2024/5/24

Vol.43
BUNACO(ブナコ)
~白神山地の玄関口で世界に一つだけの器づくりを~

「TRAIN SUITE 四季島」冬の2泊3日コースは"東北の長い冬に息づいてきた、手仕事のぬくもりと幻想的な民話の世界への旅。”と銘打ち、2日目の青森での"深遊 探訪"では実際に地元の工芸品制作をお楽しみいただいています。
弘前・西目屋コースを選択されたお客さまに体験いただくのが”BUNACO(ブナコ)”製作です。かわいらしい名前のこの青森県独自の工芸品、橅(ブナ)の木を細かくテープ状に裁断しコイル状に巻いていくという工程から、「ブナ」「コイル」、この頭を取って「ブナコ」と呼んでいます。青森県はブナの蓄積量が日本一ですが、「天然のダム」と呼ばれるほど水分を非常に多く含むこの木は加工に向かず、かつては薪や炭としてしか使われていませんでした。
このブナの木を有効活用できないかということで、青森県工業試験場(現 青森県産業技術センター)で研究が始まり、1956年に現在の加工方法が考案されました。まずブナの木をかつらむきのように、厚さ1mmほどのテープ状にしていき、テープ状になったブナをぐるぐるとバウムクーヘンのように巻いた板状のものを作ります。それに湯呑みを押し当てながら縁を上げるように立体に形成、その後に接着剤を塗って乾燥させ、塗装と研磨の工程を何度も経てひとつの作品が出来上がります。お客さまにはこの形成の部分を体験していただいています。

  • 私も実際に体験をしたことがありますが、初めはなかなかうまくいきませんでした。しかし、職人からコツを教えていただきながら、少しずつ形を整え仕上げることができました。お客さまが、それぞれ個性のある形に仕上げられる様子を見ると、私たちトレインクルーもいつも楽しい気持ちになります。
  • 「TRAIN SUITE 四季島」車内では、5号車のバーカウンターを灯すランプに、そして、おくつろぎいただく客室にもトレーやダストボックスといったBUNACO製品を設えています。車外での体験だけでなく、車内でお過ごしいただく時間にも、東北の手仕事のぬくもりをお感じください。
トレインクルー 伊藤 玲子