「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い

Vol.232018/07/26

ブナコ株式会社社長 倉田 昌直の想い

世界遺産の「森の恵み」青森・白神山地のブナから産み出された
モダンデザインの工芸品「BUNACO」

「TRAIN SUITE 四季島」、冬の2泊3日コースでは、青森県西目屋(にしめや)村のBUNACO工房を訪ねる。
以前は町の小学校だった建物を改装した工房では、BUNACOの製造の模様を見学、そしてその製作体験にも挑戦する。
自ら手がけた木の温もりが残る器は、旅の何よりの思い出の品となるはずだ。

どうすればブナ材を有効活用できるのか

ブナは青森の山林で採れる代表的な木材です。青森から秋田にかけて広がる白神山地には、世界最大級のブナの原生林が広がっています。しかし、ブナの木は水分を多く含み、長期乾燥させても“くるい”が生じ、建材には向きません。このブナをどうしたら有効活用できるかと、青森県の工業試験場が主体となり1956年に開発したのがBUNACOの製法です。
まず、ブナの木を“かつらむき”の要領で薄い板にして、それをテープ状に切って板に巻き付け、薄いバウムクーヘンのような形にします。これを湯のみ茶碗の縁(へり)を使ってテープの層をずらしながら立体的に立ち上げ、食器や皿などに成形していきます。
現在は食器やトレイのほか、ティッシュボックスやランプシェード、椅子やスピーカーなどのインテリア関連の製品も製造しており、海外への輸出も増えています。

2017年、白神の森の入り口、西目屋村に新工場を設立

当社は昨年2017年、従来の弘前工場に加え、弘前市に隣り合う白神の森の入り口となる西目屋村のかつて小学校だった建物を改修し、新たに工場を設けました。西目屋村の工場は、旧知の関和典村長が村に人を呼び込む取り組みができないかと模索されていたところ、弘前に加えて新たな製造の場を探していた当社が工房としてお借りすることになったのです。
冬の2泊3日のコースの「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまにこの工場にご訪問いただいております。

“世界に一つだけの器”は旅の一生の思い出に

  • 「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまには、まずBUNACOの製造工程を見学していただいてから、実際の製作体験をしていただいています。一見簡単そうに見えるかもしれませんが、やってみると案外力もいりますし、隠れた職人技が発揮されていることにも気づかれると思います。
  • 作っていただくのは、お皿もしくはボウルです。その後の工程で6種類からお好みの色合いを選んでいただいて弊社の職人が塗装します。器の糸尻(底部)にはご自身のサインを入れていただき、「TRAIN SUITE 四季島」の焼き印も入れて約1カ月後にお客さまのお手元にお届けします。同じ作業でも、製作される方によって実はそれぞれ個性のある器ができますので、旅のよい思い出にしていただければと願っています。

「TRAIN SUITE 四季島」を通して青森の手仕事を発信したい

「TRAIN SUITE 四季島」の車内ではラウンジにBUNACOの照明器具のほか各部屋のゴミ箱等に使用されています。
お客さまに工房を訪ねていただくことは、青森のブナの木、そして独自のデザインと手仕事の力で生み出されるBUNACOという製品の存在を知っていただく、何よりの機会と思っています。毎回、皆さまを誠心誠意のおもてなしの気持ちでお迎えしております。
ブナコ株式会社社長 倉田 昌直 [ 文=鈴木伸子 撮影=瀬尾均 ]