連載コラム
TRAIN SUITE
四季島を
支える想い

2019/04/26

Vol.32:「TRAIN SUITE 四季島」総料理長

佐藤 滋の想い

2019年4月、初代総料理長 岩崎均のあとを受けて、「TRAIN SUITE 四季島」の総料理長に就任した佐藤滋。
重責と期待を担う新シェフが、その意気込みを語る。

「TRAIN SUITE 四季島」での旅の大きな喜びといえば、流れゆく美しい車窓と共に味わう、ほかでは体験できない特別な「料理」だ。
東日本の選りすぐりの食材と、最高の料理人によるその土地ならではの物語がつまった心尽くしの料理。その体験は、まさに忘れられない旅のハイライト・シーンとなるだろう。
2019年4月、初代総料理長 岩崎均のあとを受けて、総料理長に就任した佐藤滋。期待の新シェフ登場によって、「TRAIN SUITE 四季島」の食の世界は、さらに進化、充実してゆく――。

2019年4月、新総料理長、デビュー。

この4月から総料理長として「TRAIN SUITE 四季島」に乗車し、車内での調理を担当しています。
当初は列車内での調理ということで少し不安もあったのですが、2018年9月から副総料理長として乗車してきたこともあり、ようやく慣れてきたところです。
総料理長への就任については、昨年(2018年)「TRAIN SUITE四季島」料理総監修の中村勝宏シェフよりお話をいただきました。
思いがけないことでしたし、私で務まるのだろうかと、最初は戸惑う気持ちがあったのですが、しばらく考えるうちに、このチャンスにぜひ挑戦してみたいという想いが自然と湧いてきました。

旅のコンセプトとストーリー性を追求して。

総料理長を引き継ぐにあたって、「TRAIN SUITE 四季島」という列車の旅のコンセプトを自分なりに咀嚼し、明確にさせていきました。
季節の喜びが匂い立つ料理、東日本の厳選された食材を貪欲に取り入れること、そして、その旅ならではのストーリーのある料理。それらをどう表現するか、自分なりに考えました。
まず、東日本のさまざまな食材の情報を集めることから始めました。たとえば、野菜のアスパラガス一つをとってみても、今までは好んで使う産地が決まっていたのですが、改めて探してみると、「TRAIN SUITE 四季島」が旅する土地には本当においしいものがたくさんあることを再認識しました。
これからも旅のコースゆかりの食材を取り入れた料理を通じ、お客さまに旅情を感じていただけるよう、さらなる食材探究を続け、一つのものに固執せず、どんどん新たな産地や食材を探し出してゆきたいと思っています。

研修で再認識した、正統派フランス料理の力。

昨年(2018年)まで務めていた東京ステーションホテルでは、フランスのレストラン厨房を経験する半年間の研修がありました。この経験は、自分にとってフランス料理を見つめ直す貴重な機会になりました。研修先のひとつである、パリの「ル・グラン・ヴェフール」と「タイユヴァン」は、正統派フランス料理を重んじつつ、最前線を追究している名店です。フォンにしてもブイヨンにしてもしっかりしたものをベースに、そこに新たな感性で肉づけしていくことの大切さを改めて学び直しました。
歴史と伝統が磨き上げてきた正統派フランス料理の揺るぎない力を私なりに誠実に表現したい。そして、「TRAIN SUITE 四季島」で味わっていただきたい。私の料理の根幹には、そのような思いもあります。

「記憶に残る」料理のために、一皿一皿を誠実に。

私は生まれも育ちも秋田です。縁あって、自分の故郷を走る特別な列車で仕事ができることに感慨を覚えます。今回の3泊4日コースでは、秋田自慢の食材を使って、「比内地鶏のコンソメスープ」をご用意することにしました。「TRAIN SUITE 四季島」でしか味わうことのできない、比内地鶏の魅力を味わっていただきたいと思います。
車内では、お客さまと身近に接しながら、その旅をサポートする一員として、喜びとやりがいを感じています。料理を作ることが私の仕事ですので、これからも一皿一皿を誠実に作っていき、お客さまの旅の記憶に残るような食体験をしていただけるよう、日々、努力していきたいと思います。

「TRAIN SUITE 四季島」総料理長 佐藤 滋
[ 文=鈴木伸子 撮影=的野弘路、小山一成 ]