連載コラム
TRAIN SUITE
四季島を
支える想い

2018/11/30

Vol.27:登別市観光経済部 観光振興グループ

本田 利幸の想い

心のこもったおもてなしを。
温泉と海、登別のさまざまな魅力をお伝えしたい。

「TRAIN SUITE 四季島」3泊4日コースでは、2日目に北海道を訪れるが、その際に登別もしくはニセコのいずれかの滞在先を選ぶことができる。
このうち、9つの源泉を持ち、湯量も豊富な温泉地・登別をご案内するのは、地元出身で登別市観光経済部に勤務する本田利幸。
登別を心から愛する彼は、温泉ばかりでなく、この土地の海と山の魅力を余すことなく伝えたいと、さまざまな心づくしのおもてなしでお客さまをお迎えしている。

温泉の神・湯鬼神とともに駅のホームでお出迎え

「TRAIN SUITE 四季島」3泊4日コースの2日目の夕方、列車は登別での宿泊をご希望されたお客さまを乗せて登別駅にやってきます。
ホームでお迎えするのは駅員のほか、ガイド役の私、そして赤鬼、青鬼たち。これは怖い悪い鬼ではなく、湯鬼神(ゆきじん)という登別温泉の守り神なのです。また、駅舎出口では、地元内外で有名な北海道マリンパークのペンギンたちがお出迎えします。
登別には、駅前や温泉街、高速道路のインターチェンジ出口などあちこちに鬼の像があるのですが、これは「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまにも観光していただく“地獄谷”が、まさに鬼の棲む場所をイメージさせるからでしょう。

温泉だけではない、登別漁港の魅力

駅前からバスにご乗車いただいたお客さまを最初にご案内するのは、登別の漁港です。
登別では温泉は有名ですが、漁港は今まで特に観光地にはなっていませんでした。この漁港では、サケやタラ、北寄貝、高級魚のマツカワガレイなどが水揚げされ、温泉街の旅館でもそれら地元の海産物をお召し上がりいただいています。山側の温泉だけでなく、駅からすぐの海側の漁港にも見どころがある、そんなことを知っていただきたいと、ご案内しております。

漁港では登別で最大級の19トンの定置網漁船に大漁旗を飾ってお客さまをお迎えし、また、駅から漁港までの間にはいくつかのサプライズ的なおもてなしも試みております。それらがどんな趣向なのかは、実際にいらしていただいてのお楽しみなのですが、いずれも地元の発案と協力で実現したもので、お客さまにも大いに喜んでいただいています。

地獄谷に響き渡る
和太鼓の勇壮なパフォーマンス

漁港をご覧いただいた後は、バスで一路、山の上の温泉街へ。登別の代表的な名所である地獄谷にご案内します。地獄谷は約1万年前の水蒸気爆発で山の一部が吹き飛んでできた火口群で、今でもあちこちから硫黄泉や湯気が吹き上がり、ごつごつとした溶岩の背後に山が広がる景観は、壮大で幻想的です。
「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまには、この地獄谷を背景に、地元出身の兄妹で和太鼓を中心に演奏している“ZINKA”の勇壮なパフォーマンスをお楽しみいただきます。力強い打ち込みによるリズム、お腹の底にまで伝わるダイナミックな太鼓の響き。感動で涙を流されていたお客さまもいらして、思わず私も目頭が熱くなってしまったことがあります。

震災の被害を乗りこえてお客さまに再会した喜び

2018年9月6日の未明、登別からほど近い地点を震源とする北海道胆振(いぶり)東部地震が発生しました。最大震度は7、登別では震度5弱でしたが、発生直後より北海道全域で停電となり、鉄道も道路の信号も機能を失う事態に陥りました。登別の温泉街では旅館やホテルの予約のキャンセルが相次ぎ、街からは人影が消えました。「TRAIN SUITE 四季島」も運休になりましたが、その後クルーの方が登別まで状況を見に来られて、節電中のところツアーを行っても大丈夫かという打診をいただいたのです。登別では建物が壊れる、道路が陥没するといった被害もなかったので、観光のお客さまにいらしていただくのは大歓迎でした。
そして、3週間ぶりに登別駅で「TRAIN SUITE 四季島」の車両がホームに入ってくるのを目にしたときは「ああ、戻ってきてくれた」という気持ちで感無量でしたね。

東日本、北海道には魅力的な観光地がほかにも多くあるなか、「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまに登別にいらしていただけるのは、本当にありがたいことです。毎回、一期一会の気持ちで地元の魅力をお伝えしたいと努めています。
震災後の登別は、現在も復興の途上です。「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまには最高の思い出をお持ち帰りいただき、多くの方に登別の魅力を伝えていただければと願っております。

登別市観光経済部 観光振興グループ 本田 利幸
[ 文=鈴木伸子 撮影=的野弘路 ]