「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.392019/11/25
お客さまに届くシーンを思い浮かべながら、心を込めて、確実に、丁寧に――。
複雑な作業工程を日々改善しながら、お客さまに楽しい時間を過ごしていただくための「旅づくり」に取り組んでいる。
障がいのある人たちが働きやすく、成長できる仕事を
障がいに関するサポート環境を整え、多くのスタッフが働いています。
業務としては、JR東日本の制服の在庫管理、印刷サービス、駅構内の植栽の維持管理などを行っていますが、2017年の「TRAIN SUITE 四季島」の運行開始に伴い、アメニティグッズの在庫管理も行うようになりました。
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小鷹 由美子(以下、小鷹):私は2009年の会社設立と同時に入社し、現場のスタッフが働きやすいように作業の手順を考えることを主な業務としてきました。
以前の職場では、高齢者の介護に従事していましたが、障がい者の方たちと、一緒に働きたいという思いから、思い切ってこの会社に応募しました。皆さんのサポートをすることで、現場のスタッフたちが新たな仕事を確実に達成することに、私自身、大きなやりがいを感じています。 -
後藤善之(以下、後藤):私が入社したのは2015年です。以前、勤めていた会社では、事務と車の清掃を担当していました。入社後は制服の発送、納品、発券業務や広報誌の仕分け、エアコン清掃のほか、「TRAIN SUITE 四季島」のアメニティグッズの在庫管理を行っています。

アメニティグッズは、歯ブラシ、マウスウォッシュ、ヘアブラシとコーム、レザーセット、化粧水やシャンプーなど全部で17種類あり、それらを検品して7種の箱や袋に入れ、セット組みし、出発駅である上野駅に届けています。
スタッフ全員が安心して作業ができるマニュアル作り
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後藤:最初は、複雑な作業に混乱してしまい、どうすればいいのか悩みました。まず紙箱を組み立てて、その1つ1つにアメニティを収め、7種類11個の紙箱をひとまとめにするために上下と左右に2枚の“のし紙”をかけるのですが(“のし紙”は、車内にセットする際、最終的に外します)、アメニティの種類が多く、また手順も複雑なので、途中で混乱してしまうのです。
小鷹:そこで、確実に作業を行えるよう、そして、スタッフによって出来栄えに差が出ないように、マニュアルを作ることにしました。実際に作業している後藤さんと、どうすればやりやすくなるかを話し合いながら、写真と文章でマニュアルを具体化していきました。 -
後藤:たとえば、“のし紙”をテープで貼り合わせる位置、アメニティを包んで一体化させるときに“のし紙”を置く位置など、実際に自分で作業をしてみて、こうすればうまくいくというポイントを詳しく小鷹さんに伝えていきました。
- 小鷹:マニュアルを作るうえで、後藤さんからのアドバイスは大変頼りになりました。マニュアルの作成は、業務と並行して進めながら、やってみて難しい、やりにくかったといった声を聞きながら改善していきました。
また、検品を行なう際、微妙に迷ったときは、「わからないBOX」という箱を作って、とりあえず、そこに入れておくというルールも作りました。これはとても便利です(笑)。
現在ではすべてのスタッフに、「これに従って仕事を進めてください」と言えるまでのものになってきたと思います。
仕事が現場に届いていると実感できることの喜び
小鷹:そういった機会に、「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまと実際に接しているクルーや車掌区の人たちとお話しさせていただくと、自分たちの仕事が、まさに「TRAIN SUITE 四季島」の現場に届いていることが実感できて、とても嬉しく感じます。
後藤:小鷹さんも私も、上野駅や尾久車両センターで「TRAIN SUITE 四季島」の車両を見学したことがあるのですが、「こんな特別な列車の仕事に関わっているのだ」と改めて感動しました。
「TRAIN SUITE 四季島」がテレビや雑誌で紹介されていたり、偶然、走行しているところを見かけると、私たちがセット組みしたアメニティが積み込まれているんだと思い、がんばる気力が湧いてきます。お客さまに楽しい時間を過ごしていただくことを目標に、これからもこの仕事を心を込めて、確実に、丁寧に取り組んでいきたいと思います。
