「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.302019/02/28
真冬の早朝、湯の街・鳴子温泉駅で「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまをお迎えすることで広がった、地元大崎市民の“つながりの輪”
- 「TRAIN SUITE 四季島」冬の2泊3日コースでは、旅の最終日の早朝6時過ぎに列車が宮城県大崎市の鳴子温泉駅に到着、お客さまには温泉街での入浴を楽しんでいただく。
駅のホームでは、毎回、早朝から地元大崎市のメンバーがお出迎え、お見送りを行なっている。
その仕掛け人は、大崎市役所の藤島善光。「TRAIN SUITE 四季島」をキーに、「オール大崎市」でおもてなしに取り組む熱い気持ちが、お客さま、そして地元の絆を強くつないでいる。
本州一の泉質数を誇る鳴子温泉のお湯を満喫していただく
- 「TRAIN SUITE 四季島」冬のコースのお客さまは、旅の最終日の早朝、鳴子温泉駅に到着されます。そこで精いっぱいの歓迎の気持ちをお伝えしたいと、毎回、地元大崎市内の7地域から交代で、駅のホームでのお出迎え、お見送りを行なっています。
大崎市内の山形寄りの山間に位置する鳴子温泉郷は、泉質が9種類と本州では最多で、源泉の数も400本。温泉郷には5つの温泉街があり、その中心である鳴子温泉は、旅館や共同湯が並び、湯の街の情緒を感じていただける土地。鳴子こけしでも知られた土地です。
ここでお客さまには旅館の大浴場での入浴や、駅構内に特設した「おおさきマルシェ」で地元の特産品の買い物を楽しんでいただいています。
鳴子温泉だけでなく、大崎市全体でお客さまを歓迎しよう
- 「TRAIN SUITE 四季島」が鳴子温泉駅に停車するという話を最初にいただいたのは、2016年の秋のことでした。即座に「これは地元にとってすばらしいチャンスになる」と思いました。そして、鳴子温泉だけではなく、「オール大崎市」で対応していこうと、市内の全7地域で、一緒に「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまをお迎えしませんかと、地域を回り、話し合いを行いました。
ただ当時は「TRAIN SUITE 四季島」といっても、どんな列車なのか、どのようにお客さまに対応したら喜んでいただけるのか、まったく見当がつきませんでした。地元大崎市として、どのようなおもてなしができるのか、まさに試行錯誤しながら、みんなで考えることからすべては始まりました。
真冬の早朝、豪雪の鳴子温泉駅でお出迎えをするために
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大崎市は、2006年に7つの地域が一緒になってできた市で、端から端まで80キロという細長い地域になります。東北新幹線の駅のある古川が中心地。鳴子温泉郷はその山寄りにあり、松島町に接する海寄りの地域からはけっこうな距離があります。早朝にお出迎えをするには、鳴子温泉から遠いエリアからだと、どうしても泊まりがけになってしまいます。そこでまず、温泉街の旅館に掛け合って、格安の素泊まりパックを作ってもらいました。そして毎回泊まる宿が変わるように事務局でセッティングして、他の地域のお出迎えの人たちにも鳴子温泉をより深く知って楽しんでもらえるようにしました。 -
真冬、鳴子温泉の朝はマイナス10度以下になり、積雪が1メートルを超すこともあり、駅まで車を出すためには、朝4時前には起きて除雪しなければなりません。それでも市長をはじめ、毎回各地域のメンバーがお出迎えをするために集まる。とにかくみんな、鳴子温泉に来て頂くお客さまを歓迎したい気持ちでいっぱいなのです。
私自身も、鳴子温泉郷の川渡温泉で産湯をつかい、今もその地元に住んでいます。当然、毎回参加しています。
「TRAIN SUITE 四季島」をきっかけにじわじわと広がってきた地域の輪
地域の人たちも、こちらからお願いしなくても、「なんだかすごい列車がやって来ている」と、列車のお見送りのときに、沿線で自然と手を振ってくれるようになりました。
やっぱり「人」なんです。お客さまとの交流、地元の人たちの動きと、「TRAIN SUITE 四季島」がさまざまな人と人のつながりをもたらしてくれたことに心より感動しています。