グループ経営ビジョン
「勇翔2034」
「当たり前」を
超えていく。
新たに打ち出されたJR東日本グループの経営ビジョン「勇翔2034」。この新たな目標について、グループ社員はどのように受け止め、また達成のためにどんな挑戦をしていこうと考えているのか。実践していく現場の想いを聞いた。
私の仕事は、車掌として乗務するほか、乗務員の訓練や指導添乗を通じて、安全で確実な運行を支えることです。計画に基づき、通常の訓練に加え、異常時の対応訓練やフォローを実施、乗務員一人ひとりの知識や技能の維持向上に努めています。
山形統括センターには100名を超える乗務員がいます。日々の指導では、タイプの違う仲間に合わせて伝え方を工夫し、時に共に悩み、成長を支えることが大切です。指導担当として、「ありがとうございました」と声を掛けられる瞬間や、笑顔で乗務を終えた仲間の姿が何よりのやりがいにつながっています。
入社当初、JR東日本は鉄道会社だというイメージで働いていました。しかし、生活サービス事業やIT・Suica事業が拡大し、今回の「勇翔2034」でJR東日本グループは「モビリティ」と「生活ソリューション」の二軸経営を明確に打ち出しました。今では、社員一人ひとりが考え、行動し、新しい価値を生み出すことに取り組んでいます。
「勇翔2034」では、「『当たり前』を超えていく。」という言葉が掲げられました。私にとって“当たり前”とは、列車が定時で動き、何事もなくお客さまを目的地にお届けすること。そして当たり前を超えるには、心のこもった接客や人間味ある応対をし、その結果として、安心や感動をお客さまに提供することだと考えています。
「勇翔2034」では、「変革2027」と同じく、“社員が主役”とされています。私の名前にも使われている勇翔の「翔」。高く飛び翔(かけ)るという意味を持ちますが、新たな一歩を踏み出し、自ら考えて行動し、未来を切り拓いていく私たちにぴったりな文字だと思います。
来年度に行われる事業運営体制の改正で、現場の判断スピードはこれまで以上に高まり、地域やお客さまに寄り添った取り組みが可能になります。お客さまの声を拾い、即座に改善へとつなげる──その機動力こそが、“当たり前を超える”ための新たな力だと考えています。現場には、現場でしか見えない課題があります。東日本大震災の際、社員同士でお客さま向けに手書きの案内図をつくり情報を共有した経験からも、現場の創意と行動力の重要性を強く感じました。「勇翔2034」は、そうした現場の力や企画部門と融合した新しい事業運営体制の可能性を信じ、社員に託すメッセージだと感じています。だからこそ、“社員が主役”という言葉は、誇らしくもあると同時に、厳しい言葉でもあると感じています。
これからも「安全」を基盤に、モビリティ、生活ソリューションの二軸を見据え、信頼と感動を生むサービスを追求しながら、仲間たちと共に「当たり前を超える」挑戦を続けていく。そして、関わる全ての人が笑顔で、前向きに働ける職場をつくりたい。そう考えています。
2025年9月、TAKANAWA GATEWAY CITYに「ニュウマン高輪」が本格開業しました。私はその運営を担当しながら、26年3月開業予定の「MIMURE(ミムレ)」の準備を進めています。約5年間、高輪開発に関わってきましたが、山手線の内側でこれだけの面積の空白地帯が生まれるのは100年に一度といわれています。その開発に携われていることに、大きなやりがいを感じています。
ルミネに入社したのは、ファッションが好きだったからです。当時、注目を集めた「ルミネ ザ カルチェラ」という、新しいブランドや若手デザイナーを自ら発掘支援・育成することを目的とした直営店舗を設けるなど、ほかにはない取り組みに惹かれたのがきっかけでした。自由で挑戦的な社風に魅力を感じたのを覚えています。
新たなグループ経営ビジョン「勇翔2034」で感じたのは、「自分たちの事業領域にとどまっていてはダメだ」ということ。自分たちの枠を超えて、ほかの領域を巻き込みながら新しい価値をつくる。その考え方は、ニュウマン高輪で進める取り組みと重なります。ニュウマン高輪 ルフトバウムでは、フロアの一角に店舗ではなく、象徴的な庭を設け、最新の立体音響システムを備えた、ほかにはない場を創り出しました。単なる店舗のリーシングではなく、エリア全体をプロデュースすることで、ここでしか得られない体験をお客さまに提供しています。また出店者やパートナー企業と地域の学校で出張授業を行い、衣料品循環や環境負荷について考える機会もつくりました。こうした商業の枠を超えた地域共生・次世代育成の取り組みも進めています。
ルミネの強みは“ヒト起点”で価値を生み出すことです。「お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」という理念の下、常にお客さまの立場で考える姿勢は変わりません。その上で、先ほどのルフトバウムのように場所を貸すだけではなく、共用部や空間そのものから価値を創出し、お客さまに新たな体験を提供することに挑戦しています。
そうしたことの積み重ねで、ニュウマン高輪では流行だけに左右されず、普遍的で本質的な価値をお客さまに届けたい。その姿勢は、「勇翔2034」で掲げられた「『当たり前』を超えていく。」に通じるものだと思います。
お客さまは、ルミネやニュウマンが「新しい見たことのないものを生み出す」ことに期待してくれています。期待に応えるためには、自分たちの“当たり前”を壊す覚悟が必要です。
来春開業の「MIMURE」では、国内外の産地や生産者などを巻き込みながら、JR東日本グループならではの“つながる力”を活かして、各地の素晴らしい文化を東京、そして世界へ届けていきます。ニュウマン高輪を通じて、「勇翔2034」を目に見える形として示していければと思っています。