「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い

Vol.142017/10/11

JR日光駅 駅長 飯村 和幸の想い

日光駅は、3泊4日コース最初の停車駅。
歴史的建築でもある駅舎で、心を尽くして地元の方たちとお客さまをお迎えしています。

「TRAIN SUITE 四季島」の旅では、ゲストはJR日光駅で列車を降り、地元の名所を観光する。列車の安全安定運行を支えることはもちろん、最大限のホスピタリティをもって迎えているのが日光駅駅長の飯村和幸だ。

駅社員に加え、地元の人々も加わってのホームでのあたたかい歓迎は、始まったばかりの旅への期待を盛り上げ、お客さまに楽しんでいただきたいという願いが込められている。
「TRAIN SUITE 四季島」の停車に向けて改修された築106年を迎えた駅舎は「白い貴婦人」とも呼ばれ、たいへん貴重で美しい。

地元の旅館の女将さんたちとともにホームでお出迎え

毎週月曜の午後、「TRAIN SUITE 四季島」の列車がJR日光駅に到着します。栃木県、日光市、日光市観光協会の皆さまの他、日光市内の旅館の女将さんたち、「TRAIN SUITE 四季島」の車内で使用する日光の天然氷を納めている方など、たくさんの人がお客さまをお出迎えします。「歓迎の気持ちを直接お伝えしたい」との声は多く、なかには奥日光から片道1時間以上かけて来てくださる女将さんもいます。列車がホームに入ってくる瞬間、わーっという歓声が上がる光景を見ると、胸が高鳴ります。

改修後の駅舎は日光の新たな観光名所に

「TRAIN SUITE 四季島」が日光駅に停車するということで、去年から今年にかけて大規模なリニューアル工事を行いました。日光駅の駅舎は大正元(1912)年に建てられたもので、今年で106年目を迎えました。JR東京駅の駅舎よりも2年前に竣工した歴史のある建築です。その歴史性を損なわないように配慮しながら、ホームの屋根を葺き替え、床は舗装し直し、駅建物の外壁は塗り替えることにしました。このほか、「TRAIN SUITE 四季島」のお客さま専用のゲートを設置しました。また「日光駅ならではのおもてなしをしたい」という気持ちから、駅社員が日光彫の花瓶に毎週、さまざまな花を飾っております。細かい部分まで気を配ることで、われわれならではの歓迎の気持ちを表したいと思っています。
お客さまが日光東照宮や日光金谷ホテルなどの観光から戻られたら、駅舎見学も楽しんでいただくことになっています。かつて旧一等待合室として使用されていたホワイトルームと貴賓室を私たち駅社員がご案内し、建物の様式や歴史などをご説明しています。お客さまは歴史や文化に高い関心を寄せられている方が多いので、駅社員全員でよりレベルの高いご案内ができるように勉強に励んでおります。

400枚の入場券が売れたデビューの日

「TRAIN SUITE 四季島」の車両はお客さまが観光なさっている3時間の間、ホームに停車しています。鉄道ファンのなかには、「あの『TRAIN SUITE 四季島』を間近で見ることができる」「話題の列車を撮影できる」ということで、わざわざ日光駅までいらっしゃる方もいるようです。
夏休みの間は親子連れの方も多く、「TRAIN SUITE 四季島」が皆さまに親しまれているということを強く実感しました。
5月1日にデビューの一番列車がやってきたときには、歴史的な瞬間をこの目で見たい、というお客さまが多く詰めかけ、ホームへの入場券が400枚近く売れて驚いたということもありました。
こうした光景を見聞きするにつけ、日光駅で「TRAIN SUITE 四季島」の列車をお出迎えできることを本当に嬉しく思っておりますし、お客さまの大きな期待を感じることで、日々の業務にも一層熱が入ります。
日光は新緑も紅葉も美しいですし、お客さまが観光される日光東照宮や金谷ホテルなどのほかにも、奥日光の湿原、戦場ヶ原や中禅寺湖などの自然や温泉など、楽しんでいただけるところがたくさんあります。「TRAIN SUITE 四季島」の旅を機に、ぜひまたこの地を訪ねていただきたいと思います。
世界一の列車「TRAIN SUITE 四季島」が停車する駅に勤務できることを誇りに思いながら、これからもお客さまをお迎えしてまいります。
JR日光駅 駅長
飯村 和幸
[ 文=鈴木伸子 写真=的野弘路 ]