「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.582022/5/31
佐藤 滋の想い
料理人として充実した4年間。
感謝の気持ちでいっぱいです
お客さまの笑顔が一番の励み
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2018年に「TRAIN SUITE 四季島」の料理監修・中村勝宏シェフから総料理長就任のお話をいただいたときのことは今でも鮮明に覚えています。「TRAIN SUITE 四季島」という特別な列車でシェフを務めるという重責が、この私に務まるのだろうかと不安になることもありましたが、このチャンスに挑戦してみたいとの思いから、お引き受けすることになりました。
初日は本当に緊張しました。揺れもありますし、車内に積み込める食材や道具なども限られています。レストランならすぐに対応できることも車内では難しく、まさに一発勝負の現場です。ただ、日を追うごとに不安は少しずつ払拭されていきました。むしろ、どの食材をどんなふうに料理しようかという楽しみのほうが勝るようになりました。また、東日本は生産者の方々が丹精込めた野菜や新鮮な魚介、滋味豊かなお肉など、食材の宝庫です。たとえば、私の故郷である秋田県産比内地鶏の卵や、栃木県で出合った人参や大根、レタスなどは野菜本来の味が凝縮されていて、作り手の愛情を感じます。そのような素材を使って料理をするというのは、料理人の冥利に尽きます。そして何よりもお客さまの笑顔が、一番の励みになりました。
最後の日まで心を込めて
この4年間、精一杯の気持ちを込めてお料理をご提供してきました。それもこの「TRAIN SUITE 四季島」に関わるすべての皆さまのご尽力あってのことです。感謝してもしきれません。
「TRAIN SUITE 四季島」でお会いしたすべてのお客さまとの思い出は一生の宝物です。次を担う総料理長もまた新たな感性でお客さまを魅了することでしょう。私も最後まで全力で、お客さまの素敵な笑顔のため、心を込めて料理をしたいと思います。
佐藤 滋 [ 撮影=小山一成 ]