2023/6/23

Vol.33
旅に温もりを添える山形の「天童木工」
~未来へ受け継ぐ職人の技~

「TRAIN SUITE 四季島」の旅では、出発地でお過ごしいただく「プロローグ四季島」から車内に至るまで、東日本各地の調度品や伝統工芸品を数多く使用しお客さまをお迎えしております。日本の美しい自然のなかで、職人の徹底されたものづくりへのこだわりによって生み出された繊細で上質な製品の数々は、旅の世界観に彩りを添える大切な要素の一つとなっています。今回はその中から、リオデジャネイロオリンピックの卓球台にも使用された実績があるなど、その技術が世界的にも評価されている山形県天童市の「天童木工」についてご紹介いたします。
まず、この旅の出発地である上野駅「プロローグ四季島」の正面モニターの両脇には、オリヅルという名の赤黒2種類のイスがあります。折り紙を連想させる特徴的なデザインと、しなりを生かしたクッション性のある座り心地に、お客さまはとても感動され人気の撮影場所となっています。また5号車「LOUNGE こもれび」には、アルベロという真っ赤なコートハンガーを設えています。何本もの枝が美しい曲線を描きながら天に向かって伸びているデザインは、その名の通り「こもれび」を思わせる光が窓から注ぐ雰囲気を引きたてています。

  • 「天童木工」が大切にしているのは木との対話です。世界中から厳選した木材それぞれの個性に合わせ、屋外でじっくり時間をかけて天然乾燥させる。この素材へのこだわりと、厚さ1mmの板を何層にも重ね合わせる成形合板という技術、そして職人の匠の技を以て作られた製品は、高い強度と美しい曲線美を兼ね備えた逸品に仕上がります。
  • 山形県の地元中学校の子供たちと西山杉を使った学習机を作ったり、間伐材で作られたベンチを寄贈したりするなど、これまでの地域に愛される取り組みを通して、私は職人の方々の未来へ受け継ぐという強い想いを感じます。ご乗車の皆さまに製品一つ一つに込められた温もりが届きましたら幸いです。
トレインクルー 丸山 希