「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.662024/6/19
齊藤 裕司の想い
旅の“始まり”と“終わり”の駅で、お客さまを笑顔でお迎えしたい
出発前には、「TRAIN SUITE 四季島」専用ホームそばのラウンジ「プロローグ四季島」にお客さまをお迎えし、上野駅長が沿線や旅先の魅力を直接お伝えしている。
そして発車時には自らハンドベルを鳴らし、数日間にわたる旅へと列車を送り出す。
7年前の上野駅長就任時から、この重要なホスト役を務めてきた齊藤裕司。この列車の始終点が上野駅であることに、特別な思いを持っている。

上野駅の持つ歴史の重み、そして
日本人の「心の駅」として
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上野駅は2023年に開業140周年を迎えました。ターミナル駅としての役割に加え、日本人の「心の駅」として、長い歴史を重ねてきた駅でもあります。
現在は新幹線や一部の特急は東京駅、品川駅が始終点になりましたが、かつては首都・東京の北の玄関口として、地方から就職や進学で東京に出てくる人々の始終点といえば、上野駅でした。私自身も山形の出身なので、東京といえば上野というイメージでした。
私は第42代の駅長になります。駅長室には、明治時代から歴代の駅長の名前がすべて掲げられています。
「TRAIN SUITE 四季島」が運行を開始したのが、2017年5月1日でした。私はその翌月に上野駅長に就任しました。これまでのべ1万3000人以上のお客さまに「TRAIN SUITE 四季島」の旅をご利用いただいておりますが、そのほとんどの方々の出発時にお見送りをしてまいりました。
一人一人に、旅を楽しんでいただきたいという想いをお伝えする

お話の後、「TRAIN SUITE 四季島」の車両とともに、出発前の写真撮影があるのですが、その際にもおすすめの沿線風景などについて、お一人お一人にご紹介させていただいております。
私は入社してすぐのころ、この上野駅構内の旅行センターに勤務していたことがありました。「TRAIN SUITE 四季島」で訪れる場所の魅力に関しては、そのころの経験が活かされているのではないかと思います。
お客さまのなかには、かつて北海道旅行で、上野始発の夜行列車で青森までいらして、青函連絡船で北海道に渡ったという思い出話をしてくださった方もいらっしゃいます。また、「TRAIN SUITE 四季島」にはリピーターのお客さまも多く、嬉しい再会を果たす方もいらっしゃいます。
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出発時のホームでは、毎回JR東日本のグループ会社の社員たちも旗や手を振って、お見送りに参加します。車内からお客さまも盛んに手を振ってくださり、私たちに応えてくださいます。
「TRAIN SUITE 四季島」は、もともと2011年の東日本大震災からの復興のため、東北を元気にしたいという想いが原点で始まったものでした。現在、運行開始より8年目となりますが、東日本の各地域をつなぐ架け橋になっていければと思います。
上野駅だけでなく、旅先での列車のお出迎えやお見送り、沿線で手を振ってくれる方たちがたくさんいらっしゃいます。「TRAIN SUITE 四季島」が、東日本の人々の心をつないでくれているのです。
上野駅、そして上野の街が
一体となって、ともに盛り上げていく

上野駅の特徴として、駅前がすぐ観光地であることが挙げられます。上野公園内の美術館、動物園を目指されるお客さまも多く、近年はアメ横を訪ねるインバウンドのお客さまも増えています。
また、上野公園には東京藝術大学のキャンパスがありますので、大学と連携協定を結び、駅構内に学生さんの作品を展示したり、毎年9月はじめに行われる大学祭「藝祭(げいさい)」の広報スペースを作ったり、アートを楽しんでいただく試みにも取り組んでいます。
上野駅は都内のターミナル駅のなかでも新たなプロジェクトに取り組む実験的な場となることが多く、エキナカ商業施設の導入などもいち早く行われてきました。
そして上野駅は「TRAIN SUITE 四季島」の旅の“始まり”と“終わり”の駅です。「TRAIN SUITE 四季島」は、日本の美しい四季と時間と空間の移ろいを楽しんでいただく列車だと思います。その特別な旅の発着の舞台として、私たちはお客さまを笑顔でお迎えしたいと考えています。
上野駅でお会いできることを楽しみにしています。