「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.422020/2/25
“メイド・イン・郡山”として新生させる覚悟で、スタッフ一同、全力で取り組んでいます。
2017年5月の運行開始から4年目を迎える今年、春からの運行に向けて、検査・修繕・再塗装を経て、車両は新しく生まれ変わる。
この大プロジェクトを担うのは、JR東日本の中でも高度な技術力で知られる、郡山総合車両センター。2年前よりプロジェクトチームを発足させ、入念な準備を進めてきた――。
※走行距離60万㎞を超えない期間ごとに行う検査・修繕を指定保全という
「TRAIN SUITE 四季島」のために新たな設備も導入
-
堀内 浩(以下、堀内):今年(2020年)1月9日、「TRAIN SUITE 四季島」の車両が指定保全検査のため、初めて郡山総合車両センターに入場しました。日々のメンテナンスは、上野駅に近い東京の尾久車両センターで行っていますが、いわゆるヘビーメンテナンスは、われわれ郡山のチームで担うことになりました。
これは郡山総合車両センターにとって、非常に大きなプロジェクトでした。所内では、2年前よりワーキンググループを発足させ、私と金子は、一連の工程を企画・管理する役割を担当してきました。 -
金子 靖央(以下、金子):今回のメンテナンスは、水回り機器の交換やエンジンの修繕、車両の内装、調度品の修繕、それと車体の全面的な塗装も行なう、「TRAIN SUITE 四季島」にとって、初めての大規模なものです。
このほかにも、車両を水平方向に移動させるための大型の「トラバーサー」という設備も更新しました。通常対応している車両よりも、「TRAIN SUITE 四季島」の車体は重量があるので、それに対応できるトラバーサーが必要でした。
現場に出向き、情報収集することで、着実に準備を進める
とにかくすべて初めてのことで、できるだけ「TRAIN SUITE 四季島」を見て勉強しておこうと、訓練、勉強会などにも随時、参加して準備してきました。
堀内:そして、やはりこの車両のことを一番よく知っているのは、日々のメンテナンスをしてきた尾久車両センターのスタッフです。トレインクルーからの車両への指摘なども、随時、尾久車両センターに伝わってきます。ですのでまず、尾久車両センターとの緊密な情報の共有、連携をはかりました。
金子:入場直前の昨年12月には、「TRAIN SUITE 四季島」の車掌に郡山に来て、話をしてもらう場も持ちました。日々の運行中ならではのエピソード、この列車に懸ける車掌たちの想いを聞いて、大変盛り上がりました。われわれもチームの一員なんだと、モチベーションもグッと高まりました。
“メイド・イン・郡山”のプライドで、取り組む
金子:列車の通過時には、スタッフでお客さまに手を振っているのですが、心をこめて、全身を使って大きく手を振るようにしていました。そして、この車両をいまここに迎えていることには、改めて感慨を覚えます。
堀内:郡山のスタッフは、気質というのか、口では多くは語らないが作業が早く、そして確実です。このプロジェクトを通じて、今まで以上にスタッフの結束力が高まり、誇りを持って業務を行っています。
金子:まさに今、この車両を“メイド・イン・郡山”として生まれ変わらせる覚悟で、スタッフ一同、全力で取り組んでいるところです。さらに美しくブラッシュアップされた、「TRAIN SUITE 四季島」をどうぞ楽しみにしていてください。
技術科助役 堀内 浩 / 技術科車両係 金子 靖央 [ 文=鈴木伸子 撮影=的野弘路 ]