連載コラム
TRAIN SUITE
四季島を
支える想い

2019/01/31

Vol.29:尾久車両センター 車両メンテナンス担当

助役 柴沼 健一 / 主任 友末 雄貴の想い

「TRAIN SUITE 四季島」の快適な旅を支える、
車両メンテナンススタッフ

「TRAIN SUITE 四季島」の車両は日本国内で初となる※EDC方式(Electric-Diesel Combined systemの略)を採用した車両。
在来線を走る電車でありながら、気動車(ディーゼル車)としての機能も有し、青函トンネルの新幹線共用区間も走行する。
そしてこの車両は「ホテル」としての快適性も備えていなければならない。
そんなクルーズトレインに、開発段階から関わり、現在はそのメンテナンスにあたる尾久車両センターの担当者たち。
彼らはこの特別な列車に、なみなみならぬ情熱を注いでいる。

開発段階から一貫して
「TRAIN SUITE 四季島」を支える

柴沼:私は、以前はJR本社の車両技術センターで「TRAIN SUITE 四季島」車両のシステム開発に携わり、列車情報管理装置(TIMS)や電気制御などの設計を担当していました。昨年7月からは尾久車両センターで、車両を開発した立場から、メンテナンスを行なっています。

友末:私は、尾久車両センターのメンテナンス担当として、新たな車両を引き受ける立場から、開発段階より関わってきました。車両センターの一員として設計会議に参加して現場の要望を伝えたり、車両が配置されてからはメンテナンスの計画や営業線でのトラブルの対応を担当しています。

走行機能とともに、
「ホテル」としての快適性も

柴沼:「TRAIN SUITE 四季島」は、電車であり、エンジンを搭載した気動車(ディーゼル車)でもあります。また、青函トンネルの新幹線共用区間も走行できるという特殊な列車です。
ですから、そうした列車に必要な機能をすべて搭載しなければなりません。なおかつ、お客さまが宿泊されたり食事を楽しまれたりしますので、ホテルとしての快適性が求められます。

友末:車両のメンテナンスでは、走行関連の機能はもちろんのこと、車内の壁、床、家具などの傷の修繕も行なっています。
たとえば冬場なら、木を基調とした室内装飾や檜風呂などが乾燥で痛んでしまわないように特に注意するなど、季節に応じたメンテナンスを考えながら対応しています。

柴沼:また車両の乗り心地にも配慮しており、走行中の異音や揺れなどが発生しないように、車輪の状態なども特に注意してメンテナンスをしています。

想定外の困難を克服し
試行錯誤しながらの前進

友末:「TRAIN SUITE 四季島」は、電車、気動車、客車の機能を有しており、搭載されている機器がとても多いため、メンテナンスに想定していた以上の時間がかかることが営業開始前の大きな課題でした。

柴沼:車両開発の段階では、設計上できると考えられていた方法ではメンテナンスができず、試行錯誤しながらメンテナンス方法を確立してきました。
また、営業開始前に見つかった改善点もあり、営業開始後に対応が必要なところもありました。
日々勉強を重ねながら、「最高の車両、品質の高い車両、お客さまに満足していただける車両」をお客さまに提供し続けていくことが私たちの目指すところです。

スタッフとの強い連携で
スムーズな問題解決を

柴沼:「TRAIN SUITE 四季島」が走行中、私たちは尾久車両センターにいるわけですが、列車が問題なく走行しているかについて、常に意識しているので、緊張感があります。
春から秋にかけては、1週の間に3泊4日コースと1泊2泊コースが、冬は週に2回の2泊3日コースが運行されており、その合間の毎週金曜日だけが車両センターでメンテナンスができる日になります。
したがって、それまでに解決すべき点を集約しておくことが大切です。

友末:その点では、車掌やトレインクルーと運行中に情報交換を行なうことが特に重要です。
そのほか、滞在先の各地の車両センターともスムーズに連携が取れるよう関係を構築しています。

お客さまの前に
姿を現すことがないのが理想

柴沼:開発段階から関わり、現在もメンテナンスを行なう。この世に一つしかない、この特別な車両にそんな形で関わってこられたことが私たちの誇りです。
一方で、お客さまの前に私たちが姿を現すことがないのが本来のあり方で、そのこと自体が、快適な車両をご提供できている証になるわけです。

友末:「TRAIN SUITE 四季島」が上野駅を出発するとすぐに、私たちが勤務する尾久車両センター前を通過するのですが、乗車されているお客さまに手を振ると、振り返してくださることもあります。
そんなときには、自分たちの仕事とお客さまのつながりが実感でき、この仕事に携われてよかったと心から喜びを感じます。

※電化区間では架線から供給される電力によって走行し、非電化区間では車両に装備した大出力のエンジンにより発電機を稼働させ、発電機からの自給電力によって自力走行する「EDC方式(Electric-Diesel Combined systemの略)」と呼ぶシステム。

尾久車両センター 車両メンテナンス担当 助役 柴沼 健一 / 主任 友末 雄貴
[ 文=鈴木伸子 撮影=的野弘路 ]