「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.172018/01/31
奥津軽・五所川原ならではの巨大ねぷた「立佞武多(たちねぷた)」。
そのダイナミックさと歴史を感じていただきたい。
- 「TRAIN SUITE 四季島」の2泊3日の「五所川原コース」と3泊4日の「五能線コース」では、青森県五所川原市の「立佞武多の館」を訪ねる。青森の夏の風物詩のひとつ「ねぷた祭り」。とりわけ津軽平野の中心地である五所川原のねぷたは、その巨大さで、青森のほかの地域を圧する。
毎年の夏の祭りの時期以外でも、この「立佞武多の館」には、巨大な立佞武多が展示されていて、祭りの雰囲気を体感できる。
出迎えるのは、館長の菊池忠さん。津軽弁でのおもてなしは、北国の情緒にあふれている。
威勢のよい掛け声で、巨大なねぷたが競い合う
毎年8月4日から8日にかけて行われる祭りでは、この立佞武多3台を含む大小15、16台のねぷたが練り歩き、「ヤッテマレ!」の掛け声とお囃子(はやし)が町中に響き渡ります。「ヤッテマレ」とは、津軽弁で「やっつけてしまえ」という意味。五所川原のねぷたは、すなわち「喧嘩ねぷた」の最たるもので、「自分たちのねぷたが最高、だからほかのねぷたはやっつけてしまえ」という勢いで掛け声をあげるのです。
津軽弁での説明にお客さまも笑顔がこぼれる
- 五所川原駅に近い「立佞武多の館」に「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまをお迎えしたあとは、わたしが館内をご案内いたしております。五所川原市の観光課長などを務めていたこともあり、平成25(2013)年に館長に就任しました。わたしのご説明は、津軽の標準語=津軽弁になりますが、お客さまにも楽しんでいただいているようで、いつも皆さんの笑い声が絶えません。とは申しましても、津軽弁は初めて聞く方には、なかなかわかりにくいこともあり、途中で、つい津軽弁講座が始まってしまうこともあります。
衰退していた巨大なねぷたが、平成になって復活
- 五所川原は、江戸時代から木材や水産資源の集まる商人の町として栄え、明治時代には豪商や大地主たちが、競い合うように巨大なねぷたを作らせました。あまりに大きいので、隣町の金木町からもその姿が見えたと聞きます。しかし、大正時代に入ると、電気が普及することで、町中に電線が張り巡らされるようになり、ねぷた自体は小型化していき、その特徴は失われていきました。その後、昭和54(1979)年になって、かつての巨大なねぷたの写真が発見され、復活の機運がたかまり、平成8(1996)年に、高さ22メートルものねぷたが復活しました。それを「立佞武多」と名づけ、今では全国から見物のお客さまが訪れるようになりました。
五所川原の誇りである立佞武多の姿を思い出に
わたしも真心を込めて、津軽弁で、皆さまをお出迎えします。
菊池 忠 [ 文=鈴木伸子、撮影=三木麻奈、新居明子 ]