOKYO 2020 by OVER ALLs」のすべての絵が完成。33枚が揃い、ひとつの作品になりました。

電車に乗る人たちの、小さな幸せや人間模様

終了後、山本さんにお話を伺いました。

ライブペインティングの魅力を「完成した絵だけでなく、工程にストーリーを感じてもらったり、描いている姿を見て元気を与えられたりできたらいいなと思っています」と山本さん。今回、各駅で描いた絵のテーマについて、「最初は駅や街の特徴を色濃く出そうと思っていたんですが、赤澤たちとアイデアを練っていくうちに、あんまりそれにとらわれすぎないようにしよう、ということになりました」と言います。

「結局、一番描きたいのは人間模様だということに行き着いたんです。電車に乗っている人たちは、嬉しさや感傷など、それぞれにいろんな感情を抱えていますよね。そんな電車のなかの小さな幸せや人間模様を表現したいと思いました。
コロナで今までできていたことができなくなったりしたけれど、日常の“小さな当たり前”が大切だったんだなという思いを込めて描かせていただきました」

東京駅で最後に描いたのは、恋人たちのドラマチックなシーンでした。

「各駅では家族や友達、恋人と、いろんなつながりを描いてきました。最後を飾る東京駅では、出会いの“ゴール”をイメージさせるような、ウエディングをテーマにしたんです。調べたら、東京駅の駅舎前では実際にウエディングフォトが撮れるみたいですね。現実とリンクすることに『これはいい!』と思って、今回のシーンを選びました」

ライブならではのワクワク感をみんなで味わった「ART LOOP TOKYO 2020 by OVER ALLs」。「HAND!in Yamanote Line」はそんなふうに、ちょっとだけ心が前向きになるような“日常の彩り”を生み出す15日間になりました。

【画像】
左上から時計回りに、赤澤岳人さん、山本勇気さん、サーカス田中さん。


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