「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い

Vol.152017/11/30

「日本料理 たかむら」主人 高村 宏樹の想い

秋田の食材と粋な江戸料理の融合。
「TRAIN SUITE 四季島」の旅で召し上がっていただく、
最高のお弁当のために――。

「TRAIN SUITE 四季島」3泊4日の旅、五能線コースでは、3日目の夕食として、「リゾートしらかみ四季島号」の車内で、和の贅を凝らしたお弁当が供される。
その調理を担う秋田の名店「日本料理 たかむら」の主人・高村宏樹は、東京・目白の江戸料理の老舗「太古八(たこはち)」で修業し、故郷・秋田に28歳で自身の店を構えた、気鋭の料理人。
色とりどりの秋田の豊かな食材を自在に使った「たかむら」のお弁当は、「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまのためだけに用意されたオーダーメイド。
料理人としての長年の経験と高い技術、創意工夫ともてなしの心意気が詰まった、最高の品である。

老舗「太古八」の江戸料理の伝統を受け継いで。

私が修業した「太古八」は昭和8年の創業です。初代は腕の立つ料理人で、江戸料理の文献などにも目を通し、江戸料理を蘇らせた先駆的な方だったようです。
私が師事した3代目は、天才と呼ばれた方ですが、早くに亡くなり、「太古八」は閉店してしまいました。
私が学んだ江戸料理は、食材や味付けまで、江戸っ子らしい粋な料理。いま秋田の地で、4代目「太古八」として、江戸料理の哲学と技術をしっかりと守っていかなければならないと思っております。

秋田ならではの旨いものを、ぎっしりと詰め込んで。

秋田は食材の宝庫で、料理人にとって非常に恵まれた土地です。海のもの、山のもの、里のもの、和牛や豚肉、あるいは比内地鶏などの鶏肉にも、銘柄が何種類もあり、米や野菜、果物も当然旨い。
これら秋田の豊かな食材をできる限り用いて、「TRAIN SUITE 四季島」ならではの最高のお弁当に仕立てています。たとえば、ミネラル豊富な白神の水で育った白神鮑の塩蒸しとか、きめ細かな風味の秋田錦牛の焼き浸しなど、お弁当でこそ味わっていただきたいものです。
もちろんキレのいい江戸料理ならではの龍眼(りゅうがん)穴子、大和芋と芝海老のすり身の入った特製の玉子焼は、必ず入れるようにしています。お客さまには、蓋を開けた瞬間の華やぎから、ひとつひとつ気持ちを込めた料理の味わいまで、ぜひ堪能していただければと思っています。

日本の鉄道の旅の楽しみは、お弁当。

日本人にとって鉄道の旅につきものなのが、「駅弁」だと思います。
「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまには、旅の最後の晩餐に、車内で最高のお弁当を召し上がっていただけるように、4日前から仕込みを始め、毎週、手を替え品を替え、お客さまがお弁当箱を開いた瞬間が、一番美味しくなるように、入念に準備しています。
列車が刻む心地よいリズムのなかで、弁当箱の蓋を開ける。
そこには、いままさに旅をしている秋田の食材を用いた20品近い料理が詰め込まれているのです。

オリジナルの弁当箱と風呂敷で、コラボレーションを表現。

中味に加えて、弁当箱やその見せ方にも、大いに趣向を凝らしています。
器の匂いが移らないように白木のオリジナルの弁当箱を作り、「TRAIN SUITE 四季島」と「たかむら」のロゴを焼き印で入れて包んだ風呂敷は、「TRAIN SUITE 四季島」の車体の色と「たかむら」のイメージカラーである蓬(よもぎ)色の中間の色で染め、コラボレーション感を打ち出しています。お客さまからは、旅の思い出にこの弁当箱を持ち帰りたいというご要望が多く、好評です。
お弁当を召し上がって満足されたお客さまから、店でも料理を食べてみたいと、あとからご予約をいただくこともあります。ほっとすると同時に、「TRAIN SUITE 四季島」が繋いでくれた新しい出会いに、大きな喜びを感じています。
「日本料理 たかむら」主人
高村 宏樹
[ 文=鈴木伸子、撮影=名取和久、小山一成 ]